- ナノ -

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あぁぁぁああ!はい!双子は片方が死ぬ!まあ定石だよね、わかってた!自分が創作者ならそうするもん、だってそのほうが面白いもん!!

てなわけで、383話「脱出」はこれまで気になっていたところの答え合わせ回というような感じでした。
ひたすら情報を与えて考えさせる回と、そして一気にお話を進めて答えを確かめる回、あぁ、ほんと、冨樫先生は本当に物語の構成が上手い……。

第一回日曜晩餐会。こういうのが毎週あると思うと精神的にクルな……って感じですが、サレサレの死亡は現段階で伏せられています。
これがサレサレの派閥による工作なのか、継承戦に関わる一握りの者は知っているが、他のビップや著名人の混乱を避けるための措置なのかは不明ですが、前回明らかに顔色酷かったし、サレサレが実は生きているなんてことはないでしょう……ないですよね?まさか心肺蘇生とかしてないよね?それはもうヒソカだけで十分だぜ……?

発表された演奏プログラムには、バショウやイズナビなど意外な面子が意外な才能を披露していて、全体的にH協会の人間が多いし、やっぱハンターって多才なんだな、と。
この晩餐会は全員参加必須ではないようで、念能力者の第一王子、第二王子は不参加。(センリツが言うってことはやはり、王子で念能力者はこの上位2人と、後から習得した第四王子ツェリ様だけなのかもしれない)

十三王子、マラヤ―ムは念空間を作るタイプの念獣であるため、ビスケは籠城戦に持ち込むようです。ウェルゲーさんがすっかりビスケにお熱なのには笑ってしまう。ビスケは子供の扱い上手そうなので、マラヤームを護衛しつつしっかり面倒見てくれそうですね。確かに家庭的ポイントたっかいわ。

そしていよいよカチョウフウゲツの作戦……。
演奏順の変更がないことを気にしていたのは、センリツのフルートを聞かなくとも不審がられないためだったんですね。
センリツの本気により生み出された3分間。圧巻の背景の描き込みがいかに素晴らしい演奏なのかを表現していて、漫画で音を伝えるってこういうことなんだな、とまたもや冨樫先生に脱帽です。ちょっと最近描きこみすぎで心配になっちゃうけども。

双子はキーニの手引きもあって、無事に救命艇へ。文節に暗号仕込むのかっこいいっすね!!この指令は確かミザイさんからの物だったし、カチョウの身柄を確保したミザイさんは立場的に仕方なかっただけで、ちゃんと味方なんだって思うとほっとする。
(ちなみに指令の文節を拾うと
13:44→1節、3節、4節、4節で『カチョウフウゲツ両王子の逃走を全力でサポートしろ』になるそうです)

H協会も中立ポジだからこその柵が色々あって面倒そうですね……。護衛任務の放棄は協会全体の信頼に関わるため、キーニが泥を被り、センリツだってこの後無事では済まないかもしれない。逃亡が成功すれば作戦への関与が疑われるし、失敗しても能力の強さから危険視されて消されてしまうかもしれない。
それでもセンリツとキーニは全力を賭けて、双子の王子を逃がしました。

「あたし達はいつでも一緒!二人なら平気!!」

だめだ……フラグを立てるんじゃない。「カイトは生きてる!」を思い出してしまう。

だってだって、ねぇ?
逃亡がOKなら、継承戦の棄権だって許されたはずでしょう?赤ちゃんのワブルですら、辞退を認められなかった。ここの王子教育は32巻で「王の子たるもの、王になれる機会が来て当然と考え、機会を自ら放棄することなどあってはならない」というものだとオイト王妃がクラピカに言うシーンがありました。
前回の国王ホイコーローの反応や口ぶりから、その思想は彼だけのものではなく、王家に代々伝わる物。
となれば、同じく王家に伝わるこの儀式も、そういう仕組みになっていると考えるのが妥当です。

ホッとするのも束の間、「脱出」の真の意味を悟ったカチョウは、フウゲツの扉で船に戻ることを選択します。ここからの演出……ほんと憎い。でも上手いの……。
迫りくる死の手(これは儀式の制約が形をとったものなのか、比喩表現なのかはさておき)からただ一人逃れたフウゲツ。閉まった扉と暗いトンネルの中に一人残され、片割れの名を叫びます。

あぁ、よかった。カチョウも間一髪だったんだね。でも、行きの扉は確かフウゲツしか……一度閉まったように見えたけれど、それはノーカンなのか?

