どうしてもそれでなければいけないのです(柳生誕)


どうしてもそれでなければいけないのです


▽15歳以上推奨
▽最下部画像閲覧注意
▽やぎゅうは しんしを すてたようだ



誕生日プレゼントに何が欲しいかと聞かれましたので正直に答えたところこの有り様です。

まさか幸村君にまでそのような顔をされるとは思ってもいませんでした。

何がいけないのですか?欲しい物を欲しいと答えたでしょう?

中学生である皆さんと私ですから、相応の身の丈にあった物だと思いますよ。

「あー…、つか、柳生、まじ?」

丸井君が視線を反らして質問します。

「えぇ、私は本気で正気ですよ。」

それなのに真田君と柳君が難しい表情をしました。

何がそんなに難しいのでしょう?今開いている画面の注文ボタンをクリックするだけではないですか?

「俺だったら、ブルマかな?」

マウスを持って画面を切り替えた幸村君は何も分かっていません。

「この写真やばいよね。股布とか言うの?直接触れる部分が白い布じゃん?眼鏡じゃないの拭きそうじゃない。」

幸村君、考えてもみて下さい。

画面の外側で活躍するブルマを見た事がありますか?

我々の世代では男女平等の名前の下に、立海の夏の体操服はハーフパンツではないですか…っ!!

学校指定Tシャツから透ける膨らみを隠す布地だけが楽しみです。

「ブルマよりはスパッツだろぃ?」

「むしろぶるっつじゃないッスか?一粒で二度おいしい的な。」

出ましたか、切原君の矢吹信仰、私は君の将来が非常に心配です。

「豹柄はわざとらしいッスけど、水玉なんかは姉ちゃん持ってそう。」

と首を傾げながらクリックをしていく切原君もついに三次元に興味を持って下さったんですね。

「赤也、お姉さまのぱんつ取って来い。」

幸村君、早まってなりません!!君にはキャラと言うものが…。

「いやッス!!まだ死にたくないッスよ!!」

真っ青になって断固拒否する切原君は正しいです、私も自分の命が懸かっても妹の下着を他人に渡す真似はしません。

「あ?部長命令聞けないのか?」

「だったら幸村部長が直で言やいいじゃないッスかっ?!その代わりホモ妄想の材料にされるッスけど!!」

なんとっ?!切原君の姉君もそちら側でしたか…。

これは身内にしか分からない苦労です。

「……」

無言で微笑む幸村君とはその苦労を分かち合っています。

「総受けとか面と向かって言われても耐えられるッスか?!」

涙目の切原君に幸村君は曖昧な微笑を残して背を向けました。

「…おまんら、何も分かっとらん!!」

珍しく声を荒立てた仁王君は携帯を突き出して、

「男ならおっぱいピローに決まってんじゃろっ?!」

抱き枕としてギリギリの形状なそれが画面一杯に広がっています。

まだ見ぬ突起までが詳細に再現され、迂闊にも仁王君の言葉に頷いた真田君とはアデューですね。

「こうなるとダッチワ、」

「ちょっ、柳早まるなっ?!」

今まで褐色な肌を真っ赤に染めていた桑原君が慌てて柳君を止めます。ええ、止めて下さって本当にありがとうございます。

私の中で柳君だけが最後の砦です。

現実はそうではないですけどね。

「この抱き枕さ、ウェアとか着せたらいけそうじゃない?」

「…うむ。より現実味が増すな。」

ええ、これが現実なのです、これが王者立海の部長副部長なのですよ…。

「いやー、それよりワイシャツの方が…。」

「ジャッカル先輩も好きッスねぇ?」

「その前にブラだろぃ?」

皆さんそれぞれにこだわりがあるようですが、やはり私はこれです。

「誕生日プレゼントはいちご柄のふきパンでお願いします。」

女性用下着を連想させる形に、あのレオナルド・ディカプリオにもCMで言わせたいちご柄、しかも実際にクリーナーの役目を果たすのは秘密の花園をひっそりと覆い隠すあの儚げな部分!!

趣向と実益を兼ね備えたこれ以上に素晴らしい商品があると思いますか?いえ、ないでしょう!!

暫しの沈黙の後、切原君がぽつりと言いました。

「今、ウーロンを思い出したッス…。」

それに私以外の全員が深く頷きます。

皆さん、本当に分かっていない。

彼は後付けの征服欲よりも命懸けで性欲を満たしたのです。

彼を尊敬しない理由はないでしょう。

かくて私は誕生日プレゼントに念願のふきパンいちご柄をいただいたのですが、誰が注文するかと揉めた末に柳君経由で乾君が注文して下さったそうです。

プレゼントと一緒に渡された乾君の連絡先に、新たな眼鏡道を開ける予感がする十五歳になりました。




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(20111019)
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