■ SSまとめC
お題『可愛いね…すごく……可愛い』
「イルミってあんまり褒めてくれないからつまんない」
せっかくお洒落したのに反応がないからふてくされたら、彼がこちらを向いてまじまじと見つめてきた。
「可愛いね…すごく……可愛い」
「なっ、溜めて言われると恥ずかしいから!」
いつものあっさり感はどうしたんだ、と思ったらイルミもちょっと赤くなってた。
そっちも照れてたのか。
※
お題『ねぇ、体触らせて』
「触んないでよ」「えー」
ベタベタされるのは嫌いじゃないけど、くっつかれたくない時だってある。
だけど、私が良いって言ったときだけにしてよ、と言ったのは失敗だった。
「ねぇ、体触らせて」「気持ちわる」
「ナナコが許可制にしたんだろ」
そうなんだけどイルミが気持ち悪いです。
※
お題『頭をぽんぽんする』
「縮むからやめて」「縮まないよ」
イルミは私の頭をぽんぽんするのが癖だ。たまにバスケのドリブルかよと思う。
「サイズ的にちょうど手を置きやすいんだよね」
「背の低い子なんていっぱいいるじゃん」どっちかっていうとイルミが高いんだし。
「そうだね、でもナナコしかしたことないな」
喜んでいいのかわからない。
※
お題『構って、』
無言でイルミがのしかかってきたら、それは構っての合図です。
長男だから甘え下手かなと思っていたけど、そんなことはない。
「重い」
「オレ軽いって言われるよ?」
「それは男の割にでしょう」
でも決して構って、とは直接言わないので、言うまで放置してみることにします。
「ナナコ、暇だろ?」
構ってって言えよ。
※
お題『おいで』
弟がいるからそうなのか、イルミはよく「おいで」と言う。
「子供扱いみたいでやだ」
「じゃあなんて言えばいいのさ」
「来いよ、とか?」
私が提案すると、彼は少し考えてから言った。
「来いよ」
「う、うん…」
その後返り討ちにしてやるよ、って聞こそうで怖い。
※
お題『きゅん』
なんだろうこの胸の締め付けは。
最近、ナナコの何気ない仕草を見るだけでこんな症状に見舞われる。
苦しいけど不快ではないのがまた不思議で、困ったオレはとりあえずヒソカに相談してみることにした。
「あーわかるよ、ボクも股間がそうなるもの
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」
「お前に聞いたのが間違いだった」
オレの純情を返せ。
※
お題『離さない』
「もう離さないよ」
一緒に映画を見てたら俳優のお決まりの台詞。
女子はこういうの弱いよねー、と言うから、早速彼女を抱き寄せて言ってみた。
「え、イルミのガチっぽくて怖い」
泣きたい。
※
お題『どこが好き?』
「言ってみてよ」
なんでこんな女々しい質問をしたんだろうと思ったら、やっぱり原因はヒソカらしい。
私はうーんと考え込んだ。
「全部かな」「ずるいよそれ」
「だって決めらんないよ」
イルミはどうなの?と逆に聞いたら、彼も考え込んだ。「全部だね」
後日、この話を聞いたヒソカは渋い顔になったらしい。
※
お題『教えて』
近くに寄ったのでナナコの家を訪ねてみると、彼女が何やら書いている。
「何書いてるの?」「うわっ!えっ!?イルミ!?」
真っ赤になって机の上を片付ける。かなり怪しい。
「何さ、隠さなくたっていいのに」
「駄目だって!あ!」
ピンク色の便箋。宛名はオレ。
「教えて?」
どうせなら口で言いなよ。
※
お題『隣』
「落ち着かないから、イルミは右を歩いてよ」
彼女は細かいことにこだわる。いつもと同じでなければ嫌らしい。
言われたとおり彼女に左を譲ると、にっこり笑って手を繋いできた。
「うん、この感じ」どっちにしたって隣なのに。
繋いだ手を握り返した。
※
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