■ 2.どうしてそんな余裕なの
「うちで話し合ったんだけどさ、君を監禁させてもらうことにしたから」
何でもないことのようにさらっと発表するとレイは首を傾げた。
今はまだ理解が追いついてないみたいだけど、わかった途端に逃げるかな。
その後、残りの仕事を終えたオレは再びレイのところへ戻ってきていた。もしかして既に逃げているか?と思ったが逃げられていたところで探すのはミルキの役目だし問題ない。
しかし実際に戻ってきてみると、彼女が部屋に飛び散った血糊を一生懸命掃除してておもわず呆れた。
例え、綺麗になったとしてもそこにはもう住みたくないでしょ、フツー。
死体は皆、彼女の父親が雇ったボディーガードで、知らない人間とはいえ対応がドライ過ぎる気がした。
「監禁って…どこにですか?」
「オレの家」
「今からですか?」
「そう」
聞かれたから頷くと、彼女はそこで初めて焦ったような顔になる。
そう、それでいいんだよ。
泣きわめかれたり暴れたられたりするのはめんどくさいけど、少しは反応してよ。
オレはいつの間にか彼女の表情を、変化させようと躍起になっていた。
「あの、私全然準備してなくて…というか、既に私はここに軟禁されてるので父様の許可を得ないと…」
ようやく理解が追いついたらしい彼女は急に慌てふためいて部屋の中を歩き回る。
「軟禁されてたの?」
そう言えば、この建物はやけに人里離れた山奥にあるし、鍵もいくつも掛かってた。
でも、こんな女を閉じ込めておいて何になるのだろう。
バカだからかな、バカでウザいから閉じ込めておいたのかな。
とにかく、とオレはポンと手をうった。
「オレと一緒に来てもらうよ。拒否権はない。父親が邪魔するようなら殺すから」
「じゃあ、用意しますので少しまっててくださいね」
「……」
にこっ、と笑う彼女に思わず深いため息をつく。筋金入りの馬鹿はホントに厄介。
でも、この仕事を受けたのがオレで良かったかも。
相手が女だからって、キルやカルに回していたら、お手上げだったろう。
もちろん、オレもこいつの能天気さにはお手上げなんだけど、まだマシだ。
大事な弟たちに悪影響を及ぼしそうで怖い。
帰ったら、すぐ殺そう。
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