丸井家防衛隊奮闘記
※弟ズを萌え設定捏造中
しとしとと雨の音がいい感じに睡眠と言う集中力を持続させてくれる。
柳が布団と自分が一体化になるなんて表現してたが、きっと今がそうだ。
これならゆっくり寝られそうだ。
なんて思ったとこへ地響きがっ?!
頭の芯がガンガンする、やめてくれぃ…。
「にいちゃん!!」
「ぶんちゃー!!」
「ぐへっ?!」
腹にすんげぇ爆弾が飛び込んできた、しかもダブルで。
「にいちゃん!!朝だよ。」
「あさだよー?」
布団の上からウリウリと頭を擦りつけてくる弟たち。
「…おう、朝だな。…飯にすっか?」
寝るのは諦めて起き上がると、弟たちはベッドから降りて跳び跳ねてる。
「飯!!飯ぃ〜!!」
「ぶんちゃーとごわん〜。」
下の弟の頭を撫でながら、そういや朝練とか部活延長でなかなか一緒に飯を食うことがないっけ?と思い出した。
「よし!!今日はオムレツにしてやるぜぃ!!」
上の弟も一緒に抱きしめて頭をワシワシする嬉しそうに笑ってた。
「それでは名誉ある丸井家防衛隊の諸君に特命を与える。」
ちょっと戦隊物?っぽいノリで言うと弟たちはびしっと気を付けをして、右手で敬礼なんかしちゃうか、面白くって可愛いぜぃ。
「ジン太隊員は朝食に必要な皿やスプーンをテーブルに並べる事。」
「イエッサー。」
更に胸を張って返事したりして、小2の生意気盛りのクセにこんなとこがまだガキで可愛いな。
「カン太隊員は昨日の新聞を緑のカゴに入れて、ポストから今日の新聞を取って来てテレビの前に置く事。」
「いえしゃー!!」
うまく言えないなのに必死だったりしてよぃ?
「それでは諸君の健闘を祈る。次はリビングで再会しよう。解散!!」
「イエッサーっ!!」
もっともらしいセリフに乗せられて、叫びながら俺の部屋から駆け足で出て行く弟たちを見ながら、俺もパジャマ代わりのスエットから休み用のスエットに着替えた。
うちは共働きだから、こいつらにも家の事を手伝わせなきゃって、男ばっかの家で母ちゃんが考えた特命ごっこが遊び感覚で弟たちが言うことを聞いてくれる。
キッチンに降りた俺は冷蔵庫から卵を取り出しながら、合宿んときに菊丸から聞いたふわとろオムレツを作ってやることにした。
ホイホーイなんてアホみたいな口癖だから、最初聞いたときは信じられなかったけど、やってみて納得、きれいにカンタンにおいしく出来たぜぃ?!
確か、あいつも兄弟多くて家の手伝いはやってるとか言うし、経験からくる知恵とかで間違いじゃないんだろうな?
それに俺と菊丸ってけっこう味覚のツボ一緒だしな?
「隊長!!極秘任務遂行しましたっ!!」
「たーちょー?すっこしました?」
オムレツとか皿に盛ってた俺の腰に弟たちが抱きついてきた。
カン太、おまっ…それじゃ、シッコしましたみたいに聞こえるし…、可愛いけど笑える。てか、こいついつまでも舌っ足らず、ちょっと心配だなぁ…。
「兄ちゃん、フライパン持ってから少しだけ離れてろぃ?」
「やだ!!」
「やぁ…、ぶんちゃー、おれのこと、きらいー?」
生意気なジン太は分かる、なんでも反抗したいお年頃だ、うちの部活にも一匹いるね?
で、カン太、自在に泣ける上目使いのお前見てたら、兄ちゃん、本気に将来が心配になってきたぜぃ…。
カン太ばっかりに気を取られても、口ではああ言ってるジン太も実は涙目一歩手前ってのはお見通しで。
俺はフライパンと菜箸を置くと、屈んで両手でガッチリ弟たちを抱きしめて、
「お前らのことが嫌いなワケないだろぃ?ホラ、大好きのチューしてやるぜぃ。」
「バカッ!!くすいっ?!」
「ぶんちゃー、ちゅー、すきぃー!!」
弟たちにほっぺやでこにチューしてやったら、きゃっきゃっ喜んでやんの。
大人ぶりたいジン太だって、まだ「くすぐったい」がちゃんと言えてねぇし。
将来どっかの白髪詐欺師も真っ青な色男になりそうなカン太もチューひとつで騙されてやんの。
「そろそろ飯にしようぜぃ。終わったら、暗号解読だぜぃ?」
暗号解読とは丸井家の隠語で「宿題」の意味、こうすると宿題を嫌がるジン太や、ひらがなの練習をぐずるカン太も喜んでやってくれる。
「兄ちゃん、オムレツ!!早く!!」
「ぶんちゃー、おぱんはー?」
俺の手からオムレツの皿を奪おうとするジン太を制して、
「ジン、バターロール焼いてもらえっか?」
「えー、俺、食パンがいい!」
「んあ?バターロールは…ねぇよぃ、父ちゃんが食っちまったな。…しょうがねぇ、バターにはちみつ塗ってやるから、母ちゃんに内緒な?」
弟たちも肥満じゃないが、油断すると太りやすい体質なんで、母ちゃんがうるさいだな。
「やったぁ!!はちみつバター!!」
「はちゅみちゅ、はちゅみちゅ。」
「その代わり、俺の筋トレに付き合うんだぞ?」
「イエッサー!!」
斯くて丸井家の平和は誇り高き防衛隊の汗と涙と尽力によって今日も守られている、なんてね?
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