- ナノ -

■ SSまとめC

お題『彼女の憂鬱』

いくらSって言っても程がある。
「またフェイにいじめられたの?」「もう別れようかな」
「はは、ナナコ殺されるよ」「だよねー」

シャルの言う通り、だってあれでも彼なりに私のことが大好きみたいだから。

「いっそMになりたいよ」「今日も大変そうだね」

憂鬱になってきた。



お題『再会』

できることなら会いたくなかった。だってもう、次は生きて帰れないと思ったから。

「お前よほどツイてないらしいね」

目の前の男は私とは対照的に嬉しそう。細い目がきゅ、とさらに細くなった。

「ま、ワタシはツイてるね」

もしかするとこの再会は仕組まれたものだったかもしれない。



お題『攻撃は最大の防御なり』

「いい加減にするね!」

防御が苦手な私のために、フェイが訓練につきあってくれた…のだったが。

「なんでお前反撃してくるか」「いや、ついつい癖で」

攻撃は最大の防御って言うじゃんか、と言ったら耳慣れぬ言葉が聞こえてきた。

『クソが…』翻訳するとおそらくこんな感じ。

もちろん私は一目散に逃げた。



お題『time after time』

「なんでお前死なないか?」「だってそういう念なんだもん」

もちろん不死身というわけではない。ただ、死ぬのに一定の条件がいるだけだ。
そしてそれが満たされない内は私は何度だって生を繰り返す。

「ちょうどいいね、いい玩具見つかたよ」痛みがないわけではないのが辛いなあ。

繰り返される拷問に私は自然、意識を飛ばした。



お題『コーヒーと角砂糖と』

コーヒーを飲んでいたら、フェイが気味の悪いものでも見るような目でこちらを見てきた。

「なに?」「…砂糖、何個目か?」
「10個くらいかな」

熱々のコーヒーでも、溶かしきれずざらざらと底に溜まる。私は甘いものが嫌いだった。

「自分への罰なんだよ。そういう気分の時ってない?」

私がそういうと彼は黙って私のコーヒーを捨てた。「ないね」



お題『八つ当たりですか?』

いきなり殴られた。それも後ろから。びっくりして振り返るとフェイがいて、邪魔ね、とだけ言われた。

「フェイ、仕方ないだろ。たまには留守番しろって」
「わかたよ、しつこいね」

なんだかよくわからないが彼は不機嫌らしい。

「…何見てるか」「ご、ごめん」

八つ当たりですか?八つ当たりですよね。



お題『楽しみにとっていたアレが冷蔵庫から忽然とその姿を消した。犯人は誰だ!』

「今なら怒らないね」

冷蔵庫にあった杏仁豆腐。あれはワタシのものだった。
デザートなんて似合わないから、出来るだけ奥の方に隠したつもりだったのに。

「団長でしょ」
「やっぱりプリンのほうが旨いな」「…」

この怒りはどこへぶつければいい?



お題『奪い取るまで』

心がどこにあるかなんて知らない。
頭だろうが心臓だろうがそんなことはワタシには関係なかった。

「全部奪い取るまで。それだけのことよ」

攫って監禁してしまえばもう自分の物。
難しいことは好きじゃないね。




お題『この想い引き裂いて』

好きになんてならなければよかった。

だがいくらそんな後悔をしても、今更気持ちは変えられなくて。

「嫌いにさせてよ」「かてに嫌いになればいいね」

たとえ味方として会うことは絶対になくても、せめた敵としては会いたくなかった。
どうして惚れてしまったんだろう。

「さっさと殺して」この想い引き裂いて。



お題『狩人試験』


シャルに誘われたけれど断った。手合せは好きだが、人に試されるのは好きでない。だいたい資格なんてものにはまったく興味がなかった。

「えー、便利なのに」「一人持てれば十分ね」

じゃあブラックリストハンターになろうかな、なんてわけのわからないことを言うシャルに呆れて、ワタシは寝たふりをすることにした。




お題『ありがとう』

お礼の一つも言えないの?と言われたから返って言う気をなくしてしまった。

「ハ、ありがたいとも思ってないね」

本当は感謝している。少し、いやちょっと。だけどたった5文字の言葉が言えなかったから、自分の国の言葉で言ってみた。

「え、なんて?」もちろん伝わるわけもないけれど。






[ prev / next ]