- ナノ -

■ SSまとめC

お題『可愛いね…すごく……可愛い』

「イルミってあんまり褒めてくれないからつまんない」

せっかくお洒落したのに反応がないからふてくされたら、彼がこちらを向いてまじまじと見つめてきた。

「可愛いね…すごく……可愛い」
「なっ、溜めて言われると恥ずかしいから!」

いつものあっさり感はどうしたんだ、と思ったらイルミもちょっと赤くなってた。
そっちも照れてたのか。



お題『ねぇ、体触らせて』

「触んないでよ」「えー」

ベタベタされるのは嫌いじゃないけど、くっつかれたくない時だってある。
だけど、私が良いって言ったときだけにしてよ、と言ったのは失敗だった。

「ねぇ、体触らせて」「気持ちわる」
「ナナコが許可制にしたんだろ」

そうなんだけどイルミが気持ち悪いです。



お題『頭をぽんぽんする』

「縮むからやめて」「縮まないよ」

イルミは私の頭をぽんぽんするのが癖だ。たまにバスケのドリブルかよと思う。

「サイズ的にちょうど手を置きやすいんだよね」
「背の低い子なんていっぱいいるじゃん」どっちかっていうとイルミが高いんだし。

「そうだね、でもナナコしかしたことないな」

喜んでいいのかわからない。




お題『構って、』

無言でイルミがのしかかってきたら、それは構っての合図です。
長男だから甘え下手かなと思っていたけど、そんなことはない。

「重い」
「オレ軽いって言われるよ?」
「それは男の割にでしょう」

でも決して構って、とは直接言わないので、言うまで放置してみることにします。

「ナナコ、暇だろ?」

構ってって言えよ。



お題『おいで』

弟がいるからそうなのか、イルミはよく「おいで」と言う。

「子供扱いみたいでやだ」
「じゃあなんて言えばいいのさ」
「来いよ、とか?」

私が提案すると、彼は少し考えてから言った。

「来いよ」
「う、うん…」

その後返り討ちにしてやるよ、って聞こそうで怖い。



お題『きゅん』

なんだろうこの胸の締め付けは。
最近、ナナコの何気ない仕草を見るだけでこんな症状に見舞われる。
苦しいけど不快ではないのがまた不思議で、困ったオレはとりあえずヒソカに相談してみることにした。

「あーわかるよ、ボクも股間がそうなるもの
「お前に聞いたのが間違いだった」

オレの純情を返せ。



お題『離さない』

「もう離さないよ」

一緒に映画を見てたら俳優のお決まりの台詞。
女子はこういうの弱いよねー、と言うから、早速彼女を抱き寄せて言ってみた。

「え、イルミのガチっぽくて怖い」
泣きたい。



お題『どこが好き?』

「言ってみてよ」

なんでこんな女々しい質問をしたんだろうと思ったら、やっぱり原因はヒソカらしい。
私はうーんと考え込んだ。

「全部かな」「ずるいよそれ」
「だって決めらんないよ」

イルミはどうなの?と逆に聞いたら、彼も考え込んだ。「全部だね」

後日、この話を聞いたヒソカは渋い顔になったらしい。




お題『教えて』

近くに寄ったのでナナコの家を訪ねてみると、彼女が何やら書いている。

「何書いてるの?」「うわっ!えっ!?イルミ!?」

真っ赤になって机の上を片付ける。かなり怪しい。

「何さ、隠さなくたっていいのに」
「駄目だって!あ!」

ピンク色の便箋。宛名はオレ。

「教えて?」

どうせなら口で言いなよ。




お題『隣』

「落ち着かないから、イルミは右を歩いてよ」

彼女は細かいことにこだわる。いつもと同じでなければ嫌らしい。
言われたとおり彼女に左を譲ると、にっこり笑って手を繋いできた。

「うん、この感じ」どっちにしたって隣なのに。

繋いだ手を握り返した。




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