「なんなんだい…」
アニ・レオンハートという人物が狼狽していることはあまりない。からして、今の段階において自分が優勢であるととって、掴む手首に若干力をいれれれば眉がピクッと動いた。

「わからないの?アニ…本当にわからない?」
「…」

こうして馬乗りなられてるのも本当は痛いんではないと、淡々に言えば目が開かれた。片手でアニの両手を頭上で抑える。「やめっ…」と抗議の声は響き、贖うように身を揺らしている。ーーーそんな力今はないくせに。冷静に見てる自分はどうも沸点が低いようだ。…今は。

「このようなところだから、しかたないことはわかってる。けれど、わたしが怒ってるのはそういうこうとじゃないことは、アニが十分承知しているはず…」
「悪かった…」

もう一つの手はゆっくりと身体を這うように服にかけられた。もうしわけない程度に服を上にずらして除く包帯に溜息が零れた。

「隠したことに怒ってる」
「だから、悪かったって。。ごめん」

どうしようもないのだけど、だけど、本当はと思うのだ。罰が悪そうに俯く彼女がそこらへんの男を投げ飛ばすぐらいの強さを秘めているとしてもだ、白く綺麗な彼女が自分以外で汚れることも傷付くことも、その事実は受け入れたくもなければ、ましてや見たくもない。

「そう思ってるならあんたも少しは自重してくんないかね」
「そうね」

ーーーアニだけでは不公平だと思う。なので
わたしも言う。

本当は、本当は、本当は、傷付けたくもないのにと、ここにいてほしくもないけれど、ここにいなければ一緒にいられないからと、
そう思う心は泣き叫んでいる。わたしが思っているように、傷ついているように、同じ痛みを味わうわたしの幾分か小さい身体の持ち主はわかっているのだ。それをわたしも知っている。理解している。


顔色一つ変えない彼女がいつも今のわたしの立場であることを










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