- ナノ -

■ ◆白日

 橙色の仄かな灯りは、特に珍しくないものだ。たき火の炎や夕日を思わせる、暖かくて落ち着く色味。
 子供の頃から、寝室は真っ暗にしないで少しだけ灯りをつけておくのが癖だった。暗闇だと何かが潜んでいそうで怖いし、明るすぎるとそれはそれで、見なくていいものまで見てしまう恐れがある。
 だから、人が薄暗がりで落ち着くというのは、神経刺激とか覚醒とか、そういうむつかしい話じゃないのかもしれない。ごくごく単純に、見えすぎることと見られすぎることを、心の底で恐れているからじゃないだろうか。

「隣、いいですか」
 
 バーの照明は、同じ橙色の薄暗がりでも、もっとずっとぎらついて見えた。それでも、本心を隠すにはちょうどいい明るさだ。おまけにぼんやりとした灯りは、女性を艷やかに見せるのに向いている。
 手の中にある金属の感触をもう一度確かめ、私はカウンターチェアに腰を下ろした。女の方から、それもいきなり隣に座るなんてみっともないけれど、半径1m以内に対象を収めるためには、これも致し方のないことである。

「……」

 先程から見ている限り一人で飲みに来ているらしい男は、ちらりと視線を寄越しただけで、私が隣に座っても拒絶する様子はなかった。それもそうだろう。既に彼は、私の念の効果範囲にいる。彼の目には私は無害なものとして、それどころかどこか庇護欲を掻き立てる儚げな存在として映っているのだ。
 私はわざと慣れない様子で周囲を見回し、恐る恐るといった感じで注文する。「ギムレットを」まるでそれを目当てに来たのだと言うように、覚えたてっぽく単語を唱えてみせた。

「すみません、突然……こういうお店は慣れなくって、一人で座ってるのもなんだか心細くて」

 身体ごと男の方へ向き直り、照れくさそうにはにかんで見せる。「別にいいけど」豊かな黒髪を背に垂らした男は、薄い唇を動かして淡々と言葉を発した。拒絶はもちろんのこと、不思議なくらい男特有の高揚を見せない人だった。

「慣れてないなら、もっと行きやすそうな店にすれば良かったのに」
「それはそうなんですけど……決めてたんです。失恋したら、とびきり高級なバーでギムレットを頼むんだって」
「あぁ、カクテル言葉? なんだっけ?」
「″長いお別れ″……″遠い人を想う″って意味もあるらしいですけど」
「未練たっぷりだね」

 そう言って彼が口をつけたグラスの中身が、何なのかは私にはわからなかった。ただ、ひとつひとつの動作が優美で、とても絵になる男だった。橙色の灯りの下でも、その肌の白さがよくわかる。むしろ暗がりにいるからか、存在がぬっと浮き出たように美しかった。男相手に美人というのもなんだが、他に相応しい言葉が見つからない。一方で、スーツの上からでもわかる引き締まった身体や大きな手、嚥下の度に動く喉仏が、男性的な妖艶さもしっかりと主張していた。

「どうしたの?」

 問われて、思わずハッとする。今のは演技じゃなく見とれてしまっていた。私は「いえ……」と口籠り、誤魔化すように出されたグラスに口をつける。常套の手口だからいい加減慣れてもいいだろうに、やっぱりギムレットの鋭い味が苦手だった。が、おかげで少し目が覚めたとも言える。私は別に、恋愛対象としての新しい男を探しにここへ来たわけではないのだ。恋人なら既にいるし、その恋人のために男の資産に用がある。私が彼に目をつけたのは彼の美しさのためではなく、彼の上等な身なりと洗練された佇まいに金の匂いを嗅ぎとったからだ。

「確かに、未練はまだあるなって思っちゃって。酷いひとだったって、わかってはいるんですけど」
「そう」
「誰かに聞いてもらったら、ちょっとは吹っ切れるかなぁ。あの……ご迷惑ついでに、少し付き合ってもらってもいいですか?」
「話したいなら話せば」

