- ナノ -

■ SSまとめD

お題『好きなんだからしょうがない』

目の前に叩きつけられた機械の残骸に、あーあと呆れる。
だけど彼女はカンカンに怒っていた。

「盗聴器も隠しカメラも禁止!」
「だったら長期の仕事の時に、何で癒されればいいの?」
「知るか!」

このくらい別に許してくれたっていいのに。
盗聴器もカメラも、君が好きなんだからしょうがない。



お題『あの男、だれ?』

「痛いっ!何するのイルミ!」「あの男、誰?」

街で親しげに男と喋っている彼女を見て、オレは怒りを抑えられなかった。

「今すぐ殺してきたっていいんだよ?」
「何言ってんの、あれ私のお父さん!」
「へ?」

殺したらただじゃおかないと逆に叱られた。
仕方が無いから娘さんを貰うまでは生かしておいてやる。




お題『これは君のための針』

失恋した、と言ってオレのところに避難してきた君はずるい。
かける言葉も無くて、ただひたすら君が泣き止むのを待っていた。

「もう忘れなよ」男なんていっぱいいるじゃん。
「でも好きだったの」もういいじゃん。

オレは慰めるフリして彼女の頭に針を埋め込んだ。「オレがいるよ」

これは君のための針。



お題『ジャージ』

似合わない、と彼女は爆笑した。
それからオレに三角座りをさせて「見学の子」とか言ってはしゃいだ。
何がそんなに面白いんだか。

「でも普段ド派手な服を来てるだけあって、ダサいカラフルジャージも着こなせてるね」

ちょっと待って、オレけなされてない?
怒るべきだよね?



お題『強い彼氏』

彼氏にするなら私より強い男!

そんなことを言っているナナコにはなかなか彼氏ができない。

「だってナナコってかなり強いよね」
「でもこれは譲れないよ」

誰かいないのかな、とぼやく彼女はオレのことを忘れてるのかな。

「もうオレしかいないんじゃない?」
オレにしとけば?



お題『本気だよ!』

「イルミ、ちょっと冗談言ってみてよ」
「殺しは快楽」
「冗談に聞こえないって!」

じゃあ今度は本気のこと言ってみて、と彼女が言うからチャンスだと思った。

「ナナコのことが好きだ」
「誰が冗談言えって言ったのよ」

なんでこうなる。本気だよ!



お題『束縛したいんだけど』

「これは、どういうことでしょうか…?」

彼女が恐る恐る聞いてくるから、オレは得意げに説明してやった。

「束縛するな、って言うから本当の束縛がどんなものかわからせようと思って」

彼女を束のように縛った。まさに束縛。

「イルミのしたいことがわからない」

だからいつも言ってるじゃん。
オレはただ「束縛したいんだけど」



お題『趣味』

ご趣味は?

お見合いの決まり文句にいつも閉口する。基本的に仕事ばっかりしてるから趣味らしい趣味もないし、かと言ってヒソカみたいに殺しが趣味なわけじゃない。
特にない、と返事すると目の前の女はにっこり笑った。

「つまんない男」
「…だったらお前にするよ、趣味」

変わった女を嫁に貰うと、飽きなくていいかもしれない。



お題『いい度胸だね』

イルミが仕事ばっかりなので、私はヒソカくんと遊びに行ってきます。

電話が繋がらないから急いで帰ってきたら、挑発するように置き手紙があった。
ヒソカは仕事で一緒だったから、すぐに嘘だとわかるけど、あえてこんなことをするなんて。

「いい度胸だね」

見つけたらただじゃおかない。



お題『どっちが好き?』

「絞殺か撲殺か」「絞殺」
「毒殺か刺殺か」「刺殺」

奇遇だね、とオレは嬉しくなった。

「ナナコとは本当に気が合うよ」

じゃあオレに殺されるのとオレを殺すのどっちが好き?
彼女は少し悩んでからこう答えた。

「どっちも」「奇遇だね」

最後は心中しよう。まだずっと先の話だけれど。



お題『ヒソカとイルミに取られ合っこ イルミ落ち』

「好きだよナナコ
「いい加減にしろよヒソカ」

目の前のピエロから庇うように、イルミが私を後ろに隠した。

「ごめんね、ヒソカ」「どうしてだい?」

狼少年の話を知ってる?それだけ言うと、彼は笑った。

「本当だとしても、もう信じて貰えないんだね」「ナナコはオレのだよ」

イルミは嘘をつかないから。



お題『一緒に寝て』

怖い夢を見た、と言って深夜に尋ねてこられるのははっきり言って迷惑だった。
だってオレはこれから仕事なんだし。

「無理、仕事に行かないと」「じゃあ待ってる」
「え?」

それだとほとんど寝られないけど。というか起きて待ってる方が怖くない?

「出来るだけ早く帰るよ」

世話の焼ける彼女の額にキスを落として、オレは夜の闇に溶けた。




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