文 | ナノ

「美味でござらぁぁぁあああ!!」


「こら旦那、静かに食べなさい!」


「こんなにeggを…もしかして蒼夜は…」


「先の世では卵は庶民でも簡単に手に入れる事ができるとのことです」


「なぁ!厨にはどんな絡繰りがあんだ!?」


「絡繰り絡繰り煩い。少しは黙らぬか最下位の鬼」


「貴様らぁぁあああ!!静かにできぬのかぁあああ!」


「やれ、佐吉。ぬしが一番うるさい」




いろいろと説明(調味料とか、鍋とか)してやっと飯にありつけた、ところなんだが。

こいつら煩ぇ。




「真田、飯は逃げねぇから落ち着いて食え。伊達、片倉の言うとおり、卵や白米は庶民の味方だ。長曾我部、絡繰りはあるがまた後でだ。つっこむべきか悩むが毛利、それはわざとか?」


「ふん、意図的に決まっておろう」


「……そうか」




それにしても生まれて初めて米一升炊いたぞ。
しかもそれを食いきってしまうんだから驚きだ。
基本俺らはそこまで食わねぇからな。
二合で少し余るくらいか。


武将すげぇとか思いながら食ってるとじぃっと視線を感じた。
顔を上げると武将たちが俺を見ていた。





「何だ」


「蒼夜殿!何故某たちを氏で呼ぶのでござるか!?」


「…………は?」


「俺らはfirst nameで呼んでんのに蒼夜はfamily nameだしな」


「世話になんだ。他人行儀なのは止めようぜ!」


「俺様もさんせー」


「政宗様が良いなら俺もかまわねぇ」


「好きにせい」




真田を筆頭に次々と名前呼びを希望する声。

あ〜…





「紀之介、説明しなかったのか?」


「主が口外するなと言ったのであろ」





いや、確かに言ったけれども。

だってお前等、俺のこと主だとか言ったんじゃねぇの?




「特にいわれなかったのでなァ」


「申し訳ありません蒼夜様!!」

「あーいいから。ちゃんと俺の言いつけ守ったんだな。偉い偉い」





わしゃわしゃと両サイドに座る2人の頭をなでる。
そして意識して鋭くした視線を真田たちに向けた。




「いいか。名前は一番短い呪だ。それを奪われれば体の自由さえも奪われる。お前等はそこまで俺に預けられるのか?」




ここの一線はかなりでかい。
名乗ってきた時既に一番短い呪は俺の手の中に入ってきた。
だが名字で呼び、名を返した。



さぁ、どうする?




「っ、それでも某は蒼夜殿には幸村と呼んで欲しいでござる!」




真田を皮切りに次々と名前呼びを要求してくる武将たち。


ああ、こいつらはなんて…




「………くくっ、分かった。呼んでやるよ、幸村」





……このとき幸村に犬の耳と尻尾が見えたのは気のせいだという事にしておきたい。




†名前†


(それにしても蒼夜の旦那、短い呪だなんて術者みたいなこと言うんだね)

(いや、だって俺陰陽師だし)

((((((は?))))))

(ヒヒッ、ヒヒッ!)

(その間抜け面で蒼夜様を見るなぁ!!)

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