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三強会談2

今回はちょっと下世話なお話

調子に乗ってまた開催してみたけど、やっぱり真田は部誌を書いてるし、柳は赤也の課題を作ってる。

(今度のお仕置きは何がいいかな?)

あれ程赤点取るなって言い聞かせて、俺達の勉強時間削って教えてやったのに、なんで28点とか、そこまでいったら残り2点くらい根性見せろよ。

大体赤点とって怒られるのは赤也だけじゃないんだぞ?

所属部活の部長の俺も「あんまり練習きつくて学業が疎かになるようなら切原君の部活動を控えさせて貰う事になるけどいいかな。」なんて大会前に言われた俺のプレッシャーは分かるかい?

テニスと部活動の事だけなら俺の責任だけど、勉強まで俺ですか?切原君、お前のゲーム機と漫画預かっていいですか?くらいの勢いなんだけど。

あ、赤也、恋愛PRG持ってないか?

「小耳に挟んだ話によるとG組の前田は処女ではないらしい。」

「マジでっ?!」

「…っ?!」

流石柳!!この会議に持ってこいな話題を提供した!!

真田は真っ赤になって俯いたけど、俺は一発て食い付いた。

「なんで知ってるのっ?!」

身を乗り出して食いついたら、柳は自嘲気味に唇の端を吊り上げて、

「廊下で話しているのを偶然聞いてしまった。少し意外だったな。」

前田は去年のミスコン一位で、立海で一番清純が似合うとか表彰式で言われてた、俺はあの裏表の激しそうな嘘臭い笑顔が気に入らないけど。

「…ま、まだ、義務教育の課程では早いのではないか?」

視線をどこに定めたらいいのか迷っている真田は本当に硬いな、別にいいじゃない、好き合っている当人同士が納得してるなら。

「早いかどうかは人それぞれだが、俺はどうもあの打算的な女は苦手だ。」

と苦笑いで肩を竦めた柳、あぁ、これはテニス部と言うだけで前田に告られたんだろうな。

テニス部部長の俺じゃなくて、生徒会もやってる柳って選択が憎い。

部長は二学期には引き継ぎがあるけど、生徒会は卒業までないからなぁ、自分が何かあった時に彼氏の力を頼ろうとするのが打算的で鼻に付く。

「そ、の手の話になるがな…、G組の大島が…、こ、コンドームを持っていたのだっ!!」

と叫んだ瞬間両手で顔を覆った。

うわぁ、俺、どっちに驚けばいいの?

真田の純情振り、てか、お前もそのうち必要になるんだよ?

G組の大島なんて去年俺と同じクラスで、せっせと読書感想文やら作文やら書いて佳作とって地味に内申稼ぎしてる、校則も地味に違反してるようなどこにでもいる可も不可もないタイプだけど。

「一時期援助交際をしていると言う噂があったな。」

眉をひそめた柳はどこからそんな情報まで仕入れてくるんだ。

「別に知りたくて調べた訳ではない。うちのクラスの女子が噂をしていたのを聞いたまでだ。」

「あ、そ…。」

出たよ、柳の読心術。

俺の表情を見た柳がまたなんか言いそうになる前に、

「で、真田なんで大島がコンドームなんか持ってるの知ってるの?」

「…それは、だな…。G組の女子が盗難にあってな、犯人は絶対に同じクラスの奴だと言い張るからそこで急遽持ち物検査をしてた処、」

「大島の鞄の中に常備してあったと。」

真田の後を柳が引き継ぐのはいつものこと。

あー、言われてみればそんな噂あったっけ?

て言うかさ、そこは普通担任の出番だろ?

なんでそこまで風紀委員会に任せんの?自主性じゃなくて完全に職務放棄だし。

いやいやそれより、騒ぎ大きくして教育委員会は私立だから影響受けにくいとか聞いたけど、下手して週刊誌に食いつかれたら、全校大会出場自粛だよ?

だから自己中気味の帰宅部って嫌いなんだよね。

「そう言う精市は何か無いのか?」

自分達だけに言わせてずるいって事か、真田なんてジト目で睨んでるよ、だから可愛くないって。

「H組の古田って分かる?化学の秋本とキスしてた。」

たださえ薬品の匂いが憂鬱な化学なのに、教科担がそんなことしてたら、ねぇ?ボイコットしたいよ。なんで化学が必須なんだよ、選択でよかったじゃん…。

「ほおう?」

「教師が生徒を毒牙に掛けるとけしらかん!!」

開眼した柳はなんか悪巧みを思い付いたのか楽しそうな声を上げたし、真田は真田だ、今回ばかりは俺も同じ気持ちだよ。

「確か、秋本先生は男子バレー部の顧問だった筈。これは良い事を聞いた。ありがとう、精市。」

「…手柔らかに頼むぞ。」

すっごく楽しそうな柳に引き気味の真田が釘を刺した。

雨の日の体育館使用交渉にこの話を持ち出すんだろうな、本当にうちの参謀様は怖いよ。

ま、でも、それは自業自得って奴でしょ?

何にせよ、立海男子テニス部に死角は無いからね、ふふふ。

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