- ナノ -

■ SSまとめO

お題『サプライズ』

女はサプライズが好きらしい。だからオレも何かしようと考えて、彼女の家を爆破した。

「ど、どうなってるの…」「ハハハ、驚いた?大丈夫。ナナコの持ち物は全部新しい家に移しておいたから。はい、これ鍵」

あれ、おかしいな。あんまり喜んでないや。

「なんのドッキリ?」「サプライズだよ」



お題『ドライブ』

イルミの車を借りたらハンドルが左だった。
こんなもの運転出来るわけないと言うと、なぜだか彼が送ってくれることに。

「ナビしてよ」「崖まで?」
「落ちればよかったのに、ってやつ?」

オレはいいよ?と言われて覚悟した。
この人には冗談が通じないのを忘れてた。



お題『ビキニ』

ビキニも下着も変わらない、と言うのがイルミの自論だ。だから海に行っても私はビキニを着ることができない。

「ナナコのそんな格好を見ていいのはオレだけだよ」
「ただの水着なのに」「駄目ったら駄目」

ポロリがあるかも、と真顔で言った彼に、なんと返して良いかわからなかった。



お題『ベッド』

イルミのベッドは流石に金持ちだけあってふかふかだ。気持ちいい。

「一回ここで寝ると他で寝られなくなるね」「なにそれ、浮気なんて許さないよ」
「そういう意味じゃないよ」

だいたいイルミとしか、そんなことする気ないよ。イルミのこと好きだもん。



お題『ミニスカ』

履くの禁止!と叱られた。

「そんな生足出して襲われるよ」
「治安悪すぎでしょ」

いくらなんでもそんなミニスカぐらいで、と鼻で笑えば、天地がひっくり返って押し倒されていた。

「襲うよ」「イルミが、なのね」「うん」

なるほど警告だったわけだ。



お題『俺様』

イルミはかなり俺様だと思う。まぁ育ちを考えたらある程度は仕方ないのかもしれないが、少し腹が立つのも事実。

「オレの言うことが聞けないの?」
「私はイルミの弟じゃないよ!」
「は?知ってるけど。大体お前、女じゃないか」
「…え、」

天然だから許しちゃう。



お題『公共の場で何言ってるの!?』

デートもそろそろ終盤。いい雰囲気になって、私もイルミならいいかな、って思っていた。
そしたら別に声をひそめるわけでもなく、普通に発せられた疑問。

「どこがいい?ホテル?それともオレの部屋?」周りの視線が感じられる。

「こ、公共の場で何言ってるの!?」

まったくもって信じられない。



お題『大好きな君になんでもあげる』

何が欲しい?そう聞いたらいつも君は困った顔をする。特に欲しいものがないのだ、と不思議なくらい申し訳なさそうに言う。
だけどオレはそれでもいつも聞くんだ。
大好きな君にならなんでもあげたいから。

「…じゃあ、イルミが欲しい」

そう言ってくれるの、ずっと待ってたよ。



お題『恋人』

初めはごっこのつもりだった。というか、イルミにお見合いを断るためだと頼まれて。

「付き合って一年だね」「え、あぁ…」

ずるずるとこのままな状態に不安を感じる。

「付き合ってるの、私達?」
「やめようか」
「…え?」「そろそろ結婚しようか」

やばい、ついていけない。



お題『愛情っていう形のないものは伝えるのが難しい』

言葉か態度か、そのどちらかで伝えなければならないのに、照れくさくてなかなか伝えられない。

「基本、私の一方通行だからね」

悟ったように笑う君に伝えたい。そうじゃないんだよ、伝え方がわからないだけなんだって。



お題『抱き枕』

イルミにいいようにされている。

「じっとしてよ」「そんなくっつかれたら寝られない」
「枕は黙って」ねぇ、酷い‥‥。

だけど背中から伝わる体温に、満更でもない気持ちになる。

「好きだよ」そう呟いたら、ホールドが強まった。



お題『日焼け止め塗ってあげる』

と言って真っ先に水着の紐を外したこいつはなかなかの変態だと思う。だけど取られてしまった以上はうつ伏せになるしかなく、彼にされるがまま。

「表面も塗ろうか」「自分でやるよ」
「遠慮しなくていいよ」

遠慮じゃないよ、ここ外だよやめろ。



お題『本音』

イルミみたいにぽんぽん本音が言えたらきっと悩まなくていいのに。敵は多くなりそうだけど、言いたいことが言えないのは辛い。

「言ってみなよ、本音」「そう言われましても」
「オレのことどう思ってる?」「…え」

す、すきだよと言うと頭を撫でられた。

「偉い、言えたね」なんだこの人の余裕。



お題『肝試し』

試すまでもなく、イルミがビビるところなんて想像できない。なので

「イルミはお化け役ね」「えー」「適役だよ」

不服そうなイルミは何か思いついたのかぽん、と手を打った。

「じゃあ本気で試させてもらうね」

やめてくださいお願いします。



お題『蜜』

ナナコって甘い香りがするね、と言うとそんなわけないと一蹴された。

「ほんとだって」「香水とかつけてないもん」
「じゃあフェロモン?蜜?」

それじゃあまるでオレは虫みたいだ。

「罠じゃないよね?」「どうでしょう」

君の罠ならかかっていいよ。甘い蜜をくれるなら。



お題『鬱陶しい』

それは半分口癖みたいなものだった。別に本気で思っているわけじゃないけれど、彼女が結構ベタベタするから言っているだけ。

「じゃあしばらく来ないね」「え」

そんな悲しそうな顔して言うなよ、放っておけないだろ。
あぁ、もう鬱陶しいな。








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