3000打勝手に柳祭り 1/5
CC 幸村精市
Sub 柳祭り始めるから
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はて?
人の了承も無しに名前を出されて祭りだと言われても些か腹立だしくもあるが、この一斉送信されたメールは見なかった事にすべきだろう。
そう心の奥に弦一郎に呼び止められた。
「その、今日、は、部活の後、何か予定があるだろうのか?」
と本人に聞いてどうする、そこは予定があるかで良いだろう。
しかしこの挙動不審具合は、同じ組の恩田さんの件や精市のリコーダーの件以来だな。
「注文した本が入荷したと電話が入ったので行こうと思っていたが、どうかしたのか?」
事実だが土曜日に部活後に行こうと考えていた、そう急ぐ事も無いが弦一郎の情けない顔を見たくてつい言ってしまった。
「む…、そうか…、うむ…。」
眉を下げて何か考える様子の弦一郎、これは何か企んでいるな、弦一郎の癖に。
まぁ、企んでいるのは分かっているが、後ろには精市がいるのだろう、精市に敵う部員はいない事だし。
ここは一つ乗ってやるか?
「別に早急も読みたい物でも無いので別に今日でも無くても良いが?」
「む!!そうか!!すまんな。」
途端に顔を輝かせる弦一郎は飽きないな、嘗て貞治と共に会いに行った宗一郎さんに似ている。
「実はだな、…左助君の誕生日が近いのだが、」
「…何を贈ったら良いのか分からない、と?」
「おお!!流石蓮二!!話が早いな。」
ちっ、何か当てが外れたな。
「む?何か言ったか?」
「…あぁ、いや、あの年頃は難しいからな。俺も少々考えていた処だ。」
こう言う時だけ勘を働かせて、本当に興味の尽きない奴だ。
左助君は六歳か、何に一番興味を示すかによるな。
だが、本当に左助君の誕生日プレゼント選びなのか?
「む?如何したのだ、蓮二?」
「…いや、では、また部活にでも。」
「そうだな。では宜しく頼む。」
と任務完了に安心したのか足取りも軽く先を行く弦一郎の後ろ姿はやはり宗一郎さんだ。
あれから四年、宗一郎さんは還暦も越えただろうか、今年の暑さに体調を崩していないか少し心配になった。
後で貞治に連絡を入れてみようか。
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