再生三万回越えよりもリアルな一回


再生三万回越えよりもリアルな一回

下ネタ&えっちぃ表現満載、苦手な方はご注意を!

部活の後、流れで俺と仁王だけになったチャンスを見計らってか、仁王が俺の前にノーラベルのDVDを突き出した。

「これが噂の?」

初日で再生三万回越えの動画とか、仁王があんまり絶賛するから借りるような話はしてた。

「D組のさゆたんに似てるナリ。」

「誰?」

ニヤケる仁王に悪いが知らない、初耳の名前だ。

「こうおっぱいが、」

「いや、手付きヤバイ。」

「で、尻がぷりんと、」

「鼻の下が千石よりヤバイ。」

仁王はどれだけこのDVDで抜いたんだ?

ノーラベルのケースをひっくり返すないがやっぱり何も書いてない、ナニも。

「じゃ、巨乳物なんだ?」

あんまりデカいのもなぁ、Lカップとか興味本意で見たけど、若干引いた、デカ過ぎて。

「ノンノン、美乳ですよ、幸村君。」

「似てるからムカつく。」

その無駄に柳生の真似は辞めろよ、しかも柳生も美乳派だし、余計腹立つんだよ。

「美乳か〜ら〜の、ナース!!夜勤病棟、ドーン!!」

「…いや、夜勤クソ忙しいみたいよ。」

鼻息が荒い仁王に悪いけど、人数減るし、病状悪化するのは夜だし、準夜か〜ら〜の夜勤のシフトで16時間実質20時間勤務の人もいたし…。

「もう、ナース服からはみでる巨乳と白ガーターが、」

「やっぱ巨乳じゃん。」

あーぁ、どっちかっ言ったらJK物がよかったなぁ、リアルっぽくて。

「A組の佐々木さんよくない?あの太股がさ。」

バレー部だからあのユニフォームがね、露な太股がヤバイ。

「女バレのか、いい趣味してんのぅ、幸村?」

あー…、なんか握られた系?やな笑顔しやがってペテン師が。

「乳も美乳じゃし、大人しめな感じが好きなんか?」

「おしゃべりが過ぎるのもね、あのくまのキーホルダーもかわいいよね。」

うちも妹がいるけど、ノンストップで話されると聞かされるだけでも疲れる、しかも適当に相槌打ってると「聞いてるの?」とかキレられるし。

「おー、確かにおしゃべりな女はウザイの。真田じゃないが三歩後ろじゃなくても、俺の話を聞いてくれるタイプがいいナリ。」

「だね、それで可愛くてむっちりしてたら言うことないね。」

中身も大事だけど、できることなら、ねぇ?顔と体も、なんて思うのが健全な男子でしょ?

「むっちりのう…、俺はスレンダーな感じが、折れそうな細腰って言うの?」

仁王らしくない表現にピンと来た。

「F組の?」

「気付かれたか?最近のオナペたんダニ。」

意気がってる割りには耳赤いナリよ?

F組の学級委員で、才女って言うの?よく図書室で柳と一緒にいるとこを見る。

(やっぱり、彼女って…、)

「言わんでもいいぜよ、幸村。」

ロッカーに手をついて項垂れた仁王は、

「自分に気がある男は嫌じゃと、ツンMらしい。」

「ただのMじゃなくて?」

いるよねぇ、不毛な恋に恋い焦がれてる子。

ヘタレのおっぱい星人でも仁王に好意を持たれたら、普通はそれなりにほだされちゃったりするんじゃない?

「ただのMじゃったらなんかヤじゃろ?俺には扱えん。」

ゲシゲシと頭をかく仁王に前に聞いた事を思い出した。

「Mの人って実は凄いわがままって言うしね。」

柳から聞いたんだけど、ま、柳はドSだからMの彼女がいいだろうけど。

俺もSだと思われるけど、そうでもないから。

至って普通、ノーマルだから。

「あーぁ、彼女ほしいぜよ。」

「はぁぁっ?!」

真顔で言ったよ、こいつ。

「おまんはほしくないんか?」

「いや、ほしいよ。」

やべっ、マジで答えちゃった。

「じゃろ?ナニが悲しくて毎晩画面とにらめっこしてるんだが。」

「言うなよ、リアル過ぎ。」

確かに彼女がほしい。

可愛い彼女と手を繋いで帰ったり、お昼を一緒に食べて、たまに手作り弁当をもらったり。

休みの日にはデートしたり、お互いの家に遊びに行ったり…。

で、で、…お楽しみは…。

「一回くらいはって、」

「なんじゃ?」

「…いや。」

(やっべぇ〜?!声出てたし?!)

慌てて口を押さえたけど、もういいや、ここは本音を言った方が楽になる。

「抜けるAVよりかも、一回でいいから女の子と手を繋いで帰ってみたいよ。」

女の子と手を繋いだのって幼稚園以来じゃない?あ、フォークダンスもあるか?

あれって、やっと気になる子と手を繋げる番になるとチャイムが鳴るんだよね、ナニマジック?

「じゃが、逆に恥ずかしくなか?」

「…、お前らが冷やかさなきゃね。」

女の子といて何が恥ずかしいって周りが変に冷やかすからなんだよ、特に三馬鹿。

「すまそ。もし、万が一、仮に幸村に彼女ができても俺は冷やかさん。」

「なんかムカつくな?」

それじゃまるで俺に彼女ができる可能性がゼロに近いみたいじゃないか?

でも、まぁ、今はそうかもしれない。

「あ、丸井からメール。」

ブレザーのポケットで点滅してた携帯を開くと、丸井から「コンビニで待ってる」って入ってた。

「ブンちゃんにおでん買い占められんうちに行くかの?」

ラケバを背負い直した仁王に俺もロッカーを閉めて、

「色気より食い気、部活の後は女の子よりおでんだよねぇ。」

「やべっ?!真田がつくね買い占めたらしいぜよ。」

「よし来た、遠隔イップスに挑戦するって柳にメールしといて。」

「イエッサー!!」

女の子に興味が尽きない年頃だけど、やっぱりまだ仲間とバカやってる方が好きだな。

とりあえず待ち合わせのコンビニからおでんが消える前に行かなくちゃ。

あ、戸締まり消灯と、借りたDVDも忘れずにね?

30000打記念リクエスト「男子トークをする幸村と仁王」
片鑚澪さまへ

(20110327)

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