主導権はシーザーにあった。
まずそこからして、今までこなして来た情事とは勝手が違った。
女に興味がないとは言っていたが、そのくせ思った以上に手際良く事を進めるシーザーに***は少なからず驚いていた。
「どうした」
真上から見下ろすシーザーに声を掛けられた。
「今更ビビってんじゃねェだろうな」
「まさか。ただ、意外だと思って」
もっとあたふたする様子を拝めるものだっと思っていた。
しかし良く考えてみれば、興味がないとは言ったが経験がないとはシーザーは一言も言っていなかった。
「意外?」
シーザーの、長く細い指が首筋に触れた。
そうして落とされた口付けに、何だか目眩がするようだった。
「…こういうことには、慣れてないものだと思って」
その、普段の言動からは想像も付かないような甘い口付けもまた、***にとって意外だった。
「俺を見くびるな」
真っ直ぐにこちらを見据えたシーザーが、口角を上げてそう言った。
/
back