文 | ナノ

「あっ、こっちですお市ちゃーん!」


「白い鳥さん…」



市が遠慮する蒼空を引き摺りやってきた最寄り駅。
ここで待ち合わせだったようだ。



「はじめましてですね!私は鶴姫と言います!」


「あ、邦坂蒼空です」


「蒼空ちゃんですね!よろしくお願いしますね!」


「う、うん…」


「では行きましょう!今日はいっぱい買い物しますよー!」


「うわっちょっ、」



鶴姫は2人の手を引き意気揚々とショッピングモールの方へ歩いてゆく。
突然手を引かれて驚いた蒼空達であったが何とか体勢を整え、彼女と並んで歩き始めた。







「蒼空ちゃんそれとてもお似合いですよ!」


「蒼空これも…」


「わぁ、さすがお市ちゃんです!あ、これもお似合いですよ!」


「本当…」


「え、えっと?」


「うふふ、蒼空可愛いわ…」



蒼空はとても混乱していた。
市、鶴姫は蒼空の服やアクセサリーを見繕っていた。



「絶対これは買いですよ!髪に合います


「でも私は…」



市と鶴姫が選び始めてから3時間。
選んだものはゆうに10を超える。



「私そんなにお金持ってきてないよ?」


「兄様から預かってるの…」



市の財布には一学生が持てるような額ではないお金。



「入学祝い、って…」


「入学祝い?」



あまりにも物欲がない蒼空。欲しいものを聞いてもそれは微々たるもの。
織田夫妻的にはもっと甘えて欲しいとのこと。
しかし自分たちが連れ回せば遠慮してしまうのが目に見えている。
そこで市経由であればある程度大丈夫だろうとのことだった。



「でも市だけじゃ…不安、だったから…」


「私も蒼空ちゃんとお友達になりたかったので市ちゃんと計画したんです!」


「そうだったんだ…」



無意識に右腕をさする蒼空。
織田夫妻の想いに視界が潤んだ。



「蒼空、兄様たちは蒼空のこと、大好きよ…」


「お市ちゃん…」



蒼空は隻眼をこすりにっこり笑う。



「ありがとう」



へらりと笑った蒼空に市と鶴姫も笑顔で答えた。






+保護者+



(というかこの買ったのどうするの?だいぶ量あるよ?)
(大丈夫です!男の人呼んでおきました!)
(おい鶴の字!いきなり呼び出すってどう、い、う…)
(あれ?姫親先輩?)
(元親だッ!あ?どういうことだ?)
(蒼空ちゃんの服とかいっぱい買い込んだので海賊さんに持って欲しかったんです☆)

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