夏休みの自由課題


夏休みの自由課題

テニス部でグループ研究に挑んでみました。


「うわぁ〜っ?!こんなにいっぱいの魚どうしたンスか、ぶちょー?つか、マジすげーッス!!」

予想通り赤也が喜んでる。

「ふふ、手塚と一緒に釣りに行ったんだ。」

とクーラーバッグ一杯の魚を次々さばくジャッカルが、

「でも、これ全部俺達が食っていいのか?」

「塩焼きだけでは勿体無いですからね。」

魚の内臓にビビる柳生は一番離れた所にいる。

「残ったら、真田のお母様が料理にしてくれるって。」

確かに捕りすぎっていうのはあるかな?

も少し家においてくれば良かった。


3−C 幸村精市
相模湾に生息する魚と夜釣り体験についての報告


「このバーベキューコンロはよく出来ているな。仁王が作ったのか?」

珍しいこともあるの、真田が俺を誉めとる。

「将来の為に、溶接の講習ついでにじゃ。」

三日もあれば誰でも取れるし、全国終わって気が抜けてるとこに良い刺激になったぜよ。


3−B 仁王雅治
アーク溶接講習(座学10時間、実習10時間)のレポートとバーベキューコンロ制作(本体提出予定)


「こんな竹を見付けんの大変じゃなかったッスか?」

設計図通りに竹を組み立てる赤也に中々器用な処もあるのだと感心した。

「祖父が好きでな。たまには山菜採りに付き合ってみようと思ったのだ。」

自由課題のテーマを決めかねていた時に祖父に誘われたのだ。

ついでに見付けた青竹で何か細工物でもしたらどうだと言われ、それは多分全国終了後で気の抜けているだろうう赤也に薦めてみたのだ。

貯金箱かカップで済ませるかと思いきや、何処からか調べてきたのか流し素麺の台等と洒落た事をしてくれる。。


3−A 真田弦一郎
竹の採取と山菜採りに見る山の生態系について


2−D 切原赤也
ご家庭で簡単に制作できる流し素麺の台(本体提出)


「うぉーい!!みんな、聞けぃ!!この丸井ブン太様特製手打ち素麺&山菜天ぷらのお出ましだぜぃ?」

一番デカいざるに山盛りの素麺と大皿目一杯の山菜天ぷらを持ってきてやったのに、赤也の奴、まだ流し素麺の台作ってねぇし。

「少しばかり早かった様だな。」

なんて呑気な事を言う柳が赤也に手伝って、タコ糸で竹を縛っていた。

「仕方ねぇな、この俺が天才的な工作技術を見せてやるぜぃ。」

日陰に素麺と天ぷらを置いて赤也に近付けば、

「とか言って壊さないで下さいッスよ?」

「つか、生意気だろぃ?」

「それが赤也の売りだからな。」

この暑さも感じてない涼しい笑いの柳に、そりゃそうかもしんねぇけどと俺も笑いたくなったが、とりあえず、この俺を待たせるのが許せねぇからデコピンを食らわせてやった。


3−B 丸井ブン太
手打ち素麺と山菜の天ぷらのレシピ


「あれだけの資金でよくこんなに肉が買えたのぅ?」

もう暑さにぐったりしているけど、好物の焼き肉の為にせっせと炭火の加減を調整する仁王に聞かれた。

「たまたま親父が仕事で取引先の食肉工場の見学に行くって言うから、俺もついて行ったんだ。そのお土産でもらったんだぜ。」

教科別の宿題は登校日のたびに提出あったり、部活の後の勉強会でなんとか終わらせたけど、毎年自由課題だけはギリギリまでやれないからなぁ。

今年は親父が誘ってくれたお陰でなんとか助かったぜ。

しかも中学生の課題テーマで書くって言ったら、工場の人がいろんな肉をたくさんくれた。

「ジンギスカン食いたかったんじゃ…。」

嬉しそうに炭をひっくり返す仁王に、

「俺、味付けカルビ大好きッス!!」

「最近牛のタン塩ってなかなかスーパーで見ないしね。」

すんげぇいい顔の赤也が両手を上げて、幸村も穏やかに笑っていた。

またには俺も役に立ったんだって、ちょっと嬉しくなった。


3−I
食肉工場見学の感想と魚を使ったブラジル料理のレシピ


「仁王っ?!それ、俺の肉だ!!」

「ブンちゃんは自分のでも食っとれ。」

「ムカつくチョロ毛。ジャッカル!!焼けよ!!」

「…今焼き鳥でも食ってろ。」

「俺、山菜とか苦手なンスよね…。」

「赤也、野菜も食うのだ。秋には倒れるぞ。」

「真田ー、素麺取ってよ。」

「それでは流し素麺の意味が無いのでは?」

「じゃ、柳生が取って。」

「仕方ありませんね。柳君、上から素麺を流して貰えますか?」

「分かった。今から素麺流すぞ。」

「うっしゃ!!赤也、勝負だ!!」

「プリッ。」

「負けたら、焼き肉一回休みッスよ。」

「まだあるから、そんなことしなくてもいいだろ…。」

「面白そうだね、やろう。」

「俺は、」

「弦一郎もだ。」

「む…、俺は負けんぞ。」

「その意気、その意気。それじゃ、第一回チキチキチキン流し素麺大会!!」

今回も中々興味深いデータが取れた。


3−F 柳蓮二
流し素麺と焼き肉における心理の作用と状態に関する記録と考察


「うわぁ、いつのまにこんなに撮ったンスか?」

切原君がアルバムに入った写真の数に驚いているようです。

「コレ、あんときのだろぃ?」

「あぁ、キレた仁王がコンロにロケット花火を入れたりするから。」

丸井君が指した写真に幸村君も覗き込みました。

「肉を掴んだタイミングで花火がコンロの中で爆発した物だから、その時の弦一郎の顔が…。」

余程おかしかったのか柳君は真田君から顔を背けて笑いを堪えていました。

「もう花火は持ってくるな!!いいな!!絶対だぞ!!」

と真っ赤な顔で言われても説得力はありませんが。

「でも、比呂士の結構写ってるよな。」

桑原君が何枚か指差している写真には私が写っています。

「多分、私がカメラを置いていた時に皆さんが撮って下さったんでしょうね。」

後は人数焼き増しするだけです。


3−A柳生比呂士
男子テニス部交流会の記録

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