文 | ナノ

「…………………」




北条のじいさんの腰の見舞いに行って帰ってくるまで、俺は機嫌が良かった。

じいさんの腰もあまり酷くなかったし、お土産にと和菓子を貰ったからだ。

佐吉の嬉しいんだけど顔に出さないようにしている姿に居候共との買い物でいらついていた俺の心は癒されていた。


なのに、だ。





「俺さ、物壊すなっていったよな?壊したら逆さ吊りって言ったよな?なのにこれは何だよ?俺だってさ鬼じゃねぇからさ、障子破れるくらいは大目に見てやろーかなーなんて思ってたわけよ?



障子どころかテレビと電子レンジ壊れてるってどういうことだ?」




そう、家に帰ったら障子だったものとテレビだったもの、本と本棚の残骸があった。




「申し訳ござらぁあああん!!!」

「黙れ赤。謝ったってなァ、壊れたもんは返ってこねぇんだよ」

「そ、sory蒼夜」

「あ゛?謝り方ってもんがあんじゃねぇのか青」

「ごめんなさい!」





聞けば赤と青が追いかけっこを始めたらしく、こうなったらしい。




「きぃぃさぁああまぁぁらぁああああ!!」

「落ち着きやれ佐吉。ぬしまでものを壊す気か」

「私はそんな愚かなことはしない!蒼夜様、こいつ等を漸滅するご許可を!」

「…………………………………はぁ、落ち着け佐吉」

「蒼夜様!?」




そう、落ち着け俺。
被害はテレビと障子と本棚だ。
本棚はちょっと困るがテレビは普段からあまり見ないし障子は予備がある。




「おい、怪我はしてねぇのか?」



直後、驚いた顔をした二人だったがすぐに頷いた。





†残すな危険†


(誠申し訳ありませぬ!)

(悪かった)

(怪我ねぇならいい。……そうじゃねぇと逆さ吊りできねぇからな)

(な!?)

(what!?)

(言っただろ?壊したら逆さ吊りってな)


(あ、あと見てた奴らも止めなかったってことで同罪な。よってお前等全員食後の甘味なし)

(な、なんだと!?)

(いやでござらぁああああ)

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