アッチの世界へサヨウナラ
ゴールデンウィークって言っても、どうせ部活と合宿で潰れたし、で休み明け朝イチから英語とか意味分かんないし。
来週だが再来週に考査とかまじ意味分かんないって思いながら、てにぬぼーいのお楽しみ、部活の時間だぜぃ、どう、天才的ぃ?とか某赤豚先輩の真似をしながら部室のドアを開けようとした。
「あ、真田!!」
幸村部長の声がした、あ、例によって例の如く入院設定とか軽くスルーして下さい、そのうち書くかもしれないッスけど。
意味分かんない注意書はおいといて、幸村部長ってば真田副部長に何かしてんのか?逆か?
「何だ、欲しかったのか?」
「真田ばっかずるい…。」
意外そうな真田副部長とたぶんこどもっぽく口を尖らせてる幸村部長、前は単純に可愛いって思えたけど、今は裏を感じなるってドアを回した時だった。
「幸村、もっと近くに寄れ。」
「真田の方が舌出せよ。」
ん?
ん?
んん?
え?なに?今の聞き違い?え?うそ?なワケないよな、うちの姉ちゃんが期待する展開なんて現実に起こんないよ、はははってドアを開けた。
「チィー……〜っ?!」
事実は小説よりキナリのキナリが分かんないけど今まさにそんな状況!!
真田副部長のネクタイを掴んで、自分の目線に合わせた幸村部長が真田副部長の舌を舌で……。
「あばばばば〜っ?!戻ってきて下さいッス!!まだ早まっちゃダメッス!!それだけはダメッス!!」
禁断の世界に足を踏み入れそうな二人の先輩を慌てて引き剥がすと先輩たちは不思議そうな顔をして俺を見ていた。
「え?赤也もほしいの?」
首を傾げた幸村部長はその辺の女子よりきれいだけどその首から下は神の子だから神の子を含む。
「だがしかし幸村で限界の様だな。」
「〜〜っ?!」
済まさそうな顔で俺の頭を撫でた真田副部長が、まさか…っ?!
俺は口を押さえて尊敬する二人の先輩から後退った。
あんなの、ファンタジーだと思ってた。
現実には絶対ありえないと信じてた。
だけど、起こった。
さすが、神の子とその相手が皇帝、俺のちっぽけな頭を軽く越えた。
「赤也、こちらで我慢してくれないか?」
「やなぎせんぱいぃぃ〜っ?!」
ドア前に陣取っていた幸村部長と真田副部長に気を取られていたけど、他に柳先輩とか仁王先輩も二人いた、え?二人?
てか、てか…、柳先輩で我慢とか、やばい、こんなのバレたら、俺殺される!!誰にって普通に柳先輩を好きな女子と姉ちゃんみたいな女子に!!
「オレンジは弦一郎で最後だから、残りは塩飴と黒飴と花梨だな。」
と柳先輩は俺に袋を見せてきた。
「…あめ…?」
だよな!!だよね!!そう簡単に男同士でキスとかないよ、しかも部活開始前の部室でさ。
その前に真田副部長が「部室と言う公の場で妄りに接吻等言語道断!!大体接吻と言うのは結婚を前提とした男女が行う神聖な行為だ。それを興味本意に同性と行うとはその腐った性根を叩き直してくれわ!!」くらい言いそう、そんなセリフがスッと出る俺もヤ…。
「聞いてよ、赤也?真田のくせにさー、オレンジとか言うんだよ、笑っちゃうよね。」
ブレザーを脱ぎながら口の中でカラカラと飴を転がす幸村部長に真田副部長は渋い顔をして、
「だから半分やっただろうが。」
ネクタイを解きながらカラカラ音がしてる。
え?飴はんぶんこ?舌絡めちゃうの?男同士で?
ナニコレ?現実?友達なら普通なワケ?全く意味分かんないと思って自分のロッカーに行こうとしたら、
「赤也、飴は良いのか?」
と柳先輩に腕を掴まれて目の前に飴の袋を掲げられた。
「…じゃ、カリンで。」
残りが黒飴と塩飴って、誰チョイスだよ?柳先輩か?合宿の終わり頃から喉痛いって言ってたしなって思っていたら、柳先輩はフと笑った。
なんだ?って思っていたら、
「生憎花梨も俺の口の中にあるのが最後だったらしい。」
「まさか…っ?!」
まさか、そう!!あの柳先輩の微笑みは何か企んでる時!!
本能でヤバイ!!と逃げようとしたけど、体格差体力差でしっかり奪われました!!
ナニって色々だよ!!
しかも柳先輩ってば、舌使いも達人…。
気付いた時にはコンクリの床に膝を付いた俺の口の中にはんぶんこされたカリンが居座っていた。
「おー、赤也はいい顔するのう。これは3いけるんじゃなか?」
「行って貰わないと困りますからね。」
って!!そうじゃない!!
赤ゴムがペテン師、紫ゴムにデジカメが紳士、なんだよ!!3とかって?!
「お前らが合宿でやんちゃしたツケだよ。」
読心術は標準装備の神の子様が俺の鼻先に俺と赤豚先輩宛の請求書を突き付けた。
あー…、マジホントスマンセン。
今はバックレた赤豚先輩とサーブに夢中なってナイター照明壊しました。
でも審判席の座るとこに穴を開けたのはゆきむ、
「オレンジとカリンを混ぜたらどんな味になるんだろうな?」
ひぃぃぃ〜っ?!
怖くて後ろ向けない、てか頭ガッチリ掴まれてるし!!
「赤也、苦労をかける。」
「〜〜〜〜っ?!」
…幸村部長、この状況でそのセリフは洒落になんないッス。
(20110508)
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