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「あらら、さっきよりもっと酷いことになってる。」
「え、これ七恵!?ちょっと大丈夫!?」
そこにちょうどいいタイミングでやって来たのは、柴崎と笠原だった。
親友のあまりの撃沈っぷりにさすがの笠原も、驚きを隠せないようだ。
これで雪片のことは二人に預けられる。
小牧はそっと胸を撫で下ろした。
「七恵一体どうしたんです、小牧教官?」
「よくわからないんだけど、堂上絡みなのは確実だよ。」
やけにニヤニヤとした顔なのはこの際放っておこう。
「…まぁ、七恵が落ち込むのはそれしかないですよね…。」
そう言って柴崎は食堂を見渡した。
ここにいたら、直に堂上も来てしまうかもしれない。
そうなったら余計にこじれる可能性が大だ。
「とりあえず部屋に戻りましょう。夕飯は買ってくるから。」
「あ、じゃああたしがひとっ走り行って買ってくるよ!」
「いい、いい。あたしが行くから笠原は七恵をお願い。」
「あ、そっか。わかった!」
そうと決まれば、その後の二人の行動はとても迅速だった。
素早く笠原が七恵を抱き、その場を離れる。それを見届ける間もなく、柴崎は食堂の外へと足を動かし始めた。
なんか…手慣れてない…?
食堂にいた誰もがそう思った瞬間だった。
つづく
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