楽しむ為の非情のテニス〜2
サブタイトル〜
にゃんこパラダイスの巻
「と言う訳で猫の日にちなんで猫テニスをしたいと思う。」
と幸村部長が言った瞬間、コートは誰もいないみたいに静まり返った。
てか毎回「と言う訳で」の繋がりが見えないッスよ…。
今日も今日とて実況は立海大のエース・切原赤也でお送りシマス。
「精市に言われて用意してみたのだが、何分急な申し出で在り来たりな物しか無いが、各自好きな物を選んでくれ。」
ってワゴンを押しながら登場した柳先輩、急なとか言って猫耳やらなんやら用意できる柳先輩ってなんなンスか…。
「うわぁー、ドラえもんあんじゃん?ジャッカルやれよぃ?」
「俺かよっ?!」
さっそくM−1に間に合わなかったコンビがネタを披露するが、ジャッカル先輩じゃないが中学生にもなって着ぐるみドラえもんもやだよなぁ。
「柳が着ればいいじゃろ?」
て猫耳カチューシャを物色する仁王先輩に、
「実は着たかったのだが、」
「え゛っ?!」
まさかの柳先輩、ご乱心発言?!
またに真田副部長もびっくりな天然振りを見せてくれる。
「この水色は恥ずかしいが、腹部のポケットはA4のバインダーも楽に入るから便利と思ったんだが俺には入らなかった。」
良かったぁ、本当に良かったッスよ、柳先輩。
あくまで実用性重視、それでこそ参謀ッスよ。
ネタじゃなくて本当に良かった!!
「その代わり、精市と弦一郎でキャッツアイを──」
「柳せんぱーいぃぃぃっ?!」
ダメッス!!絶対ダメッス!!
なんでそんなネタ満載な、三強でキャッツアイとか、むしろキャッツアイが分かる部員がこの中にいると思うンスかっ?!ちゃんとWJに連載してたとか?!
「赤也、大丈夫。瞳が真田だから。」
「まーじーかーっ?!」
幸村部長の言葉に俺はコートに膝をついて、両手の拳を叩きつけた。
「そんなに嬉しいんだ?さすがにレオタードは恥ずかしいかなって思ったけど、赤也が喜んでくれるなら、…俺、赤也の為に頑張るよ。」
「NOooooー!!」
幸村部長、そこ頑張るとこじゃないッス!!
伏せ目がちにするとこじゃなきゃ、頬を染めるとこでもないッス!!
ついでに肩ふるえてんのバレバレッスから?!
「俺は俊夫が良かったのだがな。」
「さなだふくぶちょぉぉぉっ?!」
ナニ、レオタード見てしみじみ言ってンスかっ?!
お兄さんの影響か一昔前の名作は真田副部長のテリトリーッスけどっ?!
頼むから初恋が瞳とか言わないで下さい…。
「因みに俺が泪で、精市が愛。心配するな、演劇部からカツラも借りてきた。やるからには徹底的に成りきってみせる。でなければ王者立海の恥だからな。余談だがそのドラスーツは身長170以下でなければ着用できないようだ。」
「じゃ、赤也だろぃ。」
「てぇっ?!ナニどさくさに紛れて俺ドラスーツなンスかっ?!」
まずレオタードで女装か女装でレオタード、いや女装コスプレを恥と思わない時点で柳先輩は一年先に立海に染まってしまったって切なさがあるが!!
それ以上に丸豚先輩っ?!
なんで俺がドラえもんなンスかっ?!
むしろ毎日自分ちの机の引き出し開いてドラえもん来ないかなって言ってる俺が!!
「体型なら丸い先輩グッジョブ!!」
「中指立てんな、ワカメがっ?!あと丸いじゃなくて丸井なっ?!バカヤ!!」
「はぁっ?!せっかくかわいい後輩が推薦してんのに、ムダにする気ッスか?」
「あ゛ぁ゛?!そっちこそ部活の掟の先輩命令無視すんなよぃ?」
いつも通りに丸井先輩と戦争勃発してて、まさかこのニ人がやってくれると思わなかった。
「では私は簡単に猫比呂士で。」
とジャージを脱ぐと真っ赤なTシャツ、今日は「脱!!脂肪肝」って…、どこで売ってンスか?自作?それともお父さんが医者だから、そんなTシャツをチームで作ってるとか?
「んー、柳生がそれならのぅ…。」
まさかの仁王先輩が「ミニャー!!」って叫びだした柳生先輩をスルー、少し考えたあと、なぜか女子がたむろするフェンスに向かって、
「俺、マサハル。ネコ。一晩割り切り歓迎。応相談。」
って言った瞬間、黄色い声?てか超音波公害で、いきなりニとか三とかセリみたいな状況で、とにかく収拾はつかないわ、耳は痛いは…、とりあえず幸村部長たちがいなくてよかったッス。
仁王先輩はなんのネコかって柳生先輩に聞いたら、「仁王君はネコと言うよりMだと思います。」ってまたわからないワケじゃないけど、繋がらない答えが返ってきたから、仁王先輩は女子を騒がせた罰で走らされればいいと思う。
あれ?ジャッカル先輩は?て思ったら、白い猫耳にピンクの前掛け…。
なんか普通に一年にボレーの指導している猫村さん。
猫村さん、日焼けしたんだね…。
しかも一番違和感なく似合ってた、ジャッカル・猫村さん。
で、ドラスーツを押し付けあってた俺と丸井先輩に、ロングのウェーブのかつらにレオタードの柳先輩(笑ってやろうかと思ったら予測以上に似合うし!!)が一言。
「どちらがドラミをやるのだ?」
…ここは公平に年の順で、丸井先輩が兄で、俺が妹をやることになった。
今日も部誌に書けなかった暗黒の一日として、立海テニス部員の脳裏に刻まれたに違いない…。
[←戻る]