「ひっじかったさん!」
「どうわっ!てめ、今包丁持ってんのわかんないかな!指切り落としたらどーするつもりだ!」
「…チッ」
「え、何お前、今舌打ちしたよな。わざとか!」

もちろん本気で指切り落とさないかなぁ、とか思ってたわけじゃない。
だって土方さんの指が無くなったら、誰が俺のネクタイをしめてくれるというのだ。

「ネクタイやってくだせェ」

いいながら、先程勢いよくアタックした背中から離れる。
そうすれば土方さんがこちらを振り向いて、あぁ、と納得したように頷く。

「これ片付けたらやってやるから、先に朝飯食ってろ」
「へーい」

キッチンから出ると、リビングにある少し大きめのテーブルに座る。
そしてトーストにかじりつきながら、それにしても、と思うわけで。

(…似合うんだか似合わねーんだか)

黒いスーツ、まぁ今はジャケットは着ておらず、その代わりに青いシンプルなエプロンをつけている彼とは、ほんの1ヶ月から生活を共にしている。
つまるところ同棲。
同棲とは二つの意味があって、一つは一緒に住むこと、もう一つは、特に恋人同士が一緒に住むこと。
俺と土方さんの場合は、当然のことではあるけれど、前者である。


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