■ SSまとめD
お題『好きなんだからしょうがない』
目の前に叩きつけられた機械の残骸に、あーあと呆れる。
だけど彼女はカンカンに怒っていた。
「盗聴器も隠しカメラも禁止!」
「だったら長期の仕事の時に、何で癒されればいいの?」
「知るか!」
このくらい別に許してくれたっていいのに。
盗聴器もカメラも、君が好きなんだからしょうがない。
※
お題『あの男、だれ?』
「痛いっ!何するのイルミ!」「あの男、誰?」
街で親しげに男と喋っている彼女を見て、オレは怒りを抑えられなかった。
「今すぐ殺してきたっていいんだよ?」
「何言ってんの、あれ私のお父さん!」
「へ?」
殺したらただじゃおかないと逆に叱られた。
仕方が無いから娘さんを貰うまでは生かしておいてやる。
※
お題『これは君のための針』
失恋した、と言ってオレのところに避難してきた君はずるい。
かける言葉も無くて、ただひたすら君が泣き止むのを待っていた。
「もう忘れなよ」男なんていっぱいいるじゃん。
「でも好きだったの」もういいじゃん。
オレは慰めるフリして彼女の頭に針を埋め込んだ。「オレがいるよ」
これは君のための針。
※
お題『ジャージ』
似合わない、と彼女は爆笑した。
それからオレに三角座りをさせて「見学の子」とか言ってはしゃいだ。
何がそんなに面白いんだか。
「でも普段ド派手な服を来てるだけあって、ダサいカラフルジャージも着こなせてるね」
ちょっと待って、オレけなされてない?
怒るべきだよね?
※
お題『強い彼氏』
彼氏にするなら私より強い男!
そんなことを言っているナナコにはなかなか彼氏ができない。
「だってナナコってかなり強いよね」
「でもこれは譲れないよ」
誰かいないのかな、とぼやく彼女はオレのことを忘れてるのかな。
「もうオレしかいないんじゃない?」
オレにしとけば?
※
お題『本気だよ!』
「イルミ、ちょっと冗談言ってみてよ」
「殺しは快楽」
「冗談に聞こえないって!」
じゃあ今度は本気のこと言ってみて、と彼女が言うからチャンスだと思った。
「ナナコのことが好きだ」
「誰が冗談言えって言ったのよ」
なんでこうなる。本気だよ!
※
お題『束縛したいんだけど』
「これは、どういうことでしょうか…?」
彼女が恐る恐る聞いてくるから、オレは得意げに説明してやった。
「束縛するな、って言うから本当の束縛がどんなものかわからせようと思って」
彼女を束のように縛った。まさに束縛。
「イルミのしたいことがわからない」
だからいつも言ってるじゃん。
オレはただ「束縛したいんだけど」
※
お題『趣味』
ご趣味は?
お見合いの決まり文句にいつも閉口する。基本的に仕事ばっかりしてるから趣味らしい趣味もないし、かと言ってヒソカみたいに殺しが趣味なわけじゃない。
特にない、と返事すると目の前の女はにっこり笑った。
「つまんない男」
「…だったらお前にするよ、趣味」
変わった女を嫁に貰うと、飽きなくていいかもしれない。
※
お題『いい度胸だね』
イルミが仕事ばっかりなので、私はヒソカくんと遊びに行ってきます。
電話が繋がらないから急いで帰ってきたら、挑発するように置き手紙があった。
ヒソカは仕事で一緒だったから、すぐに嘘だとわかるけど、あえてこんなことをするなんて。
「いい度胸だね」
見つけたらただじゃおかない。
※
お題『どっちが好き?』
「絞殺か撲殺か」「絞殺」
「毒殺か刺殺か」「刺殺」
奇遇だね、とオレは嬉しくなった。
「ナナコとは本当に気が合うよ」
じゃあオレに殺されるのとオレを殺すのどっちが好き?
彼女は少し悩んでからこう答えた。
「どっちも」「奇遇だね」
最後は心中しよう。まだずっと先の話だけれど。
※
お題『ヒソカとイルミに取られ合っこ イルミ落ち』
「好きだよナナコ
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」
「いい加減にしろよヒソカ」
目の前のピエロから庇うように、イルミが私を後ろに隠した。
「ごめんね、ヒソカ」「どうしてだい
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?」
狼少年の話を知ってる?それだけ言うと、彼は笑った。
「本当だとしても、もう信じて貰えないんだね
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」「ナナコはオレのだよ」
イルミは嘘をつかないから。
※
お題『一緒に寝て』
怖い夢を見た、と言って深夜に尋ねてこられるのははっきり言って迷惑だった。
だってオレはこれから仕事なんだし。
「無理、仕事に行かないと」「じゃあ待ってる」
「え?」
それだとほとんど寝られないけど。というか起きて待ってる方が怖くない?
「出来るだけ早く帰るよ」
世話の焼ける彼女の額にキスを落として、オレは夜の闇に溶けた。
※
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