- ナノ -

■ SSまとめ@

お題『女々しいクロロがクールな女夢主と関わって乙女な心が芽生える』


「俺は悪くない」

そもそも善悪の基準とは─と語りだしたら、悪くないと思うなら黙っててと言われた。
事の発端は俺が勝手にお前の携帯を見たことなのだが、好きなんだから仕方ないだろう。

よく考えればあまり感情を表に出さないお前の気持ちが、こんな機械の中にあるはずもなかったのに。




お題『唯我独尊』

この世で自分ほど尊いものはない。

そんな考え方を唯我独尊というらしいが、生憎俺は自分にそれほどの価値を見いだせていない。

「この世で最も尊いものは何だ?」ナナコならどう答えるか聞いてみた。

「私でしょ」

「…」

そんな回答が世間で通用するとは思えないが、俺の中ではそういうことにしといてやろう。




お題『オープンカフェでお茶デート』

結局読書するなら、家と一緒だ。
デートに行きたいと言ったら連れてってくれたオープンカフェ。さっきから彼は一言も話さないで、ひたすら本に視線を落としていた。

「…クロロ、本が逆だよ?」もしかして緊張してる?

らしくない一面に驚いたら、彼が倒したカップの珈琲が膝にかかる。
動揺してる彼が可愛くて許してしまった。





お題『幼女との絡み』

ああ、どうしてこんな時に限って団長なんだろう。せめて私服姿だったら面倒見のいいお兄さんだったのに。

さっきから左足にしがみついて離れない幼女のせいで、俺は周りから白い目で見られている。

「うわぁ、団長ロリコン?」

「コンプレックスというよりトラウマだな」

シャル、教えてくれよ。どこにあるんだ迷子センター。




お題『枕』

人は、人生の三分の一もの時間眠っているという。だから誰も彼もが良質な睡眠を求めるのは、あながち間違った行動でもないのだ。

「御託はいいから、さっさとどいてよ」
これから私は仕事なの。

降ってきた都合の悪い言葉は聞き流して俺は目を閉じる。「もう、どいてったら」

お前の膝は眠りやすい。



お題『薬』

病気にならないから薬は飲まない。
かといって麻薬の類もやらない。
薬とは無縁の生活だなと我ながら感心してると、突然ナナコにキスされた。

「…これ、毒か」
「薬も過ぎれば毒になる。ならその逆も然りかなって」
「殺す気か」

中毒性のある唇に、今度は俺から口づける。
馬鹿につける薬はないと言う言葉が浮かんだ。




お題『豆腐メンタル』

「それでも団長?」

もうその手の罵倒は聞き飽きた。聞き飽きたといいつつ俺の心を容赦なく抉る。

別に立候補したわけじゃないし。そう言い訳したら「落ち込んでるの?これだからお豆腐メンタルは」今度は蔑まれた。

「どうせ俺は豆腐だ」何とでも罵るがいい。だけど彼女は怒った。

「豆腐に謝れ、軟弱野郎」

先に豆腐って言ったのはそっちじゃないか。




お題『ドキッとする悪戯』

朝起きると、額に落書きされていた。
クロロはお揃いだと言って笑ってたけど、油性ペンだから笑えない。

「じゃあこの指に巻かれたリボンはなんなのよ」

どうせこれも下らない悪戯なんだろう。怒ってやろうと構えていたら彼がリボンをしゅるりと解いた。

「あぁ、これは指輪のサイズを知りたくてな」
「…」

悪戯したこと許します。



お題『パパ』

「パパ、」口に出してからしまったと思った。驚いた表情のクロロの顔が、次第ににやりと歪められる。

「俺はお前の父親じゃないぞ」
「ま、間違ったの!」

学校の先生にお母さん、って言ってしまうようなものだ。赤面した私に彼はさらに追い討ちを掛ける。

「俺は子供ができてもお前のことをママじゃなく名前で呼ぶぞ」
「うるさい忘れろ」



お題『切ない片思い』

「団員はやっぱ恋愛対象外だよなー」

そう言って笑うフィンとシャルに、思わずどきりとする。
こっちが願い下げだよ、とそっぽを向くマチに私は苦笑いするしかなかった。

「きっと魅力的でないというより、仲間という意識が強いんだろうな」

フォローしてくれた団長の一言が痛い。
貴方に近づきたくて蜘蛛に入ったのに、近すぎても駄目なの?




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