君の先輩でありがとう(幸村・切誕)


君の先輩でありがとう



「のう、母さんや。」

「は?ついにボケた?」

先生をお母さんてのはあるけど、部長をお母さんてこいつどんだけアレ?頭の中身もペテンな訳、一応これでも成績はいいんだけどね、まじペテン。

「そんな、俺とおまんの仲じゃろ?」

「いつから?」

「前世から。」

「死ね。死んだら転生するな。」

お前は立海の、いや世界の汚点だ、恥だ。

「そんな言わんと、赤也のお誕生日どうする、グベッ?!」

「それを早く言え!!」

だからお前はいつまで経っても柳生を越せないんだよ。

「赤也の誕生日?そうだね、俺「と俺」の天使がこの汚れた世界に「おまんがいるからの」舞い降りた日だから、盛大に祝いたいね。例えば横アリで赤也お誕生日会カウントダウン、みたいな略してABC「ダサッ」あれ?なんか良くない?俺カッコ良くない?超天才じゃん?んでチケット料で赤也が好きな時に好きなだけテニスができるように屋内テニスコートをプレゼントしてあげるの「跡部っぽ」良い事と言うね、仁王の癖に。そうか、跡部でもプレゼントできる物をわざわざ俺がプレゼントしなくてもいいか?神の子の俺でしかできない物をプレゼントしないと意味ないのか?じゃ、仁王ちょっと真田に切腹の見本見せて貰ってやって来い。」

「酷っ?!鬼!魔王!ゆき…目がぁ?!目がぁぁぁっ?!」

さっきから俺の邪魔をする仁王にイップスをして、その無駄に柳生ムスカはやめてあげなよ、机の上にあった封筒の中を見た。

うん、うん、ユキチが五人、良い数だね。

「仁王、君の努力は無駄にしないよ…。」

ありがたくブレザーの内ポケットにしまった、てかこいつテニス部の写真売ったの知ってんだからな。

「ちょい待ち?おまんの為じゃな、てかそのキャラ何?俺死んだ事にせんと?!」

「うるさいんだけど?これで赤也の誕プレ買うだろ。俺はこういうギャラだよ。」

そう俺は神の子だから儚げな美少年で間違いないんだよ、てかもうしゃべるなペテン師。

「残念ですが幸村君、切原君の誕生日プレゼントはもう決めてあるのです。」

「だから無闇に柳生のまねすんな。」

「幸村ぶちょー、にお先輩ー?」

来た!!マイエンジェル赤也!!

「赤也、俺に会いに来てくれたんだね。さぁ、焼肉に行こう。好きなの頼んでいいからね。あ、気にしないで俺の奢りだから。」

「ほぇ?」

「ハイ、ストップ犯罪者。」

「未遂だよ。」

赤也の肩を抱いた瞬間に白髪に気安く肩を掴まれた。

「あだだだ〜?酷いナリ…。」

余っていた手で仁王の耳を千切っておいた。

「幸村ぶちょーとにお先輩、仲良しッスね…。」

「…」

「…」

きゅるんと上目使いの赤也に俺と、仁王も胸を撃ち抜かれた。

さすがエンジェル赤也、ピュアな眼差しは半端ない威力だ。

はっきり言って可愛すぎる。

「さすが俺がお腹を痛めて生んだ子…。」

「たまに悪魔化するのが幸村のこぼぉっ?!」

「にお先輩?!大丈夫ッスか?!」

「大丈夫に決まっているじゃないか。だって仁王だよ。」

「そーッスよねぇ。」

余計な事を言う詐欺師の鳩尾に一発決めれば、後は純粋な赤也は俺の言葉に簡単に納得した。

「赤也、誕プレの予算が五万あるんだけど、赤也は何がいいかな?」

「幸村…。」

仁王がジト目で睨んでくるけど、だって本人が好きな物を選んだ方がいいじゃない。

「えっ、と!!それで光呼んでもいいッスか?」

屈託のない笑顔の赤也はまさに癒しだが、お願いは悪魔だ、何が悲しくて大阪の毒舌小悪魔を召喚しないとならないんだ。

「…赤也。四天宝寺は、テスト期間中なんや。」

「えー…、そうなンスか…。」

悲しそうな顔に罪悪感だがこれもまたモグモグ、違う、仁王、よくやった!!

微妙に絶頂野郎っぽかったけど許す!!

「じゃぁ、しばらくチョタやヒヨたち四人で会えないのか…。」

うわっ、ぎゅっしたい、ぎゅっ!!

赤也可愛すぎ、やばい、可愛い、なんでこんなに可愛いの?なんであの二年レギュラーたちはこんなになつかれてるの?

俺たち同じ学校だけどやっぱ先輩後輩の隔たりは感じるのよ?

「赤也ァァァ!!俺の事を父さん呼べェェェ!!」

「俺の父さんは真田ふくぶちょーだけッス!!あと似てないッス!!」

「…くっ、俺は負けない。」

「手塚さんにも似てないッスよ?」

なんか真剣に悩む俺の目の前でペテンコントが始まったけど、俺も参加した方がいいのかな?

「幸村ぶちょーは幸村ぶちょーで、」

「赤也…?」

「にお先輩はにお先輩ッス。」

「…プリッ。」

右手で俺の左腕に絡んで、左手で仁王の右手と繋ぐ。

「だからふたりはそのままでいて下さいよ。そんな幸村ぶちょーとにお先輩が好きッス。」

なんて言われたら、俺と仁王は赤也の頭の上で顔を合わせて苦笑するしかない。

こんな風にストレートに好きだなんて言ってくれる君が一番好きだから。

赤也がこの世界に生まれた今日を盛大に祝いたくなるじゃないか。

「…柳たちも呼ぼっか?」

「柳生らも委員会終わるじゃろ。」

俺たちに挟まれてご満悦の赤也に気付かれない様に俺と仁王は空いた手に携帯持って至急部室集合&赤也お誕生会開催の一斉送信。

「えへへ、なんかこうやってるのって、恥ずかしいけど嬉しいッス。」

俺と仁王の肩を交互に頭をくっつけて喜ぶ笑顔が可愛くて、いつもは信じない神様に感謝したくなる。

天使みたいな後輩を授けてくれてありがとう。

君の先輩になれた事が俺たちの誇りで自慢だよ。

赤也、誕生日おめでとう。

※桃姫八雲さまへ捧ぐ ぐしゃっさま五万打記念
(20110925)
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