- ナノ -

■ SSまとめA

お題『オレのだろ』

「あ!それ私の」

置いてあったチョコを食べようとしたら、思いがけず怒られた。

別に甘い物が特別好きなわけではないからいいのだけれど「オレの部屋に置いてあった」どうしても食べたかったフリをした。

「だから」慌ててチョコを食べた彼女に口づけ、口内に広がる甘さを味わう。

「オレのだろ、チョコもお前も」




お題『なんかエロい』

オレはこの歳になって、棒アイスの破壊力を知った。
キルやミルが食べてるのは見たことあるけど、女が食べてるのとはまた違う。

「なに?イルミも食べたいの?」暑くて薄着だから、身体のラインがよくわかる。

アイスを舐めるぺろ、と赤い舌と、溶けて垂れた白い雫がなんだかものすごくエロかった。

「食べたい」




お題『ずっと前から好きだったよ』

「彼氏出来た」「は?」

てっきりふーんで流されると思っていたが、イルミは石像のように固まった。

「なんで」「向こうが好きって言ってくれたから」

「それだけ?
オレ、ずっと前からナナコのこと好きだったよ」

なぜそれを早く言わないんだ。驚く私に彼は言う。

「別れなよ」「どうしよっかな」

「オレの方が好きだよ」



お題『…して?』

思えば、オレばかりがナナコのことを好きな気がする。
一度浮かんだその考えは簡単に拭えるはずもなく、彼女を呼び出して確かめようと思った。

「…して」こういう時は目を閉じるんだっけ。

彼女の表情は見えないけど、戸惑いは伝わってきた。

「…して?」
もう一度言えば唇に触れた感触に満たされる。
浅いのでは足りない。




お題『鍵、でぬるい話』

「鍵なくしちゃってさ」

開かなくなったという引出しを見せて、彼女は苦笑いした。なんだこんなくらい。

「開けてあげようか?」
「ほんと?あ、そっか。イルミは仕事で侵入するとかあるから開けられるのか」

喜ぶ彼女の目の前でオレはばきり、と机を壊した。

「イルミ嫌い!」なんでだよ。




お題『そんなこと知らない』

「太った…」

ナナコは凹んでいた。だけど見た目では全然わからないので持ち上げてみようとしたら、やめてよ!とすごい剣幕で怒られた。

「重いってば!」
「何キロあるのさ」
「はぁ?女子に体重聞くとか失礼すぎ」

聞いちゃダメならこの話は何だったの。ムカついたから担ぎあげた。

「そんなこと知らない」




お題『私にベタ惚れなアナタ』

「今何してるの?」

本日何回目かになる電話に、流石に閉口する。だって30分前にも答えたばかりなのだ。

「イルミ、いい加減にして」
「気になるんだから仕方ないだろ。じゃあナナコから今何してるかメールしてよ」

写メも送って、と言われて電話を切った。

─好きだよ

今度はメールが届いた。



お題『浮気じゃないってば』

さっきからずっと誤解だと言ってるのに、全く信じてくれない。
彼女に情報屋の女と話しているところを見られたのだ。

「私が他の男と喋ったら浮気だって言うじゃん」
「それはそうだよ」
「だったらイルミも」「浮気じゃないってば」

自分でも筋が通ってないと思うけど、オレのは浮気じゃない。

「オレはナナコしか好きじゃないからね」




お題『溺愛』

「ナナコってほっとくとすぐ死にそうだし家事出来ないしガサツだし要領悪いし、本当に可愛いね」

落ち着け。彼は別に私に喧嘩を売ってるわけじゃないのだ。

「欠点まで愛しいよ」「欠点しか挙げられてないけど」

抱きついてきた彼の愛に押しつぶされそう。いや、実際締まりすぎて内蔵が出そうだ。

「ギブギブ!」愛に溺れる。



お題『抱きたい』

完全に誘ってるでしょ。

部屋に帰るとナナコがオレのベッドで眠っていた。
それだけならまだしも、キャミソールにショートパンツという薄着。もうこれは不可抗力だ。

がばりと覆い被さると、寝ぼけながらも彼女が目を覚ます。

「…ん、イルミ?」「抱きたい」

彼女が完全に覚醒するのとオレが口づけるのとでは、オレの方が断然早かった。




お題『出来心で浮気なんかするな!』

「どういうこと」「つい、出来心で」

全く悪びれる様子なく、彼女はごめんと謝った。

「でも可愛い子には旅をさせろって言うじゃない」
「いや、監禁すべきだ」

相手を殺してもまだ怒りの収まらないオレに、だけどわかったよと彼女はぎゅーと抱きついてきた。

「やっぱり我が家が一番だわ」

旅行気分かよ。




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