それから近藤さんの家まで案内すると、ひじかたさんは、絶対連絡しろよ、と再び言いながら、家の中に消えていった。
その後ろ姿が視界から完全に消えるや否や、俺はパッと走り出した。それはもう、火がついたように。
走らずにはいられなかった。
走りながら、今日の自分はどうかしている、と再び思った。
やっと落ち着いて足をとめ、携帯を取り出す。
呼吸を整えて、それからパカリ、携帯を開く。
電話帳を選択して、一瞬躊躇してから、何を躊躇ってるんだとそれを開いた。
「土方、十四郎」
土方、さん。
口の中で呟いてから、電話番号以外の、赤外線で送るとついてくる他の情報に目を通した。
携帯を閉じてポケットにしまうと、服の上から携帯をそっと撫でる。
「土方、さん」
電話番号だけじゃない。
メールアドレスや、誕生日、住所、なんかも。
一気に色んな情報が入ってきてパンパンになって、俺なんかじゃ全く処理できなくなって、思いあまって自分の体を抱きしめた。
土方、さん
あぁ本当に、今日はどうかしている
剣道を知ったときの、あの、明日が楽しみで楽しみで仕方ない感じ。
それはきっと、こんな感情。
嬉しい