年末は荒れに荒れていた。
何十年ぶりだかに雪は降るし、テレビではその話題ばかりだし、あげくの果てにわずか五センチの積雪で江戸中の全交通網が麻痺。
あれよあれよと言う間に交通整備に駆り出され、寒い中公僕の名の通り住民の皆さまのため誠心誠意働き。
気づけばテレビは紅白歌合戦なんかを流していた。
しかしここで「荒れて」いたのは天気でも交通でもテレビ欄でもなく。
おれ、沖田総悟の機嫌だったりします。
憎たらしい煙草臭のニコチンが年末は自室にこもるのは例年のことで、それは仕事中毒のあの人には仕方ないことだし、面倒くさいデスクワークは素敵で可憐な斬り込み隊長がボイコットしているので、その分あの人の仕事が増えるのは道理だし、だからおれも文句は言えない……
とか何とか理由を並べてみても、やっぱり納得いかないことには仕方ないわけで。
だってここ何年かは(つまり、二人が恋人になってからは)、年末年始とかそういったイベントは欠かさなかったのに。
一年に一回くらいおれを優先してくれてもいいんじゃないの、ってかなんで今年だけ?
なんてことは言ってやらないけど。
それにしたって。
放置とか。
「ばかひじかた……」
なんだかいたたまれなくなって抜け出した宴会場からは、まだ他のやつらが騒いでる声やら音やらが聞こえる。
ちゃっかり酒だけ持ち出して部屋で一人で煽ってみてもまだ寂しい。
おれはコロンと畳に横になった。酒でほてった頬に畳の冷たさが気持ちよい。
(…廊下をまっすぐ、突き当たりまで)
歩いて、曲がって、また突き当たりまで行って、そうすれば。
いるのだけれど。
(あほひじかた、)
行けないっつーのバカ。
そんなことしたらおれが寂しがっているみたいじゃないか。寂しくないと言ったら嘘になる気がするけれど、これは面子の問題だ。
こんなバカみたいなことを考えているから、何メートルと離れていない副長室に行けないわけなのです。
そう悶々としているうちに、だんだん酒のせいかやたら眠くなってきて、あぁこのまま布団もかけずに寝たら風邪引くだろうなと思ったのが最後。
おれは深く深く眠りに落ちてしまった。
除夜の鐘が、きこえたような気がした。
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年末年始で土沖
というよりむしろ風邪ひき総悟が書きたいうずうず
続きます