バスが停まって、ポツポツと人が降りてくる。
当たり前だが、こんな昼間のバスで、しかも郊外を走っているものだ、そんなに人は乗っていないし降りてこない。

すなわち大学生らしい人は一人しかいなかったから、すぐに分かった。

「近藤さん、悪ぃな」

一言で言えば、できるなら関わりたくないような野郎だった。
あーこいつと関わると良いことねぇだろーなーと、唐突にそんな考えが浮かんだものだから、浮かんだこっちがビックリしてしまった。

だって。涼しげな、端正な顔の造りをとっても、その第一声をとっても。
そんなマイナスイメージを持たせるような所は、無かったのに。
なんで。

「よく来てくれたなートシ!ホラ、こいつが総悟だ!」
「うあっ!」
「・・・、初めまして」

そろそろと後退していた俺の思惑は、悪意のない近藤さんの手によって脆くも砕かれた。
そしていきなり肩を掴まれて前に出されたものだから、我ながら妙な声を発してしまった。

「は、初めまして・・・」

応じて形式的な挨拶を交わし、ふと相手の顔を見上げれば、口元に手をあてて目をそらされた。

笑っているのか。
沖田総悟、一生の不覚。


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