- ナノ -

■ SSまとめ@

お題『本気の初恋』

「どこに住んでるの?」

ボクは答えられなかった。だって彼女は裕福な家の子だけどボクは違うから。
下らないプライドと嘘をつけない素直さがあの頃にはまだあったのだ。

「あなた誰?」

大人になったキミは、もうボクのことを覚えていなかったけど、今は嘘もつける。
初対面のふりして近づいた。初恋をやり直そう。

やっぱり気持ちには嘘をつけなかった。




お題『奇術師に不可能はない』

あの口癖は論理的でないから嫌い。

「例えば正反対の系統。ヒソカは人を操れない」
「そんなことないよ

本当は喧嘩を売る意味も無かったのだが、ムカついたから言ってみた。

「例えばキミはボクを嫌いみたいだけど」彼は相変わらずにやにや笑う。

「好きにさせてみせるよ
「奇術師だから?」
「うん
馬鹿らしい。



お題『浴衣で夏祭り』

ピエロも目だつが浴衣も目立つ。
いつにも増して格好いい彼は、周囲の注目を集めまくっていた。

「バンジーガムで繋いでればはぐれないね」人混みの中そう言うと、使わないよと笑う彼。

「なんで?」「手を繋がなくていいのかい?」


赤くなって俯いた私の手を、彼の大きな手が包んだ。

「ごめんね、ボクが繋ぎたいんだよ




お題『青い果実だった筈なのに』

「え、武闘家になる夢は?」
「家業継ぎました」

天空闘技場で目を付けた彼女。もう熟れたかなと会いに行くと、なんと定食屋を経営していた。

「ボクにリベンジするって言ってたアレは?」
「あはは、無理でしたね。奢りますよ」
「いや、そうじゃなくて

困惑しつつも出された料理を食べた。

「…美味しい!」なんだ、キミの才能は他にあったのか。




お題『弱音を吐くヒソカ』

「はぁ、ボクって魅力ないのかな
いつも自信満々なヒソカが酒の飲み過ぎか、弱音を吐いた。

「うざ」ただでさえ面倒なのに、このうえ愚痴まで聞かされてはたまらない。
立ち上がろうとしたら、腕を掴まれた。

「口説いてもスルーされるんだ自信なくすよ」「そう」
「ほらね、まただ

振り払ってから意味が分かった。酒の席の戯言と思いたい。




お題『鳥、でぬるい話』

「うそ、食べたの?」

彼女の飼ってたインコが消えた。たぶん逃げ出したんだと思う。
だけどその前にボクがふざけて美味しそうとか言ってたから、真っ先にボクが疑われた。

「うーん、味的には鳩の方が好きかな」「最低!」

いつもの癖で嘘をついてしまったボクも悪いけど、信じるキミもどうかしている。




お題『家庭教師』

頼みの綱のクロロもシャルも忙しい。となると後はもう一番暇そうなヒソカに頼むしかなかった。

「ハンター試験って過去問とかないの?」
「残念ながらないねぇ、大丈夫だよ。ボクが家庭教師としてしっかり教えてあげるね

そして迎えた試験当日。
微分も積分も全く役に立たない。

ヒソカの奴、騙したな。



お題『五月病』

「最近ヤル気が出ないんだよねぇ

旅団の招集に応じないヒソカを訪ねたら、五月病かもしれないとか言い出した。

「ただダルいだけでしょ、仕事しなさい」
「青い果実も最近追いかける元気なくて…」「えっ!?」

それはただならぬ事態だ。もっと悪い病気かと疑いたくもなるが世界が平和になるのは間違いない。

「一生かかってて、五月病」



お題『既婚者』

欲しいな、と思った相手に旦那がいた。
ただそれだけのことで、大騒ぎするほどのことでもない。逆に考えれば恋敵はたった一人でもある。

「ただのバツイチになるか、未亡人になるか、どっちがいいかい?」

一応そう聞いたけれど、不倫も面白そうだと思う自分もいた。

「どれもパス」流石に既婚者はガードが固い。



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