「キラサギの髪って綺麗だな…」

ーー団長さんと同じ、そう言ったキラサギのフードを取り払って露わになる金色の髪は黒一つ無くキラキラしている。日の光りに当たれば輝き、暗闇では映え、電灯の下では負けず、ふんわりとした髪を見て率直な感想を零し、触れればキラサギは照れたように目を伏せた。

「そう、ですか?」

いつもの元気な声がしおらしく聞こえる。垂れ下がった髪を一束、指に絡めて落とし、辿るように根っこを触る。上から下へと優しく撫でると年相応に女の子なキラサギは頬を赤らめ笑う。覗かせた歯が可愛いと思った。キラサギとの距離なんて其処まで空いていないというのにその距離さえ妨げだ、と咄嗟に手を取り引き寄せると慌てた声が鼓膜を擽る。

「だ、団長さんっ」
「ハハ、キラサギは可愛いなぁ」

マリーと違う匂いだった。マリーは花の香りがするけれどキラサギはお日様のポカポカした匂いだ。室内なのにお日様の匂いがするなんて、キラサギは凄いと思う。もっと欲しくなってジタバタ動く四肢もろとも閉じ込めた。誘うように膝へと誘導すると困惑しながらもちょこんと横向きに座った。向かい合わせでないのが残念だ、と自分より高くなったキラサギを見ると、頬を膨らまし柔く睨んでいる。

「どうした?」
「むぅーー」
「なんかしたか?」

そう問うがキラサギは「むぅ」の一点張り。それも可愛いらしいのだが、それよりもキラサギは笑顔が似合う。目を引く能力がなくとも魅力的だと思っている。そんな事を考えていたら自然と目元に目が向いた。大きくて丸い、零れそうな黄色い瞳。赤くなるのは勿体無い。そう思いながら、頬に手を当て親指で目元の下を撫でる。

「ズルイです…」

やっと人間の言葉を出し始めたキラサギは恨めしそうにそう呟いた。語尾なんてほぼ聞こえないぐらい、小さな声で、キラサギは依然と頬を膨らませている。そんな仕草を見て見ぬ振りし、そうして、そのまま頬の柔らかさを堪能しているとキラサギの手がフードに伸びた。ぱさっと音を立て先程のキラサギのようにフードが取り払われる。

「団長さんの方が、綺麗ですよ…」
「深緑だぞ?あまり好きぢゃないな」
「団長さんは好きぢゃなくても、わたしは好きなんです」

今度はこちらの番であった。キラサギの小さな手に頭が撫でられていく。ちょっとこそばゆい、というより照れ臭い。なるほど、こういう気持ちだったのか。手の甲に手が重ねられ、撫でていた手はわたしの頬へと当てられた。

「ありがと、キサラギにそう言われたら好きになれそうだ」

そう言うと白い歯が見えた。当てていた頬が持ち上がる感触を覚えて、目の前には広がる向日葵。欲しかった満面の笑み。少し違うのは赤く染まる頬。太陽だ。眩しいぐらいサンサンの雲にも負けない、キラサギの笑顔がそこにはあった。

「おいで」
「うわっ」


座り方さえ不満を覚えて、無理矢理跨がせる。きっとこっちのがキラサギも体勢が楽だと思う。再度狼狽えるキラサギを他所に背中に腕を回して、見つめ合う。距離は、ほぼゼロ。パーカーをギュッと掴む小さな手。やっぱり、キサラギは頬を膨らませて困ったように笑う。









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