文 | ナノ

「ひっっっっっろいでござるぅぅぅううう!」


「旦那騒がないの!…にしてもひろいね〜」


「本当だな!蒼夜は何モンなんだよ!?」


「……騒がしい奴らめ」


「そう言うぬしも驚いていたようだがなァ」


「蒼夜様と共に入れることをありがたく思え!」


「littleでも凶王は凶王だな」


「覇王や軍師並に心酔しているようですな」





風呂場に入った直後それぞれの反応を見せてくれた武将と忍び。
まあ風呂は広いぜ?
そこいらの旅館には引けをとらねぇくらいはでかいな。

で、こっからが大変だった。




「なんでこんなに泡立たねぇんだよ!」


「あちらでは髪は油で梳いていたからなァ」


「マジかよ……」


「われや佐吉はやったことがないがな」


「おい、お前等。泡立つまで何回でも洗え。異論は認めねぇ」





不平不満は聞かないことにしていると、ふとシャンプーを出すのに苦戦している元就がいた。





「おい、大丈夫か」


「これが大丈夫に見えるのか阿呆」




即答された。

仕方ないからシャンプーを手に取り洗ってやる。





すると泡立つ泡立つ。





「え、なんでこんなに泡立つんだ?」


「………香油は好まぬ」


「…手入れしてなかったわけか」





まあでもそのおかげで泡立ってるしな。
いいんじゃねぇの?

佐吉の頭を洗ってやろうと思い、元就の頭から手を離した。
すると、




「終わりか?」


「あ?」


「もう流して良いのか?」


「いや、まだだけど」


「ならば続けよ」


「もう自分で出来んだろうが」


「我が洗わせてやると言っておるのだ。洗え」


「………」





紀之助の話じゃ元就って人をなかなか信頼しない奴じゃなかったか?
つか武将、しかも一国の国主がこんな簡単に背後預けていいのか?


なんだこの懐かれてる感は。





「おい早にせよ」


「……へいへい」





野良猫を手懐けた気分というのはこんな感じ、か?




†風呂†


(毛利殿ばかりずるいでござるぅぅう!蒼夜殿!某も洗ってくだされ!)

(お前はもう泡立ってるから終いだ。それより佐助、さっさと洗え)

(マジ無理だって!)

(問答無用)



(っ〜毛利め!漸滅してやるゥゥウウウ!)

(……佐吉、爪を噛むのはやめやれ)

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テーマ「人外ファンタジー」
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