正解者には比呂士君人形三体
我が立海大の体育祭では軍ごとに揃いのＴシャツ、通称軍Ｔを作成する事で有名です。
それぞれの軍で結束を固める為に作成したＴシャツが出来上がる頃、幸村君が部活に軍Ｔを着てくるようにと言いました。
恒例の部内御披露目会でもあります。
「やっべぇ、黒軍の軍Ｔかっけー。」
桑原君の軍Ｔを見た丸井君が歓喜の声を上げました。
「風林火山とか、こりゃ真田の一人勝ちじゃな。」
わざとワンサイズ上の青い軍Ｔを着た仁王君が覇気の無い声を出しました。
軍分けで私達３−Ａは桑原君の３−Ｉと一緒になりました。
「なぁ、ジャッカル。俺の海平Ｔシャツと交換しろよぃ？」
「こればっかは駄目だな。俺もこの漢字Ｔシャツ気に入っているし。」
「いや海平も漢字だろぃ？」
桑原君の軍Ｔを引っ張る丸井君に、仁王君も、
「やーぎゅ？終わったら、俺のうみへいＴシャツと交換せんか？」
「残念ですがそれは無理です。」
我が軍の軍Ｔはどなたがデザインしたか分かりませんが、前は左胸に「魂」と、後ろは風林火山をバッグに龍虎が対峙すると言う正に真田君の為の仕上がりになっていました。
「青軍ってマジにうみへいＴシャツなんだ。」
柔らかな声に振り返ると幸村君が立っていました、白地に
krkt
━━(°∇°)━━━!!!!
と書かれたＴシャツを着て…。
他の軍から影で「神Ｔ」と呼ばれている代物です。
「幸村君似合いすぎだろぃ。」
丸井君の言葉に幸村君とkrkt顔文字の笑顔が黒くなった気がします。
「もう揃っていたのか。」
何時もの様に涼しい顔でやって来た柳君を見た私達は声も出ません。
「言いたい事は分かるがな。」
と腕を組む柳君へ、
「うわぁ…、柳先輩、オレンジ似合わないッスね。」
名前の通り真っ赤な軍Ｔを着た切原君が言ってはいけない事を言います。
「つか、発音記号でオレンジとか、どっかのブランドのロゴっぽいスよねぇ？」
「そう言う赤也もひょうたん島ではないか。」
「えへへ〜、かわいいっしょ？」
「あぁ、可愛いな。Ｔシャツが。」
二人の会話に何か胸の辺りが焼ける様に感じます、逆流性食道炎でしょうか。
それは私だけでは無かった様で、
「さて、ここでクエスチョン。実際管理人が着た軍Ｔはどの柄でしょうか？」
沈黙が支配します。
しかも何故解答フォームが出来上がっているのですか？
これに何の意味があるのですか？
「スーパー比呂士君人形の場合は３ポイント、」
「いや、いらねぇいし。」
「私はそんなに安売りをしていませんよ。」
仁王君の言葉に丸井君が即座に否定しましましたが、それ以前に私の自尊心に懸けてその様な人形は断固拒否します。
「みんな、ノリが悪いな。」
つまらなさそうに頬を膨らませた幸村君と一緒に軍Ｔの顔文字も
(°∇°#)
に変わったのは、目の錯覚でしょうか？
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