ジャッカル桑原の為のスケート教室


ジャッカル桑原の為のスケート教室


ジャッカル先輩がスケートに行ったことがないって言うから、入試休みで部活も休みの日にみんなでスケートに行こうって話になった。

なった。

…なった。

「浪速のスピードスターの方が早いっちゅう話や。」

リンク上でもイリュージョン発動の仁王先輩はコーナーで幸村部長をギリギリ壁際に寄せて、曲がり際に刃を立てて削った氷と一緒に水を幸村部長にかけた。

でも大人しくやられる幸村部長じゃないから、氷水をかわすけど、とっさに幸村部長の後ろにいた小学生を避けて壁に激突してた。

あわわわ…、思いっきり仁王先輩睨んでるよ、生きて帰れんのかな?

そうだよぁ、このメンバーで来て、何も起こらないハズないんもんなぁ…。

「…ふっ、」

何か吹っ切れたみたいな幸村部長が壁から体を起こすと、

「銀盤の貴公子と呼ばれた、」

幸村部長は白いフィギュアでスピードスケートの選手の構えをとると、一気に加速した、このセリフと一緒に。

「僕に勝つにはまだ早いよ。」

まさかまさかまさか?!

ま・さ・か・のっ?!

黒属性で反りのあわない不二さんのマネをしたよっ?!幸村部長がっ?!

しかもなんでフィギュアでそんなにスピードが出んのっ?!(幸村部長だから)

妹さんの白いフィギュアを履いてて(幸村部長の妹さんも170あるらしくて、足も結構大きいとか)、今日はアイボリーのダウン着てたから、しょっちゅうナンパされてキレてた幸村部長はマジだ。

きっと仁王先輩死ぬ。

かわいそうに、あ、あのお宝DVDは赤也君にって今から一言もらったとこ。

「弦一郎、お前も何か言ったらどうだ?」

と俺に手を引かれる柳先輩が実は滑れないとか…。

中学生にもなって男同士で手を繋いでるから、結構視線が痛い、特に女子の。

もう、俺、女の子にモテないかも…。

「柳君の何かは、誰かの物真似をしろと言う事でしょうねぇ。」

て俺と柳先輩の隣を歩く、そうリンクなのに、スケートなのに、歩いてる柳生先輩っ?!

謎だ、この人も謎過ぎる…。

柳生先輩が歩くたびにカタカタとか音して、普通にホラーなンスけど…。

で、真田副部長。

うまく柳先輩に乗せられたのと、前を走る二人を見て、何やら唸りながら、やっと出た言葉は!!

「俺は負けない!!」

キターっ?!

終生の好敵手(真田副部長談)の手塚さんのセリフいったーっ?!

他のお客さんを省みず、年齢不詳一部性別不詳のデッドヒートを繰り広げる立海生。

一体誰が勝つんだろうなって、ぐるっと追っかけながら見てたら先輩たちが声が上げた。

「ほおう?」

「おや?」

柳先輩と柳生先輩の視線の先に、ジャッカル先輩と丸井先輩。

あっちゃー、ジャッカル先輩のためにスケートに来たのに、すっかり忘れてたし…?

てよく見たら?

丸井先輩は上の弟のスケート教室の予行練習で、下のチビッコも連れて来てた、それが勝負の分かれ目だった。

自称カッコかわいい宣言の丸井長男に、ナマデレ次男に、ラブデレな三男で、オネエチャンたちに囲まれてる。

ジャッカル先輩もハーフ効果で日焼けギャル(っていうの?)がわんさか。

……なんか、俺たちが教えなくてもよくね?

「さて、冷えてきた事だし、一度上がるか、仁王?」

「は?」

「自販機のカップラーメンって高いんじゃだが、つい食いたくなるの、赤也?」

「へ?」

いきなり両手を取られて柳先輩と柳生先輩の格好した仁王先輩(私服入れ替わりって意味あんの?)が俺を引っ張ってリンクの出入口まで滑ってく。

あれ?

て言うか、この二人も滑るじゃん?

じゃ、別にテニス部でスケート教室ってやんなくてもよくない?って思ったけど。

今日はたまたま入場料無料だから、まっいか?

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