 私の能力、哀情不足の錠前ヒロイズム・ロマンチカは、一言で言ってしまえば同情を買う能力だ。私が具現化した鍵を手にしている間、効果範囲内にいる人間は私のことを憐れみ、庇護すべき存在として認識するようになる。
 人の心を操るなら、きっともっと他にうまいやり方もあったろうに、私の潜在意識は他人に同情される生き方を選んだ。同情される立場というのが、一番楽で安全に身を守れる手段だと知っているからだろう。もっとも、人に憐れまれるというのは、決して気分の良いものではなかったが。

「ありがとう、ございます」

 私は男の態度にやや困惑しながら、形ばかりの礼を述べた。思わず確認してしまうが、テーブルの下におろした左手の中には、ちゃんと硬い金属の感触がある。念は正しく発動しているはずだ。が、発動していてこれならば、本来どれほど冷たい反応を返されていたのだろう。私はいつもこの能力で人の同情につけこみ、情報や金品を得てきたが、ここまで強固な心の壁の持ち主を知らない。一本の鍵で開くかしら、なんて、思わず馬鹿げたことを考えてしまったほどだ。

「彼氏……えっと、もう元カレですね、私、きっとこのまま彼と結婚するんだろうなって思ってたんです。プロポーズされたわけじゃなかったけど、もう付き合って三年にもなるし、漠然と将来の話とかもしてたし」
「……」
「きっと馬鹿だって思われるんでしょうけど、彼の借金も一緒に返してたんです。正確には彼のではないんですが、彼のご両親が自営業で、将来は私のお義父さんお義母さんになる人でもあるわけですから」
「で、返済が終わったら捨てられたの?」

 私は眉尻を下げ、頷く。嘘の中身はなんでもよかったが、ただ可哀想なだけより、愚かであるほうがいい。同情には少なからず、優越感が含まれるものだからだ。自分より下の人間に何かを施してやるというのは、きっと酷く気分のいいものなのだろう。その証拠に金品を貰ったあと、念が解けても誰も私を訴えなかった。手がかりを残していないとか、金持ちにとっては端金だったとか、そういう理由もあるのだろうが、彼らの多くは私を使ってほんのちょっぴり善行を積んだつもりでいるのだ。
 だから私はお金がもらえて、向こうは気分が良くなって。世の中的には詐欺行為なのだろうが、私からすればサービス業となんら変わらない。
 
「ふーん、まぁ良かったね」
「え? な、何が?」
「結婚する前に、酷いやつだって気づけて。結婚してたら、今頃向こうの家で無料の労働力扱いだったと思うよ」 
「あぁ、まぁ……そうかもしれませんね」

 同情……されたのだろうか。同情して、慰めてくれたのだろうか。予想外の返しに、私はただ頷くしか無い。まるで気付け薬でも飲むかのように、私はギムレットのグラスを傾けた。

「でも、ただ捨てられただけじゃないんです。知らない間に別の借金の連帯保証人にされていて……」
「知らない間なんでしょ、弁護士入れたら?」
「え、えぇ、でも、」
「あ、もしかしてもういくらか返したの? それだと返済義務を認めたことになるから面倒だね。うちもそういう意味で前金払ってもらったりすることもあるし。まぁ踏み倒したやつなんて今までいないけど」

 話したいなら話せば、と突き放すような物言いをした割に、男は意外にもちゃんとアドバイスをくれる。しかし私が欲しいのは具体的な解決策ではなく、同情の気持ち、そしてそれに伴う施しだ。いや、同情してくれているからこそ、こうして建設的な案を出してくれているのかもしれないが、同情というのはもっと役に立たなくて、その場しのぎで、表面的なものではないだろうか。少なくとも、私が知っている同情はいつもそうだった。念を使わなければ口先だけで、使えばそれが多少の金品に変わるくらい。だって、同情は善意や優しさによるものではないから。いい人のふりをしながら、堂々と誰かを下に見ることのできる行為だから。
 
