■ SSまとめJ
お題『ナンパされないようにして』
「次にナンパされたら浮気とみなすから」
「そんな無茶な」
イルミが過保護なのはよく知っているが、ここまでくるといい加減迷惑だ。第一、こればっかりは私のせいじゃないし。
だが私が文句を言うとイルミは針を取り出した。
「じゃあ顔変えとく?」「ごめんなさい」
それだけは勘弁してください。
※
お題『所有権』
所有権、所有権とうるさいから私は物じゃない!と反抗してみた。
「何言ってんの、ナナコはオレのものだろ」
「意味が違うよ」
「オレのものになってって言ったら頷いたじゃん」
「言葉の綾だよ」
イルミは首を傾げた。どうやら本気でわかってないらしい。
※
お題『デート』
はっきりつまんないと言われて傷ついた。
「だってイルミってば、弟の話ばっかりだし」
拗ねた彼女に指摘されて、それもそうだったな、と思い出す。確かに、彼女にはつまらない話だったかもしれない。
「でもいずれ義弟になるんだしさ」
そう言うと彼女の目が大きく見開かれて、そのあとすぐにうるみ始めた。
「オレなんか変なこと言った?」「イルミの馬鹿!」
※
お題『お風呂で...』
お風呂で鉢合わせ、というのはよくあるドキドキハプニングらしい。ので、オレは自主的に起こしてみることにした。
「きゃっ!」
「あ、ナナコ入って…なんで服着てるの」
「お風呂掃除」
「……なんで悲鳴あげたの」
「条件反射」
「今すぐ脱いで」「は?」
ハプニングは自分で起こすもの。
※
お題『すき...やき』
「あのさ、」
今しかないと思った。
なんとなく日も暮れかけてきて、すごくいい雰囲気だ。
「オレさ、実はすき...」
─好きなんだよね、ナナコのこと。
だけど続くはずの言葉は彼女のお腹の音で中断された。
「あーごめん。お昼食べる時間なくて」
「いや、えっと…その、すき...やき、すきやき食べようか」
「え、ほんと?イルミ大好き!」
好きの軽さに泣ける。
※
お題『ワンピース』
「白いワンピースっていいよね、男の夢なのかな」
これはナナコも似合うだろうな、と思って少し遠まわしに着てくれと言ったつもりだった。
「なるほど〜ありったけの夢をかき集めるんですね」「…?」
ミルが吹き出したけど、オレにはわからない。
二人で楽しそうにしないでよ。ムカつくから。
※
お題『マッサージ』
イルミって鍼灸とかできないの?
「針でするマッサージってこと?」「うん」
確かに人体の急所は知っているといえば知っているからできなくもない。
「じゃあ身体触っていい?」
「聞き方が駄目」
「じゃあ気持ちよくさせていい?」
「もっと駄目」
文句が多いな、どうしろっていうの。
※
お題『媚薬』
ゾルディック家では毒や薬の類は厳重に管理されている。その在庫や持ち出しのその他一切に至るまできっちりとデータ化されているのだ。
「ねぇ、親父、薬品のいくつかを私的使用してもいい?」
「…相手の事も考えてやるんだぞ」
えーと、オレまだ何も言ってないんだけど。
※
お題『幼馴染み』
少年漫画はおろか、少女漫画なんて読んだことがなかったが、彼女が言うには幼馴染みはかなり恋愛に発展しやすいシチュエーションらしい。
「あーあ、イケメン...はともかくも、優しくて皆に人気のある幼馴染みが欲しかったなー」
...なにそれ、喧嘩売ってる?
※
お題『欲情』TS設定
「ねぇ、イルミ」彼女はオレに背中を向けた。
「ごめん、背中のファスナー引っかかっちゃってさ。開けてくれない?」
髪が挟まらないようにまとめて持ち、白いうなじが見えている。それを見てごくり、と思わず生唾を飲んだ。
「…いいよ、ただし有料」「え?」
脱がせるのは得意なんだ。
※
お題『無防備』
「ナナコは無防備すぎる」
ほら、始まった。またイルミの説教だ。プロの暗殺者と一緒にされても困る、と文句言えば、そういうことじゃないよと一蹴される。
「たとえば」不意にぐっ、とイルミの顔が近づいて、唇に触れる柔らかいもの。
「こういう無防備さについて言ってるんだよ」
※
[
prev /
next ]