- ナノ -

■ SSまとめL

お題『唇』

今までは別に大して気にしていなかった。厚かろうが薄かろうが食事をとる分には関係ないし、それこそただのパーツ。
だけどナナコの唇はとても魅力的に感じた。

「ね、キスしていい?」ぷっくりとしたピンク色で食べたくなる。なのになかなかさせてもらえない。

「だめ、イルミ長いから」良いじゃん別に。



お題『ハニートラップ』

彼女の首筋にキスマークがついていた。

「誰?どういうこと?」

瞬間、頭の中が真っ白になって、気づくと彼女を壁に押し付けていた。香水の匂い。いつもこんなのつけてなかったのに。

「前に言ったでしょ。仕事だって」

香水の中に血の香り。だけどやっぱり許せなかった。

「もう二度とやらないで」ハニートラップなんて。



お題『誘惑』

「…イルミ、誘ってるの?」

誘惑ぐらい男がしたっていいはずだ。というか、彼女が自分からしてくれないからオレがするしかない。

「抱っこして」「可愛い!」

よし、かかった。針で子供の体になったオレに、彼女は疑うことなく抱き着く。
これがそんなに持続時間が長くないということも知らないで。




お題『反抗期』

「うるさい、寄るな触るな話しかけるな」

最近彼女が反抗期だ。全然オレの言うことも聞かないし、ほとほと困っている。

「イルミ嫌い」「それだけは駄目」

我儘だって許してあげるけど、それだけは駄目。

「鬱陶しいんだってば」「どこが」思い当たる節がない。

GPS外してよ、とうるさいから唇を奪って黙らせた。



お題 『いじめ』 TS設定

家に帰ると妻と息子の姿がない。その代わり、テーブルの上に置手紙があった。

―イルミが遅いのでクルアと旅行に行ってきます。お土産買ってくるね〜。

待って、その計画立てたのオレなんだけど。家族三人で行くんじゃなかったの。
一体なんのいじめなんだこれは。



お題『クロロになんか渡さない』

「大きくなったら団長さんと結婚するー」「えっ!?」

つい最近までお兄ちゃんと、って言ってたのに。この前クロロに預けたのが悪かったのだろうか。

「ダメだよあんな男。オレとでしょ」「やだー、団長さん」

くそ、クロロの奴オレの妹に何したんだ許さない。

「駄目、ナナコはオレのでしょ」

クロロになんか渡さない。



お題『誘拐』

「どうした、そいつは」「拾った」

イルミが女を連れてきたから赤飯の用意だ、と屋敷中が大騒ぎになったが、どうも女の様子がおかしい。

「助けてください!」
「…お前の女か?」「うん」
「どこで知り合った?」「だから拾った」

それは誘拐と言うのではないか。
だけど嬉しそうな息子の様子に、俺は何も言えなかった。



お題『自覚しろよ』

無自覚ほど罪深いものはない。

「イルミ好きだな」「え…」「本当に綺麗な髪。髪の綺麗な人って大好き」

始めはわざとやってるのかと思ったけど、どうやらそうではないらしい。

「好きって言うのやめてよ」「なんで?好きだから好きって言ってもいいじゃん」

はあ…自分が何言ってるか分かってる?
そろそろ自覚しろよ。
その発言の恥ずかしさとオレの気持ちが向けられてるってことに。



お題『染めたい』

彼女を自分の色に染めたいと思ったけど、オレって何色なんだろう。
闇の黒?だけど一般人の彼女がそう容易にオレと同じ世界を生きられるはずもない。

「…なん、でっ…?」

貫いた身体。ああ、この色だ。
真っ赤に染まった彼女の姿を見て、オレは薄く笑う。

「染めたい、と思ったんだ」オレの色に。




お題『約束』

取引は守るけれど、約束は必ずしも守らない。
だから彼女の約束して、という言葉に酷く虚しさを覚えた。

「どうせ守らないから」そんな約束には何の意味もないじゃないか。
「あるよ」だけど彼女は首を振った。

―イルミが守ってくれなくても、私は『約束』を信じて生きていけるもの。

そんなことでいいのなら。「だったら約束するよ」
できたら守るよ。



お題『不良』

ナナコが不良になった、というとヒソカに馬鹿にされた。

「だって、最近まったく門限を守らなくなったんだ。オレがいるのに友達とばっか遊んでるし」

前代未聞だよ、と頭を抱えるとヒソカは呆れていた。

「呆れてないでお前もなんとかしてよ」

オレのナナコが不良になったんだ。どうしよう。



お題『イルミの運転って…』

「イルミって運転するの?」「本誌でしてただろ」

というメタ発言はさておき。
私はお坊ちゃまなイルミの運転に興味があって、助手席に乗せてもらうことにしたのだが…

「もう二度と乗らない」「なんで」
「死ぬかと思った」
「ハハ、あんな爆発くらい大したことないだろ」

イルミの運転って…命がいくつあっても足りない。



お題『自己嫌悪を慰めてくれるイルミさん』

「あーもうクズだ。私って生きてる価値ないかも」

構ってほしいというわけでもなく単純にブルーな気分だったのだが、意外なことにイルミが慰めてくれた。

「クズなのは今に始まったことじゃないだろ。ナナコなら、特別に保険金払いで引き受けるよ」
「…うん」

慰めて…くれてる?



お題『タピオカ』

「なにこれ、蛙の卵?」「うわー」

絶対言うと思ってたら本当に言いやがった。太めのストローで飲み物と一緒に吸い込んだタピオカが一転して気持ち悪く感じられる。

「もう飲めないじゃん、どうしてくれるの」
「オレ的にはもともとアウトだから」

そう言ってイルミは器用にタピオカだけ残した。
私も残した。




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