短編


最終危険圏域回避率0

※かなりお下品、言いたい放題注意



ヤバイヤバイヤバイ…、幸村精市、只今絶体絶命の大ピンチ!

さっき、お気に入りのナースさんに「精市君、二時から検査ね。」って言われて、無意味に気合いが入ってしまったが、まぁ、結果は前回より芳しくないのは分かる。

そうじゃなくて、検査はいいが、今日はリネン交換日だ。

ベッドカバーやら枕や掛け布団をごっそり交換される。

それは前から分かっている、伊達に長期入院してない。

問題は。

今抱きしめている変型A4の本。

タイトルはOPP48。

いかにも流行りパクりました感満載の写真集。

ただの写真集じゃない、男なら一度は目にする手に取る、タイトルからも分かるようにゼロに等しい布面積のスタイル自慢、特に胸部に自信がある女の子たちがわんさか載ってる写真集だと言えば理解してくれるだろうか?

と、ちょっと柳っぽく解説しても、あのおっぱい星人め!!てめぇ、これを分かってて差し入れしやがったな?

道理で最近ナースセンターに入り浸ってるって話だ、あの白髪童貞め、いや俺もそうだけどさ?あの野郎、中三で三十人斬りしましたみたいな顔しやがって、ベッド上のペテン師が、肌色DVD30本の間違いじゃないのか?

いや、落ち着け、幸村精市。

仁王が童貞とか下の毛は黒いとかどうでもいい、本当にどうでもいい、被ってるくらいどうでもいい。

つまり、俺は。

検査で部屋を空けなくてはならない日に、リネン交換で俺がいない間に他人が部屋に入るのだ。

柳生とかが貸してくれるダンオニロクは紳士だからちゃんとカバーをしてくれる、最悪中を見られても活字だし、まぁ、そう簡単にそんな物だとは思われない、はず?

でもこのOPP48はそのものズバリ、表紙からして三人娘の弾けんばかりの笑顔と水着だ。

こんな本を密かに病室に持ち込んでるなんて、ナースさん達の俺のイメージが……っ!!

いや、現場支えている方達の印象良くしておくのは大事だよ?

病状悪化した時にナースコール押して応答して駆けつけるまでに差が出るからね、いや、本当に、お互い人間だし、それは否定できないよ。

学校では職権乱用だ魔王だって言われてるけど、ここではあくまで可憐で儚げな美少年だから。

アイドルがトイレに行かないと同じで、美少年は自家発電はしないんだよ!!

…嘘、たまにしてます。

て?!何カミングアウトしてんだよ?!

そうじゃなくて、この裏も表もおっぱいだらけの写真集の存在だ!!

ちくしょー、さすが立海一のおっぱい星人を名乗るだけある、ありとあらゆるおっぱいがあって、全ジャンル対応な仕上がりだ。

おっぱいには妥協をしたくない俺も、思わずこれは?!と釘付けになるページがありましたよ。

ありましたよ?

だからと言ってなぁ、お前らの好みなんて知りたくないんだよ?!なんでわざわざ付箋貼って名前書いてんだよ?イチオシのつもりか?

お前、一番付き合いの長い真田がまさかの金髪好きだって知らなかったからな、おっぱいより太股がエロい子だった。

柳が微乳、失礼(笑)手ブラの手が余るくらいの美乳好みって、あれか?将来マジで葵の上計画狙ってんの?

柳生はスク水×棒付きバニラのロリ巨乳だし、ジャッカルも公式通り爆乳好き、谷間を流れる汗がヤバイし、仁王はデカけりゃいいと思ってるし。

意外と丸井がマシで胸はまぁまぁの大きさでクビレ具合がそそる子、赤也は二次元がいいとか、俺、本っっっ当に赤也の将来が心配、マジに早く全回復して退院したい。

そして赤也の女性恐怖症を克服と称してムフフだ、その時は当然仁王も道連れだからな。

「精市君、そろそろいいかな?」

「あ、はい。今行きます。」

と儚い笑顔を作っているが、心臓があり得ないバッグバグ言ってる、これ、普通に検査に影響でるよね。

大体にして入院中は患者様のプライバシーの保護に努めますとかって入院の手引きのパンフレットに書かれてるけど、期待するよりないからね?

俺は大部屋から個室に移ったからまだマシだけど、大部屋の時はマジしんどかった…。

とりあえず内科で入院したけど、ベッド空いてなくて小児病棟に入れた時は、初っぱなガキどもに囲まれて「洗礼」受けたから、繊細な神の子をモロに叩かれましたから。

泣いたよ、中二が小二に泣かされたよ、いや、マジに。

それから俺が検査行ってる間にロッカーやらテーブルの引き出しを漁られて、「エロ本ないのかよ、終わってんな。」って、柳がいなかったらイップスしてたよ?

で一時期病状が悪くなって個室に移った時は天国来ちゃったね、毎朝ガキどもに神の子叩かれて起こされるなんて拷問もなくなったし、見舞いにテニス部しか来ないから、「オカマのうえにホモかよー。」なんて言われなくなった、ま、個室に移る前日にイップスかけてやったけど。案の定大騒ぎになったのは知らない振りだ。

それに個室だろうがロッカーや引き出しは付き添いに来る母さんも使うし、迂濶にそんな所には隠せない。

さりげなく教科書やノートの間に挟みたいけど、変型A4、大きすぎて隠れないどころかはみ出たOPPが存在を主張している、二重に意味で。

そして悪い事に、午後から母さんが来る予定だ。

また着替えや退屈しないようにおこずかいなんかを置きに来てくれるのだろう、とてもじゃないがロッカーに置ける訳がない。

こんなにも長く入院して、色々と親に負担を掛けておきながら、OPP48…、無理だって!!俺にも俺の両親の子供としてのプライドがあるし、見栄もある。

「幸村君?」

「今行きます!!」

お気に入りのナースが心配そうに病室を覗いてきたので、俺は咄嗟に目に入った場所へ写真集を隠した。

ここなら絶対に見つからない。

そう自信を持って、お気に入りのナースさんと検査室までの短い時間をデート気分で向かったのだ。

ところが、今日の内視鏡担当の下手さ加減にキレそうになりながら、今日ジャンプねぇよ、うっかりしてたーと売店で残酷グリム童話を立ち読みしてバニラヨーグルトを買って病室に戻ってきた。

「……」

それを見た瞬間、俺の手からビニール袋が落ちた。

真新しいシーツの上に鎮座するOPP48。

しかも、俺イチオシのページが開かれた状態でだ?!

何故?

何故なんだ?

俺は慌ててOPP48を隠した冷蔵庫を開いた。

「…っ、」

冷蔵庫のドアに挟められてたらしいメモが落ちる。

『いくら[オカズ]だからと言って、冷蔵庫で保管するのは良くないな』

見慣れた流麗な字に頭痛を覚えた。

まさか予想外の刺客が、いや裏切り者がいたとはね…。

俺は冷蔵庫の中から手付かずのケーキの箱と写真集を持って屋上へと急ぐ。

お前達は一つ勘違いをしている。

俺の弱味を握ったつもりでいるだろうが、それ以上に俺はお前達の秘密を知ってしまったからね。

さてと、誰が一番かまた分からせてやらなくちゃいけないな。

このおっぱい辞典でね?

(…ティッシュってあったかな?)


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こっそりT.M.R企画
ひなたさまリクエスト
LEVEL4
立海でシチュエーションお任せ


(20110815)
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