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楽しむ為の非情のテニス



「と言う訳で、早速始めるよ。」

「はっ?!ちょっ?!どっから、何がどんな風に繋がってるンスかっ?!」

出たっ?!幸村部長の無茶振りっ?!

なんかまたおっかないことやらされんのかとビビっていたら、

「実は昨日ミスターフルスィングを読んでね。」

かなり型破りな野球漫画だ、同誌系列ヨイショネタ。

「それでエラーや失点の度に一枚ずつ脱いでいく野球拳と言うのがあってね。面白そうだから1ゲーム落とす毎に一枚ずつ脱ぐテニス拳をやってみようかと思って。」

超きらきらの笑顔の幸村部長、バリマジ本気に妲妃に見えた、フジリュウの、二回目同誌ヨイショネタ。

この飛んでもない提案に真田副部長はオロオロしてるけど、幸村部長は止められないのは身を持って知ってる。

唯一幸村部長を止められそうな柳先輩も予想外だったらしく、少し眉間にシワを寄せて考え込んでた。

「ルールはさっき言ったみたいに1ゲームにつき一枚脱ぐ事で、脱ぐ物が無くなったら追加メニュー。首から上、足首から下は無し、ついでにリストバンドや腕時計も無しだから。じゃ、真田と丸井、見本ね?」

「ゆっ、幸村っ?!」

「いきなし真田はないだろぃっ?!」

ルール説明の流れで二人を指名したけど、理由はなんとなく分かる。

今日はちょっと暖かかったから、さっき練習で汗をかいた真田副部長と丸井先輩はジャージとトレパン脱いでたから。

そうなったら、大体のやつはウェアとハーパンとぱんつしかない訳だから、どっちが先にギブアップするかだ、丸井先輩だろうけど、今日はやたら食いついてる。

さすがに中学生になってぱん一でテニスはないし。

俺、まだトレパンはいててよかった〜って思っていたら、上からこんな声が。

「今日に限ってハーフパンツを忘れてしまった。」

「さんぼーはまだマシナリ。俺、ジャージの下マッパじゃけ…。」

「…私も何があっても脱げないTシャツでして…。」

「俺もハーパンはいてねぇし、つか今日のパンツはやべぇ…。」

柳先輩はあんま脱がないし厚着派なのは知ってる、仁王先輩はたまにそんなことやってる、柳生先輩はお父さんが変Tマニアで間違えて変な言葉が書いてるTシャツを持ってくる、ジャッカル先輩のぱんつはけっこうアダルティーだったり。

「あはは、丸井、ホラ脱いで。ぱんイチになりなよ?それでも勝とうって意思を見せな。」

「…いや、ホントムリ、まじ勘弁して…。」

真田副部長に2ポイント取られたら丸井先輩は上半身マッパで、幸村部長にハーパンを下げられようとしていた。

勢い余ってブン太エクセレントをコート上で披露してしまったのはテニス部黒歴史に残るだろう、このテニス拳と一緒に。

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