草食系男子についての考察3
草食系男子(草食男子) ※物事にガツガツせずに(主に恋愛と思われる)自分の時間や趣味を大切にする男子 性格も極めて大人しく他人との調和を好むところを草食動物に例えられたことに起源する
「急に改まってどうしましたか、仁王君?」
隣で(本屋のカバーをしたえっちぃ)本を読んでた柳生がびっくりして顔を上げた。
「草食系男子について考えてたんじゃが、…俺ら恋愛に関してはチキンじゃから草食動物ならなんじゃろって。」
やっぱ例えられるなら、女の子受けする可愛い動物がいいのう。
「私はシマウマですからね、馬並みと誉め言葉をいただいたようで?」
「…プリッ。」
チラリと眼鏡の隙間から睨んできた柳生、あん時の話聞いとったんかっ?!
だから頭の可愛い子豚ちゃんは困るんじゃよ!!
「同じ馬でも真田君辺りはサラブレッドでしょうね。」
ぱたんと本を閉じた柳生がため息をつく。
確かに、おっさんだ武士だ言うても真田は育ちの良さがいつもさりげのう仕草に現れとる。
テニスとイタズラは神憑りの幸村も普段は俺らと大差はない。
「ブラックカイザーかの…、血統も良さそうじゃし最終コーナーから追い込みに迫力がありそうじゃ。」
真っ黒な毛並みと巨体は絵になるじゃろうな。
「黒き皇帝ですか、年末はお世話になりそうですね。」
「そうじゃな、そん時は一緒に流して買うかの。」
サラブレッド中のサラブレッドで最高の血統と最高の環境でいきなり中央で優勝しそうだし。
「余生は種馬として大往生か…。」
引退しても大活躍じゃ、そいつの子供ってだけでご祝儀で賭ける奴もおるだろうし。
死んだら銅像とか建てられるぜよ。
「雄としての本懐を全うしますね。」
しみじみ言う柳生は眼鏡を押し上げて、
「サラブレッドと言えば柳君もそういう感じがしませんか?」
「…馬ってかユニコーンじゃろ?」
馬みたいじゃけど、荒々しさと言うか生々しさがない、種馬的な。
「あぁ、…清廉な感じがですかね。」
「あと草じゃのうて霞食ってそう。」
「分かります、動物的な生臭さがないところですよね。」
柳って、まじに不思議な生き物じゃ。
パーツで見ると男らしいのに全体的に中性的で、全部計算づくかと思えば感性を一番にするし。
神秘の動物、ユニコーンがしっくりくるぜよ。
「それで幸村君は自分は普通の白馬と思っているペガサスだと完璧ですね。」
「…あり得るからやじゃな。」
普通のサラブレッドっつーのもおかしな話じゃが、見えん物が見えることに振り回される真田と人智を超越した存在の幸村と柳って、今と変わらんぜよ。
「でも馬なんですね。でしたら仁王君はどんな馬ですか?」
「ピヨッ?!」
そんなん、地方競馬のダークホースで引退後はお祭りでミスなんちゃらを乗せるに決まっとるじゃろうがっ?!
美女と馬に生まれ変わった男の禁断の恋を楽しむんじゃ…っ、いや?
「…どうせなら、今すぐ美女を乗せたいぜよ。」
「何かいいましたか?」
「プピーナ。」
チキンな俺だが草食系とは程遠かったらい。
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