そしてまた嫌なフラグ「カーちんとなら、平気!!」

もうね、私にはフウゲツ王子がゴンにしか見えないんです。ピトーならカイトを元に戻せる、そう思っていたころの、まだ希望があるゴン……。

二人は船内に戻り、久しぶりに一緒にベッドで横になります。見た目も、思考も、フウゲツを想う気持ちでさえも、何一つ本物と変わりない。でも今ね、フーちんの隣にいるのは君の片割れじゃないの。宿主たるカーちんの性格を反映した、妹思いのカーちんから生まれた、それは念獣なんだ。

”2人セゾン”――この読み方が”キミハイナイ”なんて泣かせる……。
これも欅坂の曲名らしいですね。セゾンの意味は、フランス語で「季節」(英語ならseasonに相当)ということらしく、二人は春夏秋冬のように互いに彩りを与える存在ということでしょうか。
実際の欅坂の曲の中でも、”イヤホン外して〜(JASRAC問題があるから気になる人は自分で調べてね)”など、双子の逃走シーンを彷彿とさせる歌詞や、「君は」が最終的には「僕も」になったりと、二人で一つということをかなり押し出している曲みたいです。うわ、これから聞くたびに泣いてしまうじゃないか。

そしてゴンとカイトの流れを踏襲するなら、フウゲツはいつか隣のカチョウが念獣で、本物はもう死んでしまっていると気付くときが来るんですよね……。”2人セゾン”はもう一方が死ぬまで傍で守るとありましたので、普通で言うならフウゲツ死亡時に、一緒に消える綺麗なシーンになるかもしれませんが……

ねぇ、この念獣って儀式の後も永遠についてくれるんだっけ?
現国王ホイコーロ―には今もついてるけど、儀式が始まった32巻を振り返って見ると「発想は蟲毒から、”今回の”王位継承戦は由緒正しい使われ方」とあるので、ホイコーローのときも同じシステムだったのかどうかはわからない。それに前回、争いの渦中にいる王子でないホイコーローにも”役割があるうちは死ねない(霊獣が守る)”とあるので、今回ホイコーローの後ろにいる念獣が、ホイコーローが王子時代のときに生み出されたものとは限らないってことでしょ?

つまり何が言いたいかって言うとさぁ……

もしも、フウゲツが生き残って王になったときに、この儀式の念獣がリセットされて2人セゾンが消えてしまうようなことがあれば……よかったね!生き残ったんだね、あたし達!と歓喜に湧く瞬間に、フウゲツはこれまで継承戦を共に乗り越えた片割れが、ここまで生きたいと思えた理由が、存在しないことを突き付けられる可能性もあるわけだよね??

さすがにそこまで鬼畜展開だとは思いたくない……でも、ハンターたるもの常に最悪を想定しなければならないし、創作やる人間としてはこういう絶望が美味しいのもよくわかるんだよ……。


ちなみに、これまでセンリツ目線でもカチョウの念獣が描かれなかった理由はこれですっきりしたし、フウゲツの扉も(前回考察したのに)念獣確定しちゃいましたね(笑)
だからたぶんこのルールに基づくなら、ハルケンの矢も念能力じゃなくて念獣なんだわ。あーよかった、ツェリ様天才キャラ守れて。
でも32巻の守護霊獣の項目をおさらいすると、やっぱばっちり「自分の意志で動かすことはできない」って書かれてたよ……先生。とにかく念は天才でもない限り、従来通りそんな一朝一夕にはできないっていう認識でいいみたいっス!師範代!

今回の話は本当に一気に物語が動いたというか、答えと新たな展開と……と盛沢山でした。
次週も楽しみです!!

※32巻って書いたとこ、33巻だった。訂正。

2018/10/06 01:33
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