- ナノ -

■ SSまとめM

お題『かけがえのない』

かけがえのない物は命ではなく、この人なら家だと言うと思っていた。

「そうだね、家だね」「当たってたし」「でも…」

─オレはナナコもかけがえないと思ってるよ

「家と同レベかぁ‥‥」「痛てっ」

動揺を隠すためにイルミを叩いた。




お題『みつあみ』

長い髪の毛を見ると触りたくなる。そして編み込みたくなる。
言わずもがなでイルミは格好のターゲットだった。

「似合う似合う」「嬉しくないよ」

イルミはせっかく出来上がったみつあみをほどいたが、そのせいで柔らかくウェーブがかかる。

「可愛い!ねぇ、この際転換しない?」
「何を?」
「性を」「絶対無理」



お題『クリームついてるよ』

指摘してやると負けず嫌いな彼女は「わざとつけてるの」と言う。
正直なんだこいつ、と思ったけれど、まぁいつものことだから喧嘩は買わない。

「イルミこそついてるよ」
「オレ、クリームなんて食べてないし」
「凝してみ」「え?」

言われて見ると肩のところにバンジーガム。しかもガムでクリームと書いてあった。
絶対にヒソカとナナコの合作だ。くそ。




お題『充電』

「イルミさんイルミさん、充電してください」

ロボットの真似をしてそう言うと、イルミは無言でぎゅっとしてくれる。
ただそれだけの下らない遊びがとっても幸せ。

「まだ電池きれないの?」
「充電してください」ぎゅっ。



お題『日常』

「...ごほっ!」

最近イルミは私の食事に毒を仕込むようになった。が、別に私を殺そうとしているわけではない。
流石にプロなだけあって死なない程度の毒だった。

「だって、うちに嫁いだらこれが当たり前だよ?今のうちに慣れとかないと」
「だ、だからって...」

いつか毒のご飯が私の日常になるのかなぁ。



お題『普通の幸せ』

幸せにするよ、とは言われたものの、正直全く信じていなかった。だって相手はイルミだ。
絶対に普通の人と感覚がズレてるに決まってる。

「じゃあナナコはどんなのが幸せなのさ」
「庭付き一戸建てで可愛いペットと優しい旦那様」
「ぴったりじゃないか。山ごと家だしミケいるしオレ優しいし」
「え?後半、え?」
「え?」



お題『正座耐久』

「イルミ平気なの?」「え、別に」

かれこれ正座をすること3時間。慣れた人ならこれくらいどうってことないのかもしれないが、テーブル暮らしの私には少々キツい。
でもイルミだってそうなはずなのに…

「ギブ!私もう無理」「情けないなぁ」

私を見兼ねて立ち上がったイルミは、そのままばたり、と倒れた。

「あれ、足がなんだか変だな」

感覚ないのかよ。



お題『結婚する?』

結婚したい、と言うからオレがする?と聞いたら、彼女は飲んでいた紅茶を盛大に吹き出した。

「汚いな」「だ、だってイルミが変なこと言うから!」
「なんでプロポーズして変だって言われなきゃならないのさ」

彼女はそれを聞くとぴたりと固まった。

「...本気なの?」
「そうだけど」何か問題ある?

彼女はじっと考え込んだ。

「そのプロポーズ、やり直し」



お題『怪我しちゃった』

怪我しちゃった、と何気なく報告すると、イルミの目がさらに大きく開かれた。

「どこを?大丈夫なの?死ぬの?」
「縁起でもないこと言わないでよ!」
「あ、もしもしオレだけど。医者を呼んで。ほら早く」
「え、え、あ…」

なんだか大騒ぎになっちゃった。
今更紙で手を切ったなんて言えない。



お題『熱』

「熱あるかも」「え、ほんと?」

イルミの冷たい手がぴたりと額に当てられる。

「イルミの手が冷たくてわかんないよ」「そう?」

今度は彼の顔が近づいて額と額がくっついた。

「ほんとだ。熱いね。それに顔も赤いや」

まったく…この天然タラシ。



お題『眠い』

眠い、と言うと寝なよ、と返された。
至極もっともな返答だけど、私は本当に眠くてそう言ったわけではない。

「眠いー」
「…仕方ないな」

そうそう、甘えてるの。
最近やっとわかってくれるようになったイルミが抱きしめてくれて嬉しい。



お題『ターゲット』

イルミから直接ターゲットはナナコだよ、と言われた。ので、流石に命が惜しいからダメ元で逃げることにした。

「ちょ、なんで逃げるのさ」
「だって死にたくないもん!」
「は?誰が殺すって言ったの?」

よくよく聞けばそれは彼なりの告白だったらしい。

「その顔で恋のターゲットとか…」

紛らわしいし心臓に悪いわ。



お題『ただいま、おかえり』

「おかえり」

いつも彼女はそう言ってくれる。もちろん執事たちもおかえりなさいませ、とは言うのだが、オレは今までそれに「うん」としか返したことはなかった。
だけど…

「おかえり」
「…ただいま」

その一言を言ってみたら、彼女はぱっと顔を輝かせた。
だからこれからは言うことにしよう。












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