来世でまた。
何故こんなことになってしまっただろうか。
いつもの俺なら思わないだろう。
だけど今回ばかりはそう思わずにはいられなかった。
首にあてられている苦無。ヒヤリと垂れる冷や汗と彼の涙。
あぁ…何故俺達は。
「文次郎…泣くな。」
「煩い…泣いてなんかねぇよ。」
言葉と裏腹に大粒の涙を溢す彼に多少苦笑いを浮かべるが彼は泣いたまま苦無を俺に向け、微動だにしない。
所詮…忍術学園を卒業すれば敵の者。
俺はフリー忍者でこいつはタソガレドキ。
仲良くなど…してはいけない、できるわけないのだ。
何かと俺はタソガレドキと敵対してる城ばかり依頼を受けていたからタソガレドキの者達に文次郎は命令されたようだ。
「フリー忍者の食満留三郎を暗殺しろ。」
仕方ないだろう。
だから俺は文次郎に殺されようと思ったが、未だに文次郎は苦無を首にあてるだけでカタカタと小さく震えてきた。
「なぁ、文次郎…」
「喋るな!!」
「無理だ。」
俺は奴を引き寄せこう小さく呟いた。
「このまま…逃げちゃおうか。」
文次郎はビクッと肩を揺らし目を見開き俺を見る。
困惑しているのか彼は言葉を無くしている。
そんな文次郎をそのまま地面に押し倒して心の底から笑ってみせた。
「逃げちゃおう、そうしてタソガレドキにも現状にも。離れた場所に住もう。海の見える場所がいいな俺。あと、小さな学校開こうか。」
あぁ、そんな理想を語っても文次郎は堕ちてくれはしないだろうか。
だが奴の口から出た言葉に俺は心底驚くことになった。
「連れてってくれ…どこでもいい。留三郎が一緒に居てくれるなら。」
「文次郎…!」
もどかしい気持ちになった。無力であることを再び感じた。
そんな気持ちを押し殺すように文次郎を抱き寄せ、小さく、ごめん。と呟いた。
パンッ!!
と、何かが爆発する音が、聞こえた。
その後、二人の忍が山の中仲良く抱き合って死んでいる姿が発見された。
その姿は、ある忍者がもう一人の忍者を守るかのように。
でも二人は、安らかな顔をしていた。
守られている男の近くに、タソガレドキ宛の文が落ちていた。
来世でまた。
(会いましょう。)
--以下コメント--
と、留文んんんん(´;ω;`)
「留文で死ネタ」とリクエストさせていただいたのですがハンパないです泣ける…(;_;)
関係ないんですがたまたま描いてた絵があまりにもこの小説のシチュエーションに似てたので挿し絵として載せます(笑)
みこう様ありがとうございました*^∀^*
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