文 | ナノ

「………あ?」


ちりんと澄んだ鈴の音が聞こえた。
そして直後に響く佐吉の声。


「……あいつか」


思わずつきたくなったため息を飲み込み立ち上がり庭に足を向ける。
近くなるにつれ大きくなる物音。



「蒼夜」

「どうした元就」

「あれはなんぞ」

「妖」


あやかし?と首を傾げる元就に頷き、庭に降りる。


「おい」

「蒼夜ちゃん!」「蒼夜様!」

「ちゃん言うな。くる度に佐吉と争うな」


猫又の翠が佐吉とぎゃいぎゃい言っていた。


「だって〜この狐が」

「狐ではない!この化け猫が!」

「キー!ホンット、生意気ね!」

「黙りやれ」


がこんと紀之介が石を二人の頭に落とした。


「ご苦労、紀之介。……で、翠は何しに来たんだ」

「ん〜顔見に?」

「紀之介、そこの岩ぶつけろ」

「ヒヒッ、あいわかった」

「うそうそうそ!だからそれだけはやめて!」


紀之介に庭で一番大きい石(もはや岩だな)をぶつけてもらおうとすればすぐにとめてきた。


「だって蒼夜ちゃんの家に婆沙羅者が落ちてきたっていうから」

「は?」

「え?違うの?」

「いや違わないが……何故知っている?」

「あら、私たちの中では有名なのよ」


近くにいる佐吉の頭に飛び乗る翠。
暴れるな佐吉。遊ばれているのに気づけ。

まあとりあえず、


「……詳しく聞きたい」


情報がほしい。



†猫又†


(え、六人もきたの?あらあら、有名人ばかりじゃないの)
(知っているのか?)
(ワタシをなんだと思っているのよ)

(…………おい、アレはなんだよ)
(妖ぞ)
(は?)
(婆沙羅者とか言ってたからなんか知ってるのかもね)
(……猫が喋ったでござる)

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