チャイムが鳴った瞬間に背伸びをした。
後ろから裏のままの答案が回され、それの上に自分の答案を同じように重ねて前に渡す。それをじっと見つめて、ーーあぁ、やっと終わったんだと安堵の一息が零れた。


四日間の怒濤のテストが終わった。既に新しい関係を築き上げた彼女となんの曇りもなくやっていけるのかと思うとたまらなく嬉しい。

「お疲れ様、斗南さん。どお?」
「ん、」

右手を上げて軽く握り親指を出してニッとにひるに笑えば祈は満足そうに笑った。






「さて、明日は土曜日です」
帰り道。肩を並べる下校する中祈は嬉しそうにそう言った。

「ねー、斗南さん。明日は土曜日です」
二回目。それに苦笑を浮かべるけどこちらも試験べんきょー、やらでゆっくり二人の時間を過ごしていない。二人だけで会ってもやっぱり主は勉強会。追い込まれていたのはお互いで、加えて祈は自分の勉強もしなくてはいけないために忙しく毎日を過ごしていたわけで、懸念もなくなったことですしねー。

「今日ウチくる?」
「うん!行く!」

待ってましたと言わんばかりにその誘いを素直に受け止めるととても無邪気に笑った。
(テスト前のあの表情と態度はドコにいったンよ…)

「一回帰って荷物置くわ。パジャマとか下着とかないし…」
「パジャマは貸す。荷物多くなるからそっちのがいいっしょ?」
「いや、ほらねー」
もごもごと口ごもる祈は顔を赤らめて困ったように笑う。なンだよ、その反応!なンかあたしが悪いみたいぢゃないか。と発言を改めてみても至って如何わしいことなど言葉にしてないし、あたしは悪くないと思う。問い正せば、恥ずかしそうに祈は言う。

「斗南さんの匂いが…」

ーーーえ、なに!?臭いの?結構ショックなんすけど、、、

「うわっ、流石にヘコむンですけど。その言葉…」

あたしが大袈裟にムッとした表情を浮かべれば祈はーーーちがいまーす!勘違いやめてくださーい!と先ほど可愛らしい顔はどこ行ったか、既にケロッと普通に戻っていた。

「ぢゃぁー、なンだよ」
「だからーーッ、もー、わかってよ!」

ーーワカリマセーン!お手上げ状態で、ベーッと舌を出す。祈は、ばかっと呟いてしかたなしに答えた。

「斗南さんの匂いがして、なんか恥ずかしいの!!」

一瞬時が止まる。へ?と首を傾げるが直ぐにその言葉を理解した。口角が上がる。隠すことなくそのまま俯くその顔を覗き込めばまた真っ赤。あー、まぢ可愛い。なンなんだよ。

「部屋なンてあたしの匂い一色なのに?」
「だからよ!」

ーーーなんか斗南さんにギュってされてるみたいで…
今度は祈の言葉にあたしが赤くなる番だ。熱が篭る。暑さにやられてしまいそーだ。冬なのに…。

「ズリィー…」
「言わせた斗南さんが悪いのよ…」

しかし、冷静に考えてみるとそれはパジャマであってあたしぢゃないわけで、それはそれで複雑だ。

「パジャマで満足しないでくれませんかね?」
ーーーパジャマより本人のがあったかいっしょ?
耳元で呟けば林檎ちゃんになる祈に、心の中でおかえしだ、と叫んだ。








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