■ SSまとめB
お題『生え際が』
気になる。
いや、もともとはあまり気にしてなかったのだが、ナナコにまで言われたら気にせざるを得ない。
「あれ、今日は団長じゃなくてクロロなの?」
「ああ、別に出かけるわけじゃないしな」
休肝日ならぬ、休毛日。たまにはいたわってやらんとな。
※
お題『カツラ』
俺が気にしていることがバレたのかナナコはもう生え際に関して何も言ってこなくなった。
かといってあからさまに気を遣われると、それはそれでこちらも辛いのだが…。
「あの、私どんなクロロでも、尊敬してるから…」
俺の部屋にカツラの広告を置くのはやめろ。
※
お題『どうしてこうなった』
「団長さんの子です、責任とってください」
そう言って久しぶりに現れた彼女は、小さな子供を連れていた。
その後はもちろん女性陣から非難轟々、男性陣からはからかわれる始末。
「本当に俺の子か?」
「胸に手を当てて自分に聞いてみたらどうです?」
「...」どうしてこうなった。
「何故か教えましょうか?」
「...いや、いい」
※
お題『愛し方』
愛し方なんてものに決まりはあるのか、と問われればもちろん答えはNOだ。
そもそも愛自体不確かなもの。だから俺にそれを求めるのは間違っている。
「クロロの嘘つき!今日はデートだって言ったじゃん」
「またいつでも行けるじゃないか。今日はイルミとの打ち合わせが…」「イルミがなによ!」
何って怒ると面倒なんだよ。
仕事優先でもお前をちゃんと愛してるよ。
※
お題『春限定抹茶プリン(黒蜜ソース付)』
誰だって期間限定には弱いだろう。
それはこの俺、泣く子も黙る幻影旅団団長だってそうなのだから仕方が無い。
「おい、黒蜜ソースしらないか?」
「え?あぁ、さっきシズクが飲んでたよ」
「の、飲んで…?」
流石に抹茶だけでは苦いじゃないか。
どうしてくれようこのプリン。
※
お題『猛アピール』
「君可愛いね、どこ住み?ってかLineやってる?」
「出会い厨か!」
いい加減にしつこい男だ。というかこいつ人の家に来てどこ住みっておかしいだろ。
「最近の口説き方だと聞いたんだが」
「騙されてるよ、それ」
「...まぁ、それはさておき一緒の墓に入ってくれないか?」
「今度は古すぎ!」
帰ってよ、と追い出した。最近は毎日これだ。
※
お題『プリン、作って』
面倒だから断ったら、団長命令だと言われた。いくらなんでも職権濫用が酷すぎる。
だから蜘蛛やめようかな、なんて冗談で言ってみたら、クロロは渋い顔になった。
「だったら、命令じゃなくてお願いしよう」
─彼氏のために作ってくれ。
ずるい、断れない。
※
お題『今回の宝』
今回の宝が人間の女の子でムカついた。なんでも緋の目同様その瞳が珍しいらしい。
「妬いてるのか」「別に」
私という彼女がありながら‥‥。
「安心しろ、あいつは飽きたら売り払うが、お前は一生売らない」「どうだか」
今回の宝は面白くない。早くクロロが飽きてくれればいいのに。
眼球だけになってしまえ。
※
お題『逃げるなよ?』
今どこだ?と連絡があってうっかり答えてしまいそうになった。
「言うわけ無いじゃん!私、家出中だよ」
「知っている。知っていてかけたんだ」
そこからクロロはどうでもいいことを長々と語り出した。私がびっくりして聞いていたら最後に一言。
「居場所はもう言わなくていい。逃げるなよ?」逆探知か。
お題『クロネコ』
「私、クロネコ飼ったらクロロって名前にするね」
「やめろ」
俺の名前を猫に付けるな、と言うとじゃあイルミにしようかな、と言い出した。
それはそれでなんだか腹立たしい。
だってナナコがあいつの名前を呼ぶんだろ。
「‥‥やっぱ、クロロでいい」
紛らわしいけど、仕方ない。
※
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