楽しむ為の非情のテニス3


楽しむ為の非情のテニス3


え?もうこのネタで第三弾ッスか?

はぁ…、あいかわらずウチは幸村ぶちょーのムチャぶりで成り立ってるなぁ…。


また俺のターンか、めんどいなぁ?と思ってコートを見ていたら、

「暑い暑い暑い暑いあーつーいーぃぃぃっ!!」

とみかんのうたのノリで絶叫する幸村部長がウェアを脱ぎながらまだ試合中のコートを突っ切ってきた。

それに試合中のジャッカル先輩がビビリながら慎重に打ち合ってると、

「そんな遅い球ウザイ!!イラつく!!」

なんてまたムチャぶりかましながら、ボールを打ち返したばかりのジャッカル先輩目掛けてサーブして、さっきまでの幸村部長の対戦相手だった柳先輩に渋い顔されていた。

てか、柳先輩も汗かいてる…、今日もすんげぇ暑いなぁ…。

そんな幸村部長のお母さん役の柳先輩は幸村部長が脱ぎ散らかしたウェアに、シューズを拾ってベンチに戻ってきた。

「もうハーパンも脱いじゃおっと。」

「うへぇっ?!」

「幸村君っ?!」

言い終わる前にぺろんとハーパンまで脱いだ幸村部長はベンチに投げ掛けて、パンイチでベンチの上にあぐらをかいた。

「丸井!!それじゃ腕を痛めるから足使って取りに行け!!あと甘い匂いが暑苦しいから一週間ガム禁止ね。真田!!今すぐ鉛5キロ下ろせ。大会前に壊す気か?それと前から言ってる暑苦しい顔どうにかしろ。」

と、まぁ、むちゃくちゃも言ってるけど、ちゃんと部員を見ているワケで、やっぱり尊敬しないハズがないんだよ、幸村部長は。

「赤也!!」

「うげっ?!」

うわっ?!マジやべぇっ?!さっきの試合、柳生先輩にボロ負けしたことかなっ?!

「ガリガリ君買ってこい。」

「…マジ?」

え?聞き違い?

「マジ。柳から金もらって全員分買ってこい。」

「うぃー…っ、」

「5分以内な。」

「……。」

そりゃ、ムリッス。

学校近くのコンビニは朝から冷たいものは何もなかった。

部員全員って言ったら、チャリでも片道30分はかかるでっかいスーパーまで行かないと数がないと思う…?

おっかなびっくり幸村部長を見たら、

「ガリガリ君なら部室の冷凍庫に入っている。」

て柳先輩が幸村部長の肩にタオルを掛けながら言った。

ヤッベ、今マジに柳先輩が菩薩サマに見えたし。

「俺は梨味が食いたいの。」

「期間限定物は入手出来る確率が極めて低い。こう暑いとメーカーもマルチパックの生産に力を入れるだろうから、ソーダ味でもアイスにありつけるだけでもマシと思え。」

て言いながらノートにさっきの試合のことかな?を記入してた。

「長ったらしい説明が暑苦しい…。」

幸村部長はペットボトルの水をがぶ飲みしてから、

「暑苦しいからさ、お前らも脱げよ。」

な・ん・で・す・と?!

脱げって、これ以上ナニをどう脱げと?

「その前に、」

眼鏡を押し上げる柳生先輩!!

そうだ、ジェントルマン!!言ってやれ!!

「靴下も脱いだらいかがですか?」

ソレぇ〜っ?!

「あ、そうか。」

ビビる俺の前でまたポイポイと靴下を脱いだ幸村部長は、

「ホラ、赤也も脱げよ。」

「ぶはっ?!」

脱いだ靴下を顔面に投げつけてきた…。

ナニこの仕打ち?

この炎天下で部長の脱ぎたて靴下を顔面に食らうって、どんな後輩イジメ?

「うわー、マジ暑〜い。真田、小言は聞かないよ。早く脱げ。」

幸村部長の靴下どうしよう?頭のおかしい女子に売ったらぎゅっサバ買えんじゃね?と思ってたとこに真田副部長が戻ってきた。

あーあ、真田副部長の相手した三年の先輩、コートで死んでる。ゴシューソーサマ。あれ?ゴシューシューサマ?

