文 | ナノ

入学して三日。
本格的に授業もはじまり、高校生になった実感もわいてきた。
が、蒼空は大きな問題にぶつかっていた。


「蒼空、昨日オマケで貰ったんだ。旨いぞ!」


「家康貴様ァァアア!まだ一時間目すら終わってない!蒼空、食べることは許可しない。食べたら漸滅する!」




蒼空の問題、それはこの2人以外に友達ができないことだ。


にこにこしていて人当たりの良い、所謂ムードメーカーな家康は。

鋭い目つきに鋭い口調。他者を拒絶するような雰囲気を纏っている三成。

一日に一回どころか30分に一回は喧嘩をしているような2人に囲まれた蒼空に近づく猛者はこのクラスにはいない。



「い、家康君ありがとう。三成君、お弁当食べ終わったら食べるから、ね?」


「そうか!貰ってくれるか!」


「フン、当たり前だ」


「あははは……」











「どうすればいいのかな……」





寮の共有スペースで溜め息をつく蒼空。

唯一の女友達である市は寮生ではないためいない。
三成と家康はそれぞれの部屋だ。




「はぁ……」


「さっきから何溜め息ついてんだ?」


「っ!?」


「いきなり声をかける馬鹿がおるか。馬鹿鬼」


「!?」




先程まで共有スペースには蒼空だけだったのだが、今彼女の前のは銀髪で眼帯をしたガタイの良い男子と茶髪で線の細い男子がいた。





「え、っと…先輩、ですよね?」


「おうよ。3年の長曾我部元親だ」


「毛利元就ぞ」


「邦坂蒼空です」





立ち上がって一礼。




「それで、何故溜め息をついておった」

「それがですね…」





初対面の、しかも先輩だったが、蒼空はぽつぽつと友達ができない旨を伝えた。





「あーあいつらな…」


「戯け共め……」


「2人をご存じなんですか?」


「アイツ等は中学の後輩なんだよ。」


「そうなんですか!」





思わずほぇ〜と間抜けな声がでた。





「あやつ等の愚行は今更治るものではないわ」


「そうですよね……どうしよう、このまま三年間友達三人だけだったら…」





「何言ってんだよ。俺らがダチになってやるよ」





「…え?」


「だから!俺らがダチになってやるてぇの」


「馬鹿鬼だけではそなたが悲惨よ。我もなってやろうぞ」





ほれ、ケータイ出せと言われるがままケータイを出してアドレス交換。
はっと我に返り蒼空は慌てて言った。




「いっ、いいんですか!?お二人とも先輩ですし…」




迷惑ではないか、失礼ではないかと不安になっていると元就と元親は顔を合わせ溜め息をついた。





「ダチに年齢は関係ねぇだろ?」


「友人に年齢は関係あるまい」


「っありがとうございます!」


†友人†


(これからよろしくお願いします!毛利先輩、長曾我部先輩!!)

(おいおい、名前でいいぜ?ダチなんだからよ)

(我も蒼空と呼ぶ。ちなみにこやつは馬鹿鬼でよいぞ。もしくは姫わ)

(だーーっ!よけいなこと言うんじゃねぇよ毛利!!)

(姫…姫親先輩ですか!?)

(ちげ)

(その通りぞ。我のことは元就でよい)

(あらためてよろしくお願いします!)


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