- ナノ -

■ Ambivalence


イルミの双子として生まれた女は、まるで母親の胎内で片割れに全てを奪われてしまったかのように何の能力も持たず身体が弱かった。
彼女にはせめて家の役に立とうと政略結婚に臨もうとした過去もあったが、イルミとの訓練中に自分の足で立つことができない障害を負い、ついにゾルディック家の人間として生きることを諦める。そうすれば少しはこの無力感からも解放されるだろうし、双子の兄もゾルディック家の恥さらしがいなくなれば喜ぶだろう。

しかし、そう思って家出と兄妹の縁を切る宣言をした夢主に待ち受けていたのは、”彼女がずっと妹でなければいいと思っていた”イルミの歪んだ愛情だった。


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