■ 8.饒舌
「…オレさ、離婚届出されたんだよね」
「え
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!?」
しかしイルミの口から出たのはヒソカの予想をはるかに上回るもの。
イルミから三行半を突きつけたのではなく、妻側からというのも驚きだが、それも彼の口ぶりからすれば話し合いでそうなったわけではなさそうなのだ。
「え…出されたって、勝手にかい
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?」
「そ。仕事から帰ってきたら役所から通知書が届いててね。
エレナの姿はもうどこにもなかったってわけ」
「一体何したんだい、キミ
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」
「は?オレが知るわけないだろ」
話したことによって吹っ切れたのか、イルミは急に饒舌になる。
それにしてもイルミに黙って提出するとは…確かに筆跡偽造は金さえ出せばそう難しくはないだろう。
やはり注目すべきはその行動力と意思の強さだった。
「連絡は?キミならすぐに見つけられるんじゃないの
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」
「大体の居場所はわかってるけど、まだ忙しくて捕獲できてない。
電話で少し話したね」
「彼女はなんて
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?理由くらい聞いたんだろ
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?」
「性格の不一致だってさ」
「…王道だねぇ
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」
ベタ過ぎるというかなんというか。そもそもイルミと性格が一致する人間なんていないに決まってる。
ヒソカはきっと他に理由があるのだろうと思った。
「あと、歌手にならせてくれないからって。
オレ何か間違ってる?誰だって妻がそんな馬鹿げたこと言い出したら止めるよね?」
「歌手?奥さん、歌上手いの
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?」
「さぁ。歌ってるところなんてオレ聞いたことないし。
まぁ確かに話してる声は結構綺麗だね。特に鳴かせてみるとイイ声」
「珍しいね、下ネタ
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」
「だからそういうのやめてくれる?」
えっと、今のはボク悪くないと思うんだけど…
溜息をついたイルミは怒っているのもそうだが呆れているようでもある。
彼にしては殺す気もないようだし、案外気に入っているのか。
ヒソカがそんなことを考えていたら、イルミはじろりと横目で睨んできた。
「誤解してるみたいだから言うけど、気に入ってるのは母さんだからね」
「別にボクは何も言ってないけど
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」
「あっそ。
とにかくなんだっけ?お前には女心とやらがわかるんだろ。説明してよ。
何をどう考えたらあんな馬鹿なことができるのか」
「うーん、キミの言い方が悪かったんじゃないの
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?
反対するにしても、言い方ってものがあるじゃないか
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ちなみにどんなふうに説得したんだい
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?」
「え?別に普通だけど」
「普通、ねぇ…
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」
きっとそれが『普通』じゃなかったんだよ。
ヒソカは曖昧な笑みを浮かべると、心の中でそう呟いた。
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