「こんにちは柳さん、お邪魔します」
「………」
「佐吉くん」
「……失礼する」
「……ああ、よくきたな」
先日久しぶりに出勤したらナキ嬢に息子が出来たとのことを聞いた。
はじめは明智がついに犯罪者になったのかとと思ったが違うらしい。そのうち1人が刀の稽古をしたいと言っていたらしいのでうちの道場を貸すことになった。
ここまでは別にいい。そう、ここまでは。
「………」
「………」
「えっと、佐吉くんです」
似すぎだろ、うちの佐吉と。
怯えられてんのかナキ嬢の背中にしがみついて出てこねぇ。
膝をつき目線をあわせ敵意がねぇことを示す。
「俺は柳棗だ。」
「……佐吉だ」
「そうか。いい名だな」
おずおずと前に出てきた佐吉クン…訳わかんねぇ、坊主でいいかーに道場の隅をさす。
「木刀と竹刀、どっちがいい」
「……木刀」
「うし、いろんな長さがあるから好きなもん選べ」
コクリと頷いた坊主はごちゃっと木刀が置いてある場所に駆けていった。
「すみません、あそこまで人見知りするとは思わなくて」
「いや構わない」
普通はあんなもんだろ。うちの子たちは厳密には子どもとは言えねぇ。
「ナキ嬢、会社はどうだ?」
「変わりませんよ。…柳さんがもっと出社してくれれば少しは楽になるんですけど」
「明智がいなくなったらな」
「ぉおう、そこまで部長がイヤですか」
「いや、何というか………見ていると殴りたくなる」
「わかりますその気持ちっ!」
「ナキ嬢の明智嫌いもなかなかだな」
「一生治ることはないと思いますよ。それより柳さん、佐吉くんの相手してくれません?」
「相手?」
「はい」
「……あぁ」
ナキ嬢の頼みなら仕方ない。
「坊主、打ってこい」
†††
「ナキ!こいつすごいぞ!」
「良かったね佐吉くん!」
「(やっと飽きたか)」
この年にしてはかなり素早い。このままいけば居合いの達人になれそうだ。
「棗!もう一回だ!」
「はい佐吉くんストーップ。そろそろ帰らなきゃ」
「そう、か………」
「ごめん、そんなしょんぼりしないで罪悪感で殺されそう」
「坊主、男なら女を困らせんな」
「わっ私はナキを困らせたりなどしないッ」
「それでいい。いつでもは難しいだろうがいつでもこい」
「次はまけないからな!」
†そっくりな子†
(そういえば柳さんも子どもいるんでしたっけ?)
(ああ)
(棗様っ!今日の夕餉の!?)
(あ、佐吉)
(え、佐吉!?てかそっくり!?え?ドッペルゲンガー!?)
(なにものだ貴様!)
(貴様こそ何者だ!棗様から離れろッ!)
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黒兎の信託 ゆつき様、一周年おめでとうございます!
Σとお前等〜のコラボを書かせていただきました。
本当はもう少し武将を出したかったのですが私には無理でした(@_@)
これからも曼珠沙華と鬼灯とと夜月をよろしくお願いします。