- ナノ -

■ SSまとめB

お題『鼻血でてますよ』

ぽたり、ぽたりと砂浜に血が落ちる。
これでヒソカの視線の先にグラマラスなお姉さんがいたのならぶちのめしてやるところだが、どうにもそんな気になれない。

「ヒソカさーん、鼻血でてますよー」

ショタの水着見て興奮してんじゃねーよ。この変態が。
私は嫉妬もできないじゃないか。



お題『確信犯』

確信犯という言葉の本来の意味は、 本人が悪いことでないと確信してなされる犯罪のことだ。だからヒソカはちょっと違う気がする。
こいつはその悪いことに楽しみを見い出しているのだから。

「ごめんねぇ、わざとじゃないんだよ?」

絶対に信じない。こいつは絶対にわざと私のベッドを壊した。

「一緒に寝るかい?」バカ野郎。



お題『君が為』

「な、なんで…なんで殺したの…?」

ナナコが憎しみに歪んだ表情でボクを見た。

「理由なんてないよ
「ヒソカなんて…死んじゃえ!」

ボクがナナコの恋人を殺した。
だってこの男は君を裏切っていたんだ。君がそれを知って傷つくくらいなら、ボクが憎まれた方がいいと思った。

「どちらにしても君は悲しむけどね

君が為、と言えるのか。



お題『Marry me!』

「ボクの物になりなよナナコ
「いや。ヒソカと結婚したら絶対に苦労する」
「刺激的な生活だよぉ

確かに普通のアットホームな家庭は無理かもしれないが、キミとなら退屈しない生活が送れそう。

だから「結婚しようよ
「絶対にいや!」



お題『残り香』

事が終わるなりさっさと帰り支度をする彼女の手を引いて、再びベッドへと沈める。
けれどももう彼女の方に甘い雰囲気はなく、やめて、と押し返された。

「じゃ、またね」「もう行くのかい?」

彼女は答えず部屋を出る。
枕に残った残り香だけが、夢でないのだという唯一の証拠だった。



お題『ツンドラな彼女』


「ボク達、付き合ってるんだよね?」「らしいね」

元からツン、とした雰囲気の彼女は、付き合ってもその態度を崩すことはなかった。

「甘えたりしないのかい?」
「私が?なんで?」
「恋人同士だからじゃないか

ぷい、とそっぽを向く彼女だけれど、キスをすればちゃんと応えてくれる。

「ボクのこと好き?」「それなりにね」

ああ、イイねツンドラ。



お題『混浴』

実は、ここは男湯。
ナナコが来る少し前に暖簾をドッキリテクスチャーで女としたのだ。

「うわっ、なんでヒソカが!」
「混浴だよぉ
「うそ、女って書いてあったし!」

あとは出ていこうとした彼女をバンジーガムで捕えるだけ。

「他に人が来たらどうするのよ!」
「それはそれでスリルがあるだろ

その時はその時さ。



お題『白ですね』

「ところでナナコ、今日のパンツの色は?」
「白ですね」

照れることもなく怒ることもなく、ただ聞かれたからと淡々と答える彼女。

「白もいいけど、ボクがこの前渡した黒は?」
「キモいから捨てました」

うーん、良くも悪くも正直なんだよなぁ



お題『刺激的』

刺激的なことが好きなんだ、というと彼女が目を閉じて、と言った。

「キスでもしてくれるのかい?」
「はい、開けていいよー」

ちょっぴり期待しながら目を開けた。
開けた瞬間激痛に襲われた。

「なっ...これ!」
「護身用の唐辛子スプレー」

変態もイチコロさ!と笑った彼女だが、ほんとに刺激的過ぎて笑えない。



お題『実はヒソカが初恋の人だった』

調子に乗るから絶対に言ってやらないけれど、実はそうなのだ。
まぁもともとピエロだろうが外見にはこだわらないタイプだし、何より彼は初め紳士っぽく見えた。だから、騙された。

「ボクは紳士じゃないか
「うわっ、えっ!?」
「団長から聞いてね
「黙れこの変態紳士」

団長め、覚えてろ。



お題『素知らぬ雨』

どんな雨の日も傘はささない。だって俗っぽく傘をさしているピエロなんて見たくないだろう。

ぽつぽつと降り出した雨粒が、頬を濡らしてもペイントは落ちない。その素知らぬ態度がまるでボクみたいだと思った。

「風邪引くよ」
「雨なんて降ってないさ
「厨二かよ」

‥‥誰かボクのセンチメンタルな気分をわかって。




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