「おい、」

「だから脱げって言ってんだろ?休憩明けは全員パンイチで練習!!」

「マジッスかっ?!」

出た!!魔王のムチャぶりっ?!

全員アホ面で幸村部長を見てる。

素振りしてた一年の何人かはラケット落としたし、試合中だったコートはみんなボールから目を離したから、どっかに転がってってる…。

「もし脱がない奴は、」

急に立ち上がった幸村部長は真田副部長の後ろに回った。

ま、まさかと思うが…。

「む?何を、」


「こうなる!!」

て言った瞬間、一気に真田副部長のハーパンを引きずり下ろしたぁぁぁっ???!!!

静まり返るコート。

誰もが真田副部長から目を反らした。

だけど、見たい気持ちもある。

あ、柳先輩が笑った気配がする。

「フーハッハッハッハッ!!」

いきなり笑い出した真田副部長になんだっ?!て思ったら?!

真田副部長がなんだっ?!

ここはハーパンついでにポロリも期待をするとこを(やな期待だけど)なんでアンタ褌なんかしてるンスかーっ?!

マジに本気にアンタ中学生ッスかっ?!

みんな予想外なオチにノーリアクションでいると、真田副部長は芥子色のウェアに赤フンで腕を組むと、

「所詮は道化。爪が甘いわ。」

うぉー、今日の真田副部長強気じゃん?褌だからか?

「仁王。」

「うえぇぇぇっ?!」

て言い出した真田副部長にびっくり?!

向こうでジャッカル先輩と丸井先輩が真っ青になってる?

で、俺の後ろでクスリと笑う、一見上品でいて、真夏に持ってこいなこの寒さは…?

「ずいぶん楽しそうな事をやっているね。」

俺の横を通って前に出た肩ジャージ幸村部長サマ、お怒りマックス!!

ヤベェ、これ死んだ。絶対死んだ、死ぬより辛い練習よコンニチハ。

仁王先輩のバカ!!ぺぺんし!!皮かぶり!!

「そう睨みなさんな。」

たいしてビビってもいない仁王先輩は幸村部長のまんまでパンイチで耳の中をかいてる。

「まぁ、面白そうだからみんな脱いでよ。」

えぇっ?!

にっこり笑う幸村部長にみんなあんぐりだ。

あ、ずりぃっ?!ジャッカル先輩と丸井先輩がこっそり一年逃がしてるしっ?!

「あーかや?」

「えっ?!えぇぇーっ?!うばばばあ〜っ?!」

幸村部長に呼ばれた時はもうアウトだった。

丸井先輩みたいに自称ブン太エクセレント的なものを披露するまではいかなかったけど。

「ちょっ、おまん、マジか…。」

オイ、ペテン師、もうヅラとれ。

「可愛らしくていいじゃないですか。」

誰だよ、ジェントルマン言ったの?!

「えー?ナニソレ?お母さんの趣味なの?」

…幸村部長、そんなとこあんまガン見しないで下さい。

「ふむ。今日の赤也はキティちゃんのトランクスと。」

いやーっ?!お願いマジお願い柳先輩お願いだからそんなデータとらないで残さないで。

「赤也ー!!男なら褌を締めろ!!褌をー!!」

…このヒト一番厄介、まず褌がどこに売ってんだよ?

「今日も猛暑日でしょ?脱いでもいいでしょ?サッカー部も上マッパだったし。」

てポイポイと脱いだ幸村部長は男らしくもパンイチでコートで立ってもなんか神々しい、格の違いとかってヤツ?

「じゃ、赤也。さっきの試合手を抜いた罰に、俺の相手してよ。」

「うげぇっ?!」

バレてるしっ?!暑いからさっさと負けて日陰で休みたかったのに…。

しかも罰だからダイビングボレーさせるような球ばっかり打つし、あっちこっちすり切れてシャワーのときすげぇしみた。

てかパンイチでテニスって昭和のスポ根じゃん?!

暑いけどそんなカンジに服を着るありがたさ的なことを教えられた日だったが、全員がパンイチで練習された中、柳先輩が「二日目だから体を冷やす事は避けたい。」と言って脱がなかったのはネタを一生忘れないと思う。

(20110717)

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