Let's last party〜今年最後の鍋パーティー(切原)


Let's last party〜今年最後の鍋パーティー


週末はおでん争奪戦


死闘の末にたまごを手に入れるのは誰だ?


残された昆布を巻いてた糸の謎


牛スジの串の罠


凶器はアツアツのこんにゃく…?



──「俺、みんなを信じてたのに…。」

──「幸村ぶちょーぉっ?!」



裏切り者は
この中にいる




といつもの長い前振りから、今日はちょっと肌寒いんで部活のあとは鍋パーティー。

「れっつ、ぱーりぃ!!」

とか言っちゃってる幸村部長は眼帯してるけど、たぶん筆頭意識して朝アイロンかけてきたンスよねぇ?そのせいか、アヤナミ仕様になってるッスよ…。

それにヤバイくらい熱視線を送っているのは…、いや、これは言わないでおこ、柳生先輩のために。

鍋やるときは、いちおう、それぞれが具を決めて持ってくることになってるけど、自称肉食系ばっかりなんで鍋やると肉率の高い鍋になる。

「仁王、ぽーくびっつはどした。」

「しゃぶしゃぶはブンちゃん担当じゃろ?忘れたんなら、ちーとばかりお腹出してちょ。」

「やんのかよぃ?!」

「僕に勝つのはまだ早いよ?」

「じゃ、いつか丸井が勝てるんだ。」

箸でチョロ毛をつまむ丸井先輩に、早くもイリュージョンを投入した仁王先輩の横で、幸村先輩が楽しそうに鍋にあるものを投入する。

「エノキ!!ボンバイェ!!エノキ!!ボンバイェ!!」

「あかぁーコーナー、不動のチャンピョン・ア〜ント、キノエ〜ノキィィ!!」

って、またっ?!柳先輩、変なネタ仕入れたっ?!

柳先輩がプロレスのコールしてるし!!何そのキャラクラッシャーっ?!てかアントキノイノキ…春一番の時代は終わっただな…。

「しいたけとエリンギとゆきぐに〜まいたけ〜。」

愛しさとせつなさとを真田ふくぶちょおがぁ〜っ?!てかちょい懐メロなら年の離れたお兄さんがいる真田副部長が得意だよな。

真田副部長の中ではChoo Choo TRAINはZOOなんだぜ?

「キノコ、マジヤバイ。熱いよね。」

「キノコは栄養価も高く価格も一年を通して安定しているからな。」

「キノコを食わんか、キノコを。」


すいません、キノコを大量投入する三強を誰か止めて下さい。

もやしとキャベツ持ってきたのに入れる場所がないし…。

「よう、赤也?ワカメじゃないのかよぃ。」

「今日あの日で休みッス。」

「たわけがーっ?!」

「げっ?!スマンセンっ!!」

「やーい、仁王でビビッてやんの。」

「切原殿、破廉恥でござる。」

今日も鍋になり損ねた赤豚先輩にいい感じな仕返ししたら、真田副部長に怒られて、それがチョロ毛先輩とか、しかも真田違いの真似も似てないし。全国のファンに切腹で詫びろ。

「あの幸村君、鱈を食べますか?」

鍋で眼鏡がくもるから眼鏡を外した柳生先輩は仁王先輩のお兄さんみたい。

トレーの上に白い切り身が三つ並んでた。

「食べる!!食べる!!」

「精市、箸を振り回すな。」

魚好きな幸村部長は両手をあげて喜んで、右側にいた柳先輩が嫌そうな顔をしていた。

「おーい、そろそろ肉入れるぞー。」

ジャッカル先輩がバッドから肉を手掴みで鍋に入れると、先輩たちの目付きが変わった。

そう、まるで全国大会の決勝のような真剣な目だ。

大雑把なジャッカル先輩はぼんぼん肉を投げ入れるが、本日の第一試合はしゃぶしゃぶ肉。

熱湯にさっとくぐして、お好みのタレでめしあがれ。

つまり、肉が薄いから火の通りが早い。

「におっ、てめっ?!それ俺の陣地だろぃっ?!」

「俺様の美技に酔いな。」

「ふっ、無理は止せ。柳生。」

「蓮二こそ肉は苦手では無かったのか?」

「真田!!赤也!!早く俺の前から肉をどけろ!!俺のタラちゃんがいない?!」

「はぁーいですぅ。」

「ばぶぅ。」

「うぜー、マジうぜぇペテン師ダブルス。」

「残念ですが、遊びはこれでおわりです。」

「今のが仁王か?」

「イクタラは柳と幸村だったぜ…。」

「ジャッカル、それはいけないな。」

「今の柳生先輩?!似てるッスよーっ?!仁王先輩!!俺の皿からはナシッス!!」

「取ったもん勝ち、食ったもん勝ちや。」

「えくすたすぃー?」

「いや、なんで疑問系、真田?柳、それ、俺のタラちゃん。」

「…えぇぇーっ?!君もなのか?!」

「柳、無理しなくてもいいぜ?ブン太!!おにぎり返せ!!」

「面白いほど似てませんでした。仁王君、椎茸を入れないで下さい。」

「肉?!肉がねー?!アンタ潰すよ?!」

「表出ろぃ、赤也!!」

「さて、二人脱落した処で肉を追加するか。」

鍋とは戦い。

真に具材、特に肉への執念を持つ者だけが勝利する。

「ぽーくびっつを入れたのは誰だーっ?!」

例え味方でも初志貫徹出来ない者を許せない者。

「加工品は加熱している間に汁が濁ってしまうので最後にしろと何時も言っているだろう。」

己の信条を掲げる者。

「…俺のタラがない。これは少しお仕置きをしなくてはいけないようだね。」

全く別な道を切り開こうとしている者。

この戦には終わりはない。

あるのは、食うか、食われるか。

最後のPartyが



始まった…


なんつって?

「あーっ?!幸村部長が俺の肉食ってるし?!」


勝手に劇場版公開記念
(20110604)

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