 私は男の瞳の中に、必死で優越の色を探した。きっとこの人は、愚かで憐れな私に知識を施しているつもりなのだ。たまたま変わった同情の表し方をする男に当たっただけで、やっていることはいつも通り。このまま気分よくさせれば、知識以外のものもくれる気になるだろう。そう思ったのに、彼からは濁った感情の匂いがしなかった。可哀想と口で言いながら、うっすらと口角があがっているようなこともなかった。可哀想なのが自分じゃなくてよかった、という醜い安堵もどこにもなかった。

「わ、私のことはもういいんです! 実は病気が見つかって、そんな長くない命ですから」

 ペースを乱されている。一旦落ち着いて、冷静に作戦を練り直すべきだ。わかっているのに、焦って嘘を塗り重ねた。念がなかったら、もはやわざとらしすぎて笑ってしまうほどの不幸の捏造。

「そうなの? じゃあ返さなくていいね、お金」
「そうですね! でも、一人残される母が心配で! 母も身体が弱いから、私がいなくなったら生活に困るんです!」
「……なるほど。うーん、そうか、それは参ったな」

 今まではすぐに新しい形の同情を示していた男が、ここへ来てようやく言葉を詰まらせる。流石の彼も、まさか取り残されるのが父と母の二人じゃなくて、母一人で済んで良かったねとは言わないだろうし、この問題は知識ではなく、お金で解決するものだ。「あ、そうだ」彼はゆっくりとまばたきをすると、何か素晴らしいことを思いついたように手を打った。

「生命保険は入ってる? オレが殺してあげようか?」
「は……?」

 握りしめていたはずの鍵が、するりと指の間から抜けていく。しまった、と思ったときにはもう、大理石の床が小気味よい音を立てて笑っていた。





「そうそう。四組にさ、ナマエさんっているじゃん?」

 放課後とはいえ、まだ日が落ちる前の校舎の中に、学生がいるのは別に珍しいことではなかった。私は何の部活動にも入っていなかったけれど、吹奏楽部がパートごとに別れて空き教室で練習していることも知っている。
 私はその日、ただ忘れ物を取りに来ただけだった。

「えー誰?」
「ほら、あの、去年の秋に転校してきた大人しい感じの子。今、あんたがちょうど使ってる席だよ」
「あーなんかそんなのいたかも」
「そのナマエさんがどうかしたの?」

 幸か不幸か、私の名が彼女たちの口から出たのは、私が教室に入る前のことだった。入るタイミングを逃した私は開け放されたドアの影で、ばくばくと煩い心臓を胸の上から押さえつける。
 どうか、ただの悪口でありますように。
 こんな状況で、そんな風に考えてしまうこと自体、おかしなことなのだと自覚していた。けれども私にとっては今の自分に触れられるよりも、過去の傷に触れられる方が何倍も嫌なことだった。

「あのさ、五年前くらいにニュースになってた資産家一家の惨殺事件、覚えてる?」
「あ、知ってるー。一時期ずっとニュースやってたよね。家族も使用人も皆殺されたのに、八歳の女の子だけなぜか助かったやつでしょ」
「そうそう。確か、強盗が入ったんだよね」
「あれ、なんか恨まれてとかそういうんじゃなかったっけ」

 彼女たちにとっては過去の、関わりのない、言ってしまえば現実にあったことなのかすらわからない事件の話だ。今度のテストは難しいらしいとか、誰と誰が付きあっているとか、そういう噂と同じ次元の話でしかない。その証拠に最初に私の話題を始めた声が、逸れかけた話を戻すように「強盗でも恨みでもどっちでもいいけどさ、」と割って入った。

「あの事件の生き残り、ナマエさんらしいよ」
「えー嘘だぁ」
「嘘じゃないって。学校の先生やってる叔父さんから聞いたんだもん」

 じんわりと嫌な汗が、全身から湧き出てくるようだった。今すぐにでも逃げ出したいのに、足が一歩も動かない。苗字も変えた。住む場所や学校だって何度も変えたのに、影法師のように噂はどこにでもついて回ってくる。
 それでも、まだ凄惨な事件の被害者として扱われるだけならマシなほうだ。可哀想だねとひそひそされる分には、実害なんて無いに等しい。

「でも、あの資産家の娘ならこんな普通の学校なんて来なくない?」
「遺産とかで揉めてたじゃん、それもニュースになってたしさ。確か娘って奥さんのほうの連れ子なんでしょ」
「奥さんが不倫してて、犯人が愛人の男だって話もあったよね。でも結局男の方は金目当てで、奥さんも殺されちゃったって」
「何それ、自業自得すぎ。奥さんも犯人だったから、その娘だけ助かったんだ」

 確かにこうやって第三者として概要を聞けば、実にセンセーショナルな事件だった。当時いろんなメディアが、面白がってニュースにしたのも頷ける。最初は幸せな家庭を突如襲った悲劇として、そして次に今の彼女たちのように、下世話なゴシップとして、何度も味のする事件はさぞや美味しかったことだろう。私は最初から最後まで被害者であるはずなのに、いつも最後には犯人側にされていた。私は何もしていないのに、生き残ったこと自体が図々しい罪のような口調で語られる。

「じゃあ生き残りっていうか、犯罪者の娘じゃん」
「まぁそれはちょっと言いすぎなんじゃない?」
「そうだよ、可哀想じゃん」
「うわー、思ってなさそう」

 あはは、と十代の女の子たちの甲高い笑い声が響いた。

 可哀想なんて、思ってないなら言わないでよ。私のいないところでまで、一人前に善人ぶらないでよ。

 たった一歩踏み出せば、さっきの笑い声が嘘みたいにしんと静まり返った。夕日で橙色に染まった教室の中で、数人の女の子たちがこちらを向いて固まっている。ちょうど逆光になって、私の表情は見えていないに違いなかった。それでいい。もっと明るい光のもとでは、私が怒りのために顔を赤くしていることに気づかれてしまっただろうから。

「……生き残って、ごめんね」

 本当はあんたたちに何がわかるんだって、怒鳴りつけてやりたかった。でも、そんなことをすれば、ますます私は加害者にされてしまう。

 ーーほら、やっぱり犯罪者の娘だよ

 こちらが攻撃的になれば、彼女たちは自分を正当化するために、自分が罪悪感を感じないで済むように私を攻撃する。
 前の学校での過ちを繰り返すわけにはいかなかった。下手に出て、可哀想な生き残りの女の子でいることこそが、自分を守るための最善の手段なのだ。

「違っ、あたし達は別にそんなつもりじゃ……」
「ナマエさんが悪いわけじゃないってわかってるよ! ていうか、むしろ被害者だし!」
「そうそう。このことは誰にも言わないし! ね?」
「うん、言わない言わない。こんなの言ったってしょうがないじゃん」

 そんなの、嘘に決まってる。ただ表立って、私の前では言わないだけだ。それでも広まり方というのは重要で、この分ならば犯罪者の娘というより、可哀想な腫れ物扱いで済むだろう。どっちにしたって酷いことは変わりないが、前みたいにいじめられるよりはずっといい。私に同情する人間が善で、私をいじめる人間が悪という構図を作れるならそれでいい。前の学校では逆で、犯罪者の娘をいじめるのは正義だった。それくらい、善悪というのは不確かなものなのだ。

「みんな、ありがとう……」

 私が弱々しく微笑んで見せると、あからさまにほっとした空気が流れるのがわかった。それも知っている。別に心無い噂を口にする人でも、心の根っこまで腐っているわけではないのだ。ただ恐ろしく想像力が欠如しているだけで、他人の痛みに鈍感なだけで、善人ぶれる機会をちゃんと用意してやれば大人しくそこに収まってくれる。

「えっと、ナマエさんはどうしたの? 忘れ物?」
「うん……明日提出の課題、忘れちゃって」
「あー。あれ、あたしもやってないんだ。もうすぐ部活終わるからさ、このあと皆でカフェ行ってやらない?」
「いいの?」
「もちろん。ね?」

 うん、と残りの女の子たちが頷く。この噂で知るまで、私のことを認識してなかった人もいるくせに。

「ありがとう、嬉しい」

 私は一生知りたくもない。けれど、可哀想な人に優しくしてあげるのは、さぞかし気持ちの良いことなのだろうな、と思った。





「ふーん、同情を買う能力か。道理でね。納得がいったよ」

 美しい男は、相変わらず淡々とした口調でそう言った。どうやら、私を殺そうとしたのは彼なりの同情だったらしく、念が解けた今は少しも命を奪おうとする素振りを見せない。代わりに、彼の能力なのか、気がつけば私は洗いざらい何もかも吐かされていた。自分の生い立ち、能力、彼に近づいた理由。私が他人の同情を買って得た金で、恋人に貢いでいることも、全部。

「でも、酷い男に引っかかってるのは本当だったんだね」
「……酷い男なんかじゃない」
「そう? 親の借金を払わせる男が酷いなら、自分の女に詐欺やらせるのも酷くない?」
「やらされてるわけじゃない。私が彼の役に立ちたくて、望んでやってるんだもの」

 私が言い返すと、彼は初めてまともな同情を僅かな眉の動きで示してみせた。

「えっと、自分の過去を知っても普通に扱ってくれたから、その恋人のことが好きなんだっけ?」
「……そう。彼は私のことを犯罪者の娘でも、生き残りの女の子でもなくただの私として扱ってくれるの。それが嬉しかったの」

 こんな胸の内側を、他人に晒けだしたのは初めてだった。なんなら、恋人にすら伝えていない。それなのにこうもペラペラと話してしまうのは、まだ男の念が効いているせいなのだろうか。それとも一番知られたくない過去を話してしまったからこその、開き直りみたいなものだろうか。
 一方で彼の方もまた、全てを聞いてしまったからか、おそらく柄でもないだろうお節介を口にした。

「あのさ、その男がお前に同情しなかったのは、たぶんお前のことなんてどうでもいいからだよ」
「……」
「同情でも無関心でもなくてさ、ちゃんと大切にしてくれる男探せば?」

 思わず手の中に鍵が無いか探してしまったけれど、彼の言葉は念で無理やり引き出した同情ではないらしかった。確かに表面的どころか、実に核心を突いたアドバイスだ。念を使っても、使わなくても、結局彼にはあまり関係がないらしい。

「……私のこと、可哀想だって思う?」
「いや。馬鹿だなとは思うけど」
「じゃあ、馬鹿な女に正論突きつけるのは気分がいい?」
「別に。なんで?」

 そうやって不思議そうに首をかしげる様は、美しいというよりどこか無垢で可愛らしかった。嘘も偽善も何もない。私が自分の心の奥底を見せないように薄暗がりで生きているのだとしたら、彼はきっと白日の下で生きているのだろう。

「なんか……すっごい、むかつく。羨ましい」
「さっきと性格全く違うね」
「いいの! もう猫被ったって意味無いんだから。今日はこのまま飲んで帰る!」
「そう。オレはもう行くね。最後に彼女にジンリッキーをひとつ」
「何それ、″素直な心″って、嫌味のつもり?」
「いや。レッドアイのほうが良かった?」

 結局、彼の名前も聞いていない。それでも、私は今日という日のことを一生忘れないだろう。
 自然に笑みがこぼれたのは、本当に随分と久しぶりのことだった。

「″同情″はもうたくさん